工大生のメモ帳

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弱キャラ友崎くん LV.1 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

人生はクソゲー

情報

作者:屋久ユウキ

イラスト:フライ

ざっくりあらすじ

アタックファミリーズという格闘ゲームにおいて、日本一位に君臨し続けるnanashi。そんな彼のリアルは、人生をクソゲーと語る弱キャラであった。しかし、人生を神ゲーと語る日南葵との出会いで、彼の生活は一変する。

感想などなど

人生はクソゲーである、そう語る男がいた。その名は友崎文也。

人生は神ゲーである、そう語る女がいた。その名は日南葵。

本作は、そんな相反する意見を持つ二人が出会い、日南葵が友崎文也に『人生は神ゲー』であるということを納得させるべく、彼女がこれまでの経験で学んだ『人生のルール』というものを教えていくことでプロデュースしていく内容となっている。

プロデュースしていくという文言を見た時点で、ブログ主は『野ブタ。をプロデュース』を思い出してしまう。実際は全く似通っていない二作であるが、一番の違いは『野ブタ。をプロデュース』ではプロデュースする側である川﨑視点で描かれていく物語であるのに対し、『弱キャラ友崎くん』の場合はプロデュースされる側である友崎視点で物語が綴られていることだろう。

プロローグからして人生をクソゲーだと切り捨て、アタックファミリーズというゲームに全身全霊で打ち込んでいく弱キャラこと友崎。しかもただのエンジョイ勢という訳ではなく、日本一位という超実力者。格ゲーの経験は大乱闘しかないくせに(一部界隈には怒られそう)、格ゲーの動画や配信を見るのが好きで良く作業用BGMにしているブログ主にからしてみれば尊敬の念を抱かざるを得ないが、世間的にはただのゲームオタクなのだろう。

ちなみに日南葵は眉目秀麗・頭脳明晰・運動神経抜群のリア充という言葉が良く似合う女子高生だ。しかしその実態はかなりのゲーマーで、アタックファミリーズにおいては日本二位という実力者である。

やはり何でもできる人間というものはいるのだなあ……神は二物を与えないとは言うが、実際はそんなことはなくて、生まれながらのスペック差というものがあり、それを覆すことは不可能。ふむ、やはり人生はクソゲーだな!

というと、きっと日南葵に鼻で笑われる。

彼女曰く、そのスペック差というものも何もかも努力によって覆せるというのだ。陰キャであるのは努力が足りないからで、リア充になろうとすればいくらでもなれる!

この辺り、リア充とその他の構造というものを露骨すぎる程に描いている。言い方を変えると陰キャに対する説教とも取れる。多感な高校時代に読んだら、色々とこじらせてしまっていたかもしれない。

つまり作者の考えというものが色濃く映し出されるため、この考え方というものを受け入れられるかどうか、で作品に対する印象が大きく変わっていく。無理な人は、徹底的に受け入れられない作品であるように感じる。

 

「努力すればリア充になれる」と自信満々に言うだけ合って、彼女のしてきた努力というものは常軌を逸したものであった。リア充になるために重要な要素は、『表情・体格・姿勢』なのだと語り、それらを矯正するために、マスクをつけさせずっと口角を上げさせることで表情を変え、姿勢を良くするために尻の筋肉を鍛えさせる。

さらに会話を弾ませるための極意として、人の会話を録音し繰り返し聞くことで分析。会話を弾ませるというためには『話題を提供する』ことと、『話題を広げていく』ことの二つを大切にすればいいということを学んだ。

トライ&エラーの連続、時には微妙に笑い飛ばすことのできないリアルな失敗をしながらも、徐々にではあるが成長を遂げていく。

この作品の面白さは、その成長により友崎の周囲が変貌していくことにある。友崎だけではない、友崎の周囲も変貌していくということがポイントだ。まぁ、正確にいうなれば友崎から見た世界の見え方が変わっていくという方が良いだろう。

これまで知ることのなかった隣の人の性格や趣味、外見だけでは決して分かることのない側面を知ることでより物語は面白くなっていく。これは現実でも当てはまるのではないだろうか、とブログ主は思う。

そんな環境の変化により、友崎の考え方というものも変わっていく。しかし芯の部分だけは変わっていないのだな、ということが分かるラストの展開は見物だ。彼の努力をただ笑い飛ばすことなど、少なくとも本作を読み終えたブログ主にはできない。気付けば読み終えてしまっている、そんな作品だった。

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