工大生のメモ帳

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猫の地球儀 幽の章

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

壮大な星と宇宙の物語

情報

作者:秋山瑞人

イラスト:駒都えーじ

ざっくりあらすじ

地球儀へと行きたいと願う幽、強くありたいと願う焔。二匹は戦うことを約束し、その約束の時が刻一刻と近づいていくる。

感想などなど

第一巻にて最強として語られることになった焔は、幽というスカイウォーカー(=地球儀を目指す猫)に出会う。そして戦って敗れる。

二人の関係性を一言で示すことはとても難しい。友達というべきかもしれないし、ライバルというべきかもしれない。なにせ出会い頭に戦っており、その後も戦う約束というものをしているのだから。強いて言うならば戦友だろうか、しかし、幽のやりたいことと戦うことが合致しないので、そうも言えないような気がする。

第二巻の冒頭では幽の過去が描かれる。

当時は最強と謳われた菊水一組と呼ばれる組織、そのリーダー猫である円に拾われて育てられた黒猫こそが幽であった。そして色々なことを教えて貰ったようである。幽の戦闘力の高さも納得できる。

 

そこから先は(基本的に)幽と焔の視点で別れて描かれていく。それぞれの思いが三人称視点で淡々と描かれていく。

そうすると『焔と幽の関係性』が印象が変化していき、『幽が地球儀に行く』というための手段が淡々と描かれていく。それぞれ説明していこう。

『焔と幽の関係性』というものは一体なんなのだろう。部外者がどうこう言えるようなものではないが、どうやら二人とも互いの関係性というものを推し量れないでいるような節がある。

作中、幽は地球儀へ行くための手段というものを語って聴かせてくれる。空気摩擦により機体が燃え尽きないように策を施している話や、少しでも楽をするための星の回転軌道の話や、遠心力の話などなど、理系人間が愛して止まない設定のアレコレを猫が語ってくれる。

そんな話を焔が真に理解できたかどうかは凄く怪しいが、アレコレ反論になっていない反論らしき何かを滔々と語る焔。話は二転三転し、猫が死んだ後にどこにいくか? 魂は存在するのか? という人間ですら友人とはしないであろう話――という名の言い合いをする二人の関係性というものは一体どのように説明すべきなのだろうか。

そして話が進んでいくと、幽は焔と友人関係になりたがっていたということが語られ始める。スカイウォーカーとして孤独に戦い続けた彼には友人というものはいない。そんな彼が戦う焔を見て憧れを抱いていたことも判明する。

さて、憧れとは友情とは正反対のものであるとブログ主は思うのだが、皆様的にはどう感じるだろうか。テレビの向こう側で見て憧れを抱いているような有名人と、突然友達になれと言われても、尻込みしてしまうのではないだろうか。少なくともブログ主には難しい問題であるように感じる。

次に『幽が地球儀に行く』という話。コレに関して焔は「死にに行くようなもの」であると語っている。どうやら昔話として、地球儀に行こうとした猫が死んでしまうという恐い話があるようであって、幽の語る地球儀への行き方を聴く限りでも、行ける可能性というものはとても低いようにしか思われなかったのだ。

人類が宇宙へ行こうとしてかなりの年月が経っている。月へ行くためのロケットが爆発四散するニュースを何度か目にしたことがある。これから先も、多くの失敗を重ねつつ、多くの人達の命を犠牲にすることで、いずれ人類は宇宙へと活動拠点を広げていくのだろう。

ここで考えて貰いたいのは、幽が地球儀へ辿り着けたとして、誰がそのことを観測するのか? という点だ。人類は宇宙空間から地球にいる人類と交信する手段を持っているため、「あぁ、今月にいるんだな」とか「あぁ、失敗して爆発四散したんだな」という結果をしることができる。

幽が地球儀行きの片道ロケットに乗り込んで空へ飛び上がったとしよう、そのロケットが地球儀に着くことが出来たかどうかを知ることができるのは、幽ただ一匹である。なにせ交信する手段を考えていないのだから。

焔は成功したかどうかを知ることはできない。例え、物語がどんなに進んでいこうとも。

それでも幽は地球儀へと飛んでいく。それは幽の夢であるのだから。

 

この物語では多数の専門用語が登場する。しかし、小難しくて読みにくいという印象を抱く人は少ないだろう。これはどういうことか。

ブログ主なりに考えてみたが、『新たな単語が現れる度に説明してくれること』『文章の流れで理解できる』ことの二つだろうか。これらができていない文章こそ、小難しくて読みにくいということになるように思う。当たり前にできなければならない技術とも言えるかもしれない。

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