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【漫画】ダークギャザリング6 感想

【前:第五巻】【第一巻】【次:第七巻】

※ネタバレをしないように書いています。

ゴースト・スタンド・バトル

情報

作者:近藤憲一

試し読み:ダークギャザリング 6

ざっくりあらすじ

危険度ランクS「旧旧Fトンネル」を攻略した夜宵たちは、消耗した鬼軍曹を休ませるため心霊スポット攻略を一時休息。卒業生達を休ませる場所を探して、事故物件に足を踏み入れようとしていた。

感想などなど

危険度ランクSに相応しい心霊スポットであった「旧旧Fトンネル」。互いに喰らい合い騙し合う殺人の連鎖が、ここで止まったことは実に喜ばしい。鬼軍曹の強さも理解できたし、見所の多い第五巻だったといえる。

鬼軍曹の激しい消費も鑑みて、危険度ランクSの心霊スポット攻略は一時休息。ストックした例達の保管場所探しをすることとなった。いわば骨休め回といえる。とはいえ霊は当たり前のように出てくるし、ヒロインはヒロインがしてはいけない暗黒微笑を浮かべている。

前半は鬼軍曹の力で満身創痍となった慧君のお休み期間中に、心霊スポットに散歩に行く夜宵と詠子。行くのは平将門の首塚である。日本三大怨霊に数えられるほどに協力な霊のいる場所に、散歩で来るのはどうかと思うが、彼女達はこういう者達であった。凍てつく恐怖を求める性なのだろう。

そんな中、神代愛衣に取り憑いた神様は、新たな敵を見つけたらしい。愛衣を救うまでには四年の準備期間があるとはいえ、神との力差を埋めるにはたったの四年しかないともいえる。

しかし焦っていては事をし損じる。呪物の保管場所を探すというのも、必要な準備の一つである。その場所としてどうかと詠子が紹介してくれたのが、誰も近づかない曰く付きの事故物件(売値、100円)である。

 

100円ショップで買い物をするくらいの気軽さで物件が買える。ただし霊付き。

どうやら元々住んでいた家族の父親が、大量殺人と一家心中をやらかしたらしい。これだけならまだしも、捜査で立ち入った女性警官が何もしていないのに妊娠し、頭が異様にでかい赤ん坊を産んだ。

その曰くから大量殺人の被害者が生まれ変わろうと妊娠の呪いをかけてくる『受胎告知の家』と呼ばれている。そんな家に女性二人(慧君はまだお休み)で乗り込もうというのだから勇気がある……いや、彼女達の場合はこれが当たり前なのだ。

「旧旧Fトンネル」の事件もおぞましいものだったが、今回の『受胎告知の家』はベクトルが違う気持ち悪さがある。家に立ち入ることで、この家で何が起こったのかが明らかにされていく訳だが、幸せな家庭が一気に崩壊していく様は、霊よりも人間の悍ましさを突きつけられているような気さえする。

元凶の霊がいることは確かなのだが、霊に背中を押されてから行った悪行――大量殺人からの一家心中は、人としての意識が残ったまま行っていたのだ。「やってはいけないこと」と分かっていながら、人としての感情を殺して遂行していく狂気の様を見て欲しい。

「私はただ……救われたかっただけなのに……」という台詞が全てな気がする。

 

これまでバトルが本筋のような気がしていたが、もしかしたらホラーが本筋のような気がした。『受胎告知の家』が本気で詠子を妊娠させようとする様は、とてもとてもホラーをしていた。

一家が救いを求めて作り出した天使様は、それはそれは悍ましい。妊娠から出産する一歩手前まで追い詰められることになる訳だが、そんな時に救いを求めた相手が慧君であることは言うまでもないだろう。

わりかし怖い第六巻であった。

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