工大生のメモ帳

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神様のメモ帳9 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

たったひとつの冴えたやり方

情報

作者:杉井光

イラスト:岸田メル

ざっくりあらすじ

春休み、鳴海の前に現れたのは、アリスに瓜二つの姉である紫苑寺茉莉。今となってアリスと一緒に住んで、守りたいのだという。どうやら紫苑寺家の当主が亡くなることにより、相続問題にアリスも巻き込まれそうなのだという。

感想などなど

いよいよニートティーンミステリーも最終巻。これまで、彩夏や彼女の兄によるエンジェルフィックスの事件(神様のメモ帳 感想 - 工大生のメモ帳)、テツ先輩と親友の友情による悲しき事件(神様のメモ帳3 感想)、四代目の因縁の事件(神様のメモ帳4 感想 )、ミンさんと父親の事件(神様のメモ帳6 感想)など、ニート探偵事務所に関わってくれた人々に関する事件の数々を解決してきました。

こうして見ると……薬物事件を解決するために薬物吸ったり、ボクシングの元プロに殴り合いの喧嘩を挑んだり、アイドルのプロデュースを遂行したり、高校生が関わるような事件ではないですね。

命だって平気で賭けるし、詐欺まがいの大事を平気な顔して切り抜けるし、そのたびアリスに枕やドクペを投げつけられ、(可愛らしい)毒舌を吐かれていました。

何だかんだでアリスは探偵助手として、鳴海を信用しながら心配し、鳴海は鳴海でアリスの相棒として今後とも隣にいたいと思っているのです。

さて、本作において暴かれる死者はアリスの母だ。隠したいと心にしまい続けた残酷な真実を、アリスも鳴海も知らなければいけない。

 

事件の概要を理解することは、そのまま紫苑寺家の家族構成を知ることに繋がる。ということで、作中では家系図まで使って説明した内容を、文章を使って説明したい。直系とか血族とか調べていたのですが、かなりややこしいのですね。現実社会でも相続で揉めることは頷けます。

まずは現会長である長男・光蔵、次男の幹嗣、三男はヒロ先輩の師匠である吾郎、長女である照美……前会長(上記の親)は死亡し、会社の財産を所有しているのは現会長である光蔵。

今、光蔵は病気によりいつ死んでもおかしくない状況であるため、誰が財産を受け取るのか? という相続問題に直面しているのだ。

その中で長女である照美は死去。三男である吾郎も死去(ということになっている)。財産を得る権利があるのは一見すると幹嗣ということになるが、親族は彼一人ではないためにややこしくなっていく。

まず重要な問題として立ち塞がるのが、紫苑寺有子(アリスの本名)と紫苑寺茉莉の存在だ。どうやら2人は照美の息子である光紀の娘……つまり照美の孫娘なのだ。となると、彼女達にも相続する権利が発生する。

しかし、状況はもっとややこしい。どうやら有子と茉莉は、照美の息子が浮気相手との間に作った娘なのである!

……とりあえず、ややこしい紫苑寺家の状況を理解していただけただろうか。一言でアリスの出生を説明すると、

『紫苑寺家の長女の息子が不倫して出来た娘』である。不倫だろうが、何だろうが、血が繋がった親族であることに間違いはない。どう足掻こうが、紫苑寺家との縁を切ることはできないのである。

 

さらに。今回はただの相続問題ではない。殺人事件まで発生する。

殺されたのは『有子と茉莉の父親』である光紀。植物状態で入院している最中、人工呼吸器を取り外されたのだ。

ここで一つ、疑問に思うことがあるのではないだろうか?

『何故、2人の父親は入院しているんだ?』

『しかも、植物状態で?』

……本作を読み進めていると、疑問が次から次へと沸いてくることとなる。その疑問の数は上げていくとキリがないのだが、前提として『アリスはどうしてニート探偵になったのだろうか』。

アリスが家庭環境に問題を抱えていたことは、これまでの話から何となく分かる。それにしたって、これまでアリスを連れ戻そうとした人は誰一人としていなかった。つまり、紫苑寺家からは完全に見捨てられている。どうして、そうなってしまったのだろうか。

アリスは子供時代からネットばかりを触っていたことは分かっている。本作ではもう少し踏み込んで、アリスは子供時代から家に軟禁され、外に出ることはできなかったために、ずっとPCを触っていたことが判明する。アリスが不倫相手との子供だから? いや、茉莉は外に出て普通に生きている。紫苑寺家はアリスを外に出さないことで、何を隠そうとしているのだろうか。

物語の冒頭から、あまりにも納得のいかないことが多すぎる。これまでアリスというキャラクターを作り上げてきたバックボーンはあまりにも謎が多すぎたのだ。

しかし、それらの謎が一気に解明されていく。いや、解明しなければいけない。それが探偵のすべきことなのだから。

 

後書きを読む限り、結末だけは考えていて、その結末に至るまでの過程を書くことに苦悩したらしい。その苦悩の末に描かれた事件だと考えると、感嘆せずにはいられない。アリスと鳴海の二人が辿り付いた関係性、ニート探偵達が過ごす未来というものを是非見て貰いたい。残酷で美しい作品でした。

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