※ネタバレをしないように書いています。
全ての糸は繋がっている。
情報
作者:上遠野浩平
イラスト:緒方剛志
ざっくりあらすじ
海に浮かぶ客船から逃げ延びたピート・ビートはアクシズと出会う。
陸地に戻ったフォルテッシモとモータル・ジムは、カレイドスコープに着いてくるよう告げられる。
浅倉朝子とイナズマは、ピート・ビートの元へと向かう。
感想などなど
カーメン。
覚えているだろうか。SIDE1にて、ビートがフォルテッシモに探すように言われた ”何か” である。これまで『概念』だとか『存在』だとか、散々言われてきた ”何か” の正体が発覚し、ピートの旅が一区切り着く。
最後まで見ると、これはビートだけの旅ではなかったことが分かるのだが……それも含め、ネタバレをしないように物語の感想を書いていこう。
さて……まずは、登場人物達の繋がりを整理しておきたい。この記事を書く前に自分なりに整理しようと思い、適当な裏紙に書いてみたら結構な量になったので、自分なりに「これだけは!」というものだけ記しておく。
まずはビートと浅倉朝子。ビートが唯一「振動を見ることができなかった人間」である浅倉は、〈モーニンググローリー〉という『物事の本質が見える』という能力者であった。
二人の関係性は『合成人間とMPLS能力者』であり『互いに求め合う関係性』といったところだろうか。SIDE1で別れてからというもの、互いに名前を思い返しているシーンが何度も描かれている。二人が最終巻にて出会うことができるのか? 出会って何をするのか? 期待せずにはいられない。
次にビートとフォルテッシモ。SIDE1では、ビートはフォルテッシモを恐れ、フォルテッシモはビートに対して無関心であった(少し認めているような描写もあったが、あくまで可能性を感じたに過ぎない)。しかし、ビートはフォルテッシモの攻撃から二度、逃げ伸びている。果たして、それはただの ”フォルテッシモの油断” なのか?
フォルテッシモとモータル・ジムの二人も外せないだろう。二人が協力した際の攻撃力の高さはSIDE3を読んで貰えば分かるはずだ。SIDE4でも ”ほとんど” 二人で行動している。攻撃範囲に限りがあるという唯一とも言える弱点がなくなったフォルテッシモに対して、ビートは勝ち目があるのだろうか。
これまでの戦闘バトルの集大成とも言える戦いが幕を開ける。
この作品における主人公は誰か? タイトルにもなっているピート・ビートだろ! という声が上がることだろう。自分としても異論は無い。これは彼に運命付けられた彼のための旅だったと言える。
しかし、この旅はフォルテッシモにとっても重要な意味を持つ物語だと思う。
思い出して欲しい。カーメンを探すように言い渡されたのは、本来フォルテッシモだった。普通ならばビートは無関係だった(SIDE4前半でもアクシズに「君は無関係だった」と断言されている)。
しかし、彼は物語における主人公のような立ち回り――数々の強敵を打ち倒し、統和機構と敵対してまでもカーメンを追い求める旅を見せてくれた。何度も言うが、彼は本来関わるはずがなかった。ただフォルテッシモの一言で巻き込まれたに過ぎないのだ。
任務を命じた統和機構の目的とは……いや、統和機構とは何なのか?
旅の終わり、表情が変わっている登場人物達にも注目したい作品だった。