工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

傘による雨の演出

はてなブログの世話になって、早くも三年ほど経とうとしている。ずっとラノベの感想記事というものを書き続けてきたが、せっかくなので今週のお題というものに手を出してみることにした。

ということで今週のお題を確認してみると、

「傘」

梅雨に突入したこの季節にぴったりなお題だ。かくいうブログを執筆している今も、窓の外では雨が降っており、屋外に干せなかった洗濯物が室内を占拠している。じめっとした空気が背中にのしかかってくる感覚が、個人的には好きではないが、雨という天候は決して嫌いではない。

創作において雨というものは効果的に情景を表す背景として利用されることが多い。そんな雨の中を進むために利用される傘というものも同様である。最近読んだ作品の中で、傘が重要な意味を持っていた作品として思いつくのは、

だろうか。作中のヒロインである夕雨は虐めにより大事な傘を隠されてしまい、「これでは学校に行けない」と家に引きこもってしまう。全体的に雨の描写が多様され、虐めというシリアスな展開をより色濃くさせている。

他にも雨と聞くと、

という作品を思い出す。作中の「空の匂いを連れてきてくれる雨が好き」という台詞が個人的には好きだ。またアニメーション映画として、これ以上ないというくらい雨によって作中の登場人物達の心情を表現している作品とも感じる。

 

創作において、雨は作品の登場人物達の心情というものを切り取るならば、傘にはどのような意味合いがあるのか。

か弱いヒロインが、雨によって濡れてしまわないように、これ以上壊れてしまわないように守ってくれる存在として、(先ほども書いた)『夕顔 ヒカルが地球にいたころ②』という作品では傘が使われている。

『となりのトトロ』ではカンタがさつきに傘を渡しているシーンなど、彼の男気を表す小道具としても機能することがある。ラブコメでヒロインと主人公の距離が縮まるイベントの一つとしても相合い傘というものが使われることは少なくない。違和感なく相手との距離を詰めることができるからだろう。別れ際になって傘をどっちが家まで使うのか議論になるテンプレ展開は、もはやお約束である。

今、玄関で濡れたままで放置されている傘。正直、いつ買ったかすら覚えていない。この傘は人生においては大した意味もなく、いつかは壊れて捨てられ、そのまま忘れ去られてしまうのだろう。そんな傘に、意味を持たせられるような日が来てくれることを願う。

そうすれば、もっと雨が好きになるかもしれない。