工大生のメモ帳

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冥王と獣のダンス 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

忘却の彼方で

情報

作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

ざっくりあらすじ

特殊能力を扱う ”奇蹟軍” と機械を扱う ”枢機軍” がいつまでも戦争を続けている世界。そんな世界の ”枢機軍” に所属するトモル・アドは、戦場で夢幻という美しい奇蹟使い(特殊能力者)に出会う。 

感想などなど

本作はかなり奇妙なファンタジーと言わざるを得ない。

まず一つにブギーポップシリーズにも関係がある。虚空牙というナイトウォッチ三部作にて登場する単語が、本作においても登場するのだ。

そして、かなり恋愛的要素が強い。主人公である(もはや登場人物全員が主人公格だが)トモル・アドのことが好きなキャラが多数現れる(ハーレムだぁ)。その恋愛要素が、物語に大きく関わってくる訳だ。戦場という狂気に塗れざるを得ない状況における恋愛が、面白くないはずがない。

上遠野浩平作品らしく群像劇で描かれた重厚な世界観は、ファンタジーといえども顕在である。

 

特殊能力を扱う奇蹟使いが率いる “奇蹟軍” と、機械によるロボットで攻撃する ”枢機軍” が戦争を続けている世界が舞台である。合成人間やMPLS能力者が扱うような特殊能力による圧倒的な力……厨二心をくすぐるような機械による力……その力同士の戦闘は見応えは十分だ。

”枢機軍” において平民の出でありながら、数々の危機を乗り越えてきた優秀な兵士であるトモル・アドは、 ”奇蹟軍” との戦闘の最中で美少女に出会う。そして、血生臭い戦場に似つかわしくない容姿に一目惚れすることとなる。

一方、彼が出会ったという少女は、 ”奇蹟軍” に所属する夢幻という奇蹟使いだった。どうやら彼女も彼に惚れたらしい。つまりは両思いである。

しかし、残念なことに2人は敵同士である。清く正しいお付き合いは元より、もう二度と出会うことすらままならない。惚れたこと自体が、もはや不幸と言えよう。

そんな状況で、 ”奇蹟軍” から ”枢機軍” へと亡命を希望する奇蹟使いが2人現れた。2人は最強とも呼べる特殊能力を持ったリスキィ兄妹であり、自分の力を存分に震えない ”奇蹟軍” に嫌気が差したようである。

トモル・アドは考える。「これは彼女に再び会うことに利用できるかもしれない……」と。

 

そんな2人の恋愛は、トモルに惚れている部下の女や、夢幻に惚れている同僚の男を巻き込んで、さらに世界の歴史までもを巻き込んでいくこととなる。

なにせトモルは超優秀であり、 ”奇蹟軍” ではかなり恐れられている人材であった。そんな彼も恋愛が絡むことで、これまで以上に知略を巡らせ、 ”奇蹟軍” からやって来たリスキィ兄妹という力もふんだんに利用していく。

美しい外観通りと言うべきか、夢幻は奇蹟使いの中でもかなり脅威であり、戦況を1人でひっくり返すほどの力を有していた。そんな彼女が恋愛という一種の狂気に苛まれた末にどんな行動を取るのか。想像できる方はいるだろうか。いや、いない。

もはや2人を止めることは並大抵の力では不可能。さて、世界が進むのは崩壊か? はたまた救済か?

是非とも続きが読みたいのだが、まぁ、出ないんだろうなぁ……せっかく面白いのに。残念で仕方がない。

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