工大生のメモ帳

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くまクマ熊ベアー2 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻

※ネタバレをしないように書いています。

職業:クマ

情報

作者:くまなの

イラスト:029

ざっくりあらすじ

異世界で冒険者としての名を上げていたユナ。領主様・クリフにお呼ばれしたり、フィナの母親の病気を診てあげたり、孤児院のために行動したりと今日も忙しいユナなのであった。

感想などなど

クマの格好と、あっさりと終わっていく戦闘によって描かれるお手軽チート物語も第二巻へ。第一巻では世界観や設定の説明が多かったという印象を受けますが、第二巻ではいよいよ周囲の人達との関係性が構築されていくようです。

元々、現実でもゲームでも人との関係性を断つことの多いキャラクターとして描かれていたユナ。親に一億渡して追い出したのは、その最たる例でしょう。ゲーム上でも人と関わることはなかったというように語っています。ギルドにて周囲の面々をボコボコにしていたのは記憶に新しいはず。

しかし、彼女も人の子。自身に刃向かうような敵には、情けも容赦もない訳ですが、それ以外には存外優しいのでした。

例えばフィナという病気の母を抱えた少女には、自らが倒したモンスターを解体してもらう仕事を斡旋(ギルマスから頼まれたという背景もありますが)、巨大モンスターに苦しめられているという村に偶然立ち寄った際には、見返りも求めずに撃退してあげるのです。

そうして勝手にクマとしての名は上がっていき、いつしか領主であるクリフの耳にとまり、お呼ばれするようなことになりました。まぁ、最近になって急激に力をつけるクマがいるとなれば気になるのは仕方ないのかもしれません。

 

領主といえば極悪非道に腹黒で、裏で一体どんな闇の仕事に従事し、どれほど手を血で染め上げているかは定かではない……というユナの緊張を余所に、クリフはいわゆる良い領主様という奴でした。仕事もできそうな感じで、メイド達やギルドメンバー達からも慕われているようです。

クリフとは冒険者としてこなしてきた仕事の話を適当にしながら、娘であるノアールといちゃいちゃしながら優雅な時を過ごす……そうしてクリフという後ろ盾を意識せずに手に入れてしまったユナ。恐ろしい子。

その知名度はギルドのみならず商売の世界でも広がっているらしく、ギルドとは別の商業ギルドにまで脚を運ぶユナ。株をやっていたということは、ある程度経済についての知識もあるのかもしれません。商売を初めていくユナ。こうしてあらゆる権力と繋がりを作っていくのですね、分かります。

 

あらすじでも書いた通り、第二巻は死にかけていた『フィナの母親とのエピソード』とつぶれかけた『孤児院の復興』の二本柱で構成されています。それらに領主であるクリフの権力や、クマのミラクルパワーが発揮され、立ち塞がっていたはずの障害はいつしか消え去っていくストーリーが待っています。

こうして今、記事を書きながら「どんな問題が発生していたんだっけ?」と首を傾げている訳ですが、残念ながら何一つ思い出せません。なにせ問題が問題として機能していないのですから。何が起きてもクマさんパワーで何とかなります。

流石クマ。生死の境を彷徨うことなんて魔法の力でちょちょいのちょい、孤児院だって豊富な資金源と権力を得た者にとっては救うことなど造作もないのです。相変わらずストレスフリーな物語でした。

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