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【漫画】ジョジョの奇妙な冒険 第七部 スティール・ボール・ラン1 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

アメリカ大陸横断レース

情報

作者:荒木飛呂彦

試し読み:ジョジョの奇妙な冒険 第7部 モノクロ版 1

ざっくりあらすじ

アメリカ大陸を東西に横断する約6000kmにも及ぶレース『SBR(スティール・ボール・ラン)』が始まる。優勝賞金5千万ドル(60億円)をめざし、世界各国からやって来た冒険者がアメリカに集った。

感想などなど

説明はいらないかもしれないが、『ジョジョの奇妙な冒険』はジョースター家に運命づけられた代々の戦いを描いた漫画であり、代替わり毎に部が変わっていくことが特徴としてあげられる。

つまり第七部にあたる本作『スティール・ボール・ラン』は、第一部の主人公ジョナサン・ジョースターの昆孫の話……と言いたいところだが、第六部で色々あって世界が変わってしまった。第七部からはパラレルワールドのような別物という認識で良いだろう。

他に説明すべきこととしては、スタンドと呼ばれる特殊能力が上げられる。

第六部までの設定としては、吸血鬼に対抗する唯一の技術である波紋が、具現化して幽波紋(=スタンド)となり個々で異なった能力として発現した守護霊のようなもの。または、特別な矢によって選ばれた者だけが、発現できる実体を持った特殊能力……といった感じで説明できる。

まぁ、部によって設定なんて変わっていくものであるし、第六部の最後で世界が作り変わってしまったので、あまり気にしなくて良い気さえする。第一巻ではスタンドという言葉すら登場しないくらいだ。

アメリカ大陸を東西に横断する過酷なレース『SBR(スティール・ボール・ラン)』に挑む、個性豊かな冒険者達の紹介といったプロローグ的側面が強い第一巻。これまでの部を読んできた者ならば、聞きなじみのある名前も多数登場し、まだレースが始まっていなくとも名前を眺めているだけでも楽しい。

 

レース『SBR(スティール・ボール・ラン)』について簡単に説明しておこう。

主催者はMR・スティーブン・スティール。1890年9月25日午後10時にサンディエゴのビーチをスタートし、ゴールのニューヨークを目指す。総移動距離は6000kmにも及び、優勝者には5千万ドルが支払われる。

参加者は16歳以上であれば、国籍・人種・性別を問わない。一人当たりの参加費1200ドルは、レース中にもしものことがあった場合の救援に使われる。

もしものこと……今回のレースで通ることになる経路は、舗装されていないのは勿論のこと、未踏の地を通ることもある。道中に潜む野生生物の危険もあれば、馬が動かなくなることだって予想される。そうなった際に家まで帰る手段の提供、道中の食事代や交通費として、参加費の1200ドルは利用される訳だ。

そのような危険なレース――危険だからこそ、というべきか。挑戦者達の銃の携帯は禁止されていない。憲法において明記された「武装して身を守る権利」は本レースでも保障されている。要は身を守るための手段として、銃を使えということだ。

勘違いしてはいけないのは、殺人が許容された訳ではないということ。

そうだというのに、当たり前のように命のやりとりが行われることになるのだが、それは二巻以降の記事で書いていくことにしよう。

レースにおける重要なルールとしては、他にも『途中で馬を変えてはいけない』というものがある。もしも途中で馬が走れなくなったとしても、最初に登録した馬以外の馬で、レースを続行することはできない。そのまま失格となる。

そのため、命のやりとりよりも起こり得るのは、馬に対する妨害工作となる。第一巻ではレースがスタートして最初の直線での様子が描かれるのだが、そこだけでも多くの馬が負傷し、多くの脱落者が出た。

そんなことは容易に想像できる。なにせ参加者は3852名。屈強な冒険者達が横一列に並んで一斉にスタートし、負傷者が一人も出ないなんてことはあり得ない。それにしたって、奇妙な負傷もあるのだが……。

 

気になる参加者はたくさんいるが、本作における主人公の一人とされるジョニー・ジョースターを語らない訳にはいかない。本名はジョナサン・ジョースターで、第一部の主人公と同じというのも、ここまで読んできた者にとっては愛せるポイントとなる。

彼は将来を有望視された天才ジョッキーだった。しかし、とある事件によって下半身不随となり車椅子生活を余儀なくされた。そんな中、ジャイロ・ツェペリという男の持つ武器である回転する鉄球に触れることで、一瞬だけ動かなかった足が動くという奇蹟を体験する。

最初は参加する気なんてなかった『SBR』だが、ジャイロの持つ回転の秘密を知るためにレースへの参加を決意。下半身不随でありながら、暴れる老馬を乗りこなして「人間を超えた」と評された彼の今後に期待である。

ジャイロ・ツェペリという男も忘れてはいけない(ちなみに第一部には主人公に波紋という技術を教えてくれるツェペリ男爵が登場するので、読んでいた人はちょっと嬉しい)。

彼は腰にぶら下げた鉄球を武器とし、回転を加えることで特殊な能力のようなものを行使する。一見するとスタンドのようにも思えるが、彼はこれを技術という風に説明しているためそうなのだろう。

本作『スティール・ボール・ラン』はジョニーとジャイロの二人の動向を主軸として展開していく。最初はギクシャクしていた関係も、最後には熱い友情へと変わっていく。二人以外の挑戦者達の戦いにも注目していきたい。

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