工大生のメモ帳

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スーパーカブ 感想

【前:な し】【第一巻】【次:第二巻】

※ネタバレをしないように書いています。

カブと共に生きていく

情報

作者:トネ・コーケン

イラスト:博

試し読み:スーパーカブ

ざっくりあらすじ

両親も友達も趣味もない山梨の高校に通う女子高生・小熊が、中古のスーパーカブを手に入れた。カブを使っての通学、ガス欠に寄り道……そんな些細なことでもちょっとした冒険をした気分。そんな少しずつ色づいてく彼女の日常。

感想などなど

このブログを見に来る人の趣味は、想像するまでもなくアニメとかラノベとか、いわゆるオタク趣味であろう。そのことを恥じることはない。趣味がないというのは辛いことなのだ。

主人公である女子高生・小熊が、バイクに出会うまでの彼女の生活は、基本的人権が保障された最低限度の生活そのままであった……まぁ、バイクを買った後も食生活とかは変わらないようだが。

まず両親がいない。父親は小熊が産まれて間もなく事故死、母親は彼女が高校に上がった途端に失踪した。今は奨学金で生活費をまかないながら生きているようだ。日本社会の闇である。

次に友達がいない。人とあまり関わりを持とうとしない性格で、作中では人の名前がほとんど登場しない。誰かに話しかけるという描写も、片手で数えられる。人との関係性が希薄な人間のリアルさが半端じゃない。

次に趣味がない。女子高生といえば、友達と遊びに行ってアレコレするものだが、そもそも友達がいない。奨学金生活であるがため、あまり金をかけた趣味もできない。漫画もゲームもアニメもない。

辛い。虚無じゃん。

その色あせた世界が、バイクを購入したことで変わっていく。

 

カブとは。

『本田技研工業が1950年代から製造販売しているオートバイの、商標である。』(Wikipediaより)

「水曜どうでしょうか」でベトナムや日本列島を横断する際に使った乗り物として、個人的には馴染み深い。本当好き。

そんなカブを、小熊は一万円で購入した。カブとはどんなに安くとも数万円から十数万円はするようなのだが、そのカブはその中でも破格の安さであった。それ程までに安い理由は「過去に三人死なせているから」らしい。自分なら気分が良くないので買わないが、彼女は迷わず購入。彼女はきっと事故物件も迷わず入居を決める人だと思う。

しかし、そんな過去を持つカブとの出会いにより、彼女は他にも色々なものを手にすることができた。

まず友達が出来た。スーパーカブというバイクを買ったということで、彼女に興味を持て礼子という子が話しかけてきた。彼女はスーパーカブを愛し、乗りこなし、カブを使って富士山登頂するような女子高生である。命知らずな友人ではあるが、小熊にバイクについて色々と教えてくれる大切な人だ。

次に趣味ができた。スーパーカブでの移動をよりよくするために、色々と購入して調整し、よりよいバイクライフを満喫できるように金をつぎ込み、そのためにもバイトを始めた……これらを趣味と言わずして何と言うか。

少しずつ人とコミュニケーションを取るようになっていき、今まで興味を持とうともしなかった世界を知っていくのは楽しいものだ。

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