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【漫画】ストライクウィッチーズ零 1937 扶桑海事変(2) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

一つの国の命運が掛かっている

情報

原作:島田フミカネ&ProjektKagonish

漫画:にんげん

試し読み:ストライクウィッチーズ零 1937 扶桑海事変 (2)

ざっくりあらすじ

若き坂本美緒が体験する扶桑海事変の顛末を描いた「ストライクウィッチーズ」の原点。扶桑に押し寄せる『怪異(=ネウロイ)』の大群、それをどう押しとどめたのか。すべての真実が語られる。

感想などなど

そもそも怪異(=ネウロイ、以下ネウロイと記載)とは何かという問いに、今後の作中でも明確な答えが出ることはないだろう。そもそも読者が求めていないということもそうだが、このネウロイは本作を含め、時間が進むごとに進化し、これまでの常識を覆すような変貌を遂げ、人類に迫ってくる。

ネウロイという奴は、どうやら水が苦手であるらしい。

そのため日本に侵攻してくるネウロイの数は、(他国に比べると)それほど多くない。ネウロイが猛威を振るっている大陸との間は海で分断されているため、その侵攻の脅威はまだ大したものではない。

ネウロイは水が嫌いという常識に基づいて、そのような状況がこれから先も続いていくと、誰もがそのように予想していた。

しかし、第一巻で銃弾の通じないネウロイの登場から風向きが変わった。ウィッチのストライカーユニットの機動性能の向上だけでは賄いきれない敵の進化を、肌身に染みて実感させられる。

ネウロイを撃破するには、それぞれの個体が持っている核を破壊しなければならなくいと判明するのは第二巻、扶桑海事変の直前くらいである。もしも坂本美緒の魔眼が覚醒せず、核の存在を認識できなかったとすれば、被害は広がっていくばかりだっただろう。

ギリギリのパワーバランスで、ネウロイとの戦いが繰り広げられているということが分かっていただけるのではないだろうか。

 

扶桑海事変を端的に説明すると、海を渡って日本に侵攻してきた巨大なネウロイを食い止めるために多数の軍艦やウィッチが犠牲となった戦いのことを指す。この当時、山と表現されるくらい大きなネウロイの存在は認知されておらず、ましてや海を渡って来るなどということは考えていなかった。

しかし、山のように大きなネウロイが海上を動いていることは現実に起きている。さらにこのネウロイの厄介なポイントは、大きさだけではない。

このネウロイからは小さなネウロイ(いわゆる通常サイズのネウロイ)が射出される。それらの小ネウロイは、どんなに核を潰そうとしても潰せず、破壊することができないのだという。

アニメでは珍しくない『本体のネウロイの核を破壊しなければならない』子機射出型ネウロイであるが、この世界においては初めて確認されたネウロイであった。「核を破壊すればネウロイを撃破できる」という話だけを聞いていた軍は、ネウロイには核があってそれを破壊しなければならないというウィッチからの報告は嘘だったと結論づけ、「ウィッチなぞ信用できない」というレッテルを貼り付けた。

この辺り、小娘ごときにネウロイが倒せるかという舐め腐った思考回路や、実験争いをする人間の醜さが、一致団結すべき状況を掻き乱した。この辺りが後々になって響いてくるのだから胸くそが悪い。

 

台風が直撃するという最悪な天候、大荒れな海、ウィッチ嫌いな軍上層部の意地悪……想像したくない最悪な状況に追い込まれていく中、希望を捨てず、最善を尽くしたウィッチの格好良さに惚れる。

多くの人が死ぬ戦いであったが、次への希望も垣間見える戦いであった。

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