※ネタバレをしないように書いています。
ゴースト・スタンド・バトル
情報
作者:近藤憲一
試し読み:ダークギャザリング 8
ざっくりあらすじ
母親への恨みを振りまく少年の霊に対抗すべく、卒業生『魄啜繚乱弟切花魁』を呼び出した。危険度Sランク『旧I水門』での戦いの行方は……。
感想などなど
危険度Sランク『旧I水門』で現れる子供の霊を前に、凄く強そうな雰囲気だけ出していた心霊研究家・闍彌巫子が瞬殺され、他に出せる手段も出し尽くした最後の最後の切り札として、ラブホで封印していた卒業生「魄啜繚乱弟切花魁」を繰り出して終わった第七巻。
第八巻では水門の霊 VS 魄啜繚乱弟切花魁との戦いが繰り広げられていくこととなる。これまでの卒業生は圧倒的な力で相手を捻じ伏せてくれていたが、水門の霊は手強かった。
第七巻の内容で分かっている水門の霊の能力は、命を吸い取って肉団子として食べるというものだ。つまり体力を削られたとしても回復する手段を持っているということ。攻撃を食らえば食らうほど自身は消耗すればするほど、相手は回復していく。これはゲームの敵とするならば、あまりにクソゲーすぎる。
しかし、「魄啜繚乱弟切花魁」はそれに特攻とも言える能力を有していた。
『魄啜』
魂魄を啜ると書くが、これは水門の霊と少し似ており、「花魁が出した炎の蝶に触れた者から命を奪い老化させ、代わりに自分が回復する」というもの。これだけでも充分強いのだが、これだけに留まらないのが花魁が卒業生たる所以だ。
『疫病』
炎の蝶に触れた者は、彼女が生前に罹患した病に冒されてしまう。水門の霊は肉団子を大量に食うと固く強固になっていく特製持ちだが、病に固さは意味をなさない。苦しんで藻掻き苦しむ少年の最後の力を振り絞っての攻撃は、単純な暴力。しかし、単純すぎるが故に強力――ボコボコに殴り潰されていく花魁の最後の能力が発動される。
『炎上楼閣』
この漫画の魅力はスタンドバトルにもあるが、悪霊になってしまう原因となってしまうという結末が決まっているからこそ際限なく描ける胸クソな過去エピソードにあると思う。
胸クソな過去があるからこそ、悪霊となってしまっている現在に納得ができるし、むしろそういう過去がなければ納得できないくらい理不尽な強さを持っている。強さと胸クソ度が、ほぼ等価交換となっており、花魁だって例外ではない。
特に最後の能力『炎上楼閣』は、彼女の最期の怒りが画として強く伝わってくる。
単行本では「おまけ解説」として色々と補足説明がなされるが、これも花魁に対する理解を深まりつつ、怒りが滾ってくる。気持ち悪くなってくるくらいに。
だからこそ、こんな花魁を完全に支配することは不可能。花魁はいつだって夜宵に牙をむく準備をしていて、自由になる機会を狙っていた。その感情も痛いほど理解できるが、彼女を解き放つことは旧I水門の霊以上の被害を振りまくことを意味する。
この漫画のことをゴースト・スタンド・バトルなどと評しているが、スタンドの元ネタであるジョジョとは違い、本作のスタンドは主人にも容易に牙を向ける。スタンドという関係性ではなく、ただ縛りを設けて操っているだけの隷属関係であることを想い出させてくれる……そんなエピソードだった。
……それにしても、こんな花魁を一人で縛って封印していた夜宵ってやっぱり異常なんだよな……。
水門バトルの後は、どうやら成り代わりに関する話が進行していくらしい。成り代わることができる霊は知能が高く、何やら目的意識を持っており、それぞれの霊で連携している。
成り代わられた人間を見極めることは困難。オーラとやらを見れば分かるっぽいが、それも確実ではない。その成り代わりった霊が、夜宵に接触してきて、学校の怪談で語られている霊について調査?するエピソードが始まっていく。
学校の怪談というありがちなホラーを、そういえばダークギャザリングではまだ触れられていなかった。とはいえ、夜宵の通う学校での怪談――つまりはそこにいる霊は、胸クソ度高めの霊だった。
個人的には一番現実に有り得そうでキツかった……次の巻へ進む手が止まらない第八巻であった。