※ネタバレをしないように書いています。
職業:クマ
情報
作者:くまなの
イラスト:029
ざっくりあらすじ
領主・クリフの依頼で、ノアールとフィナが王都に向かうまでの護衛を任されたユナ。その道中が何事もなく済むはずもなく、たどり着いた王都でも平凡な日々を送れるはずなどなかった。
感想などなど
孤児院で荒稼ぎにより商人ギルドでの地位も上げつつ、領主からの信頼も勝ち取りつつ、討伐により戦闘経験値を積みながら目的も特になくダラダラと過ごすチート異世界物語は第三巻。今回は、小さな町を飛び出して王都へと向かう話となっています。
物語のスケール感は広がりを見せ……たりはせず、淡々と「美味しいパンが食べたい」「孤児院の子供たちに仕事を与えたい」「移動を楽にしたい」というような細々とした目的を達成するために、適当に奮闘するエピソードが続きます。
その過程で、目的達成のために当方もない力技を駆使してしまったり、王様と友好的な関係を築いてしまったりしますが、それも全て職業:クマが悪い。
王都と言えば?
そう、城です。人の集まる城下町です。金の匂いに誘われた商売人や、金払いの良い依頼を求めた冒険者など、それはそれは有能な人が多い場所でした。王都で働く面々は仕事のできる人ばかり、食べ物を売る人たちも活気にあふれ、様々な商品が流通しています。
その中には、かなーーーーり珍しく珍味と言われているようなものもありました。
例えば。
ジャガイモ。美味しいですよね。しかし、この世界ではかなり珍しい野菜であるようでした。なんと毒があって食べられないと思われていたようなのです。放置していると生えてくる芽を取りさえすれば食べられるということに、気づくことはなかったようです。
他には。
チーズ。日本ではあまり流通していないように感じますが、それでもピザやらでお世話になりますね。しかしカビが生えている腐った食べ物で、とても喰えたものじゃないと思われていたようです。情報も多く集まるはずの王都ですが、チーズという食べ物は情報として入ってこなかったのでしょう。
卵。ないということではないのでしょうが、やはり民衆の間で流通するようなものではないようです。となると美味しい食べ方も分からない訳で、第二巻で作ったプリンが王都を掌握する日も近いかもしれません。
というように、現代知識があれば皆さんも良い生活ができそうですね。まぁ、王都に行けるだけの実力と運があればの話でしょうが。
ここまでの話で察しの言い方はいるかもしれませんが、やはり商売の匂いというものをどうしても感じてしまいます。とはいっても、まだ商売として成立するだけの元手がないのが現実。当分は商売で大きく跳ねる前の準備といった所でしょうか。
そんな商売話はおいておいて。次に彼女の冒険者としての活躍も見ていきましょう。といってもユナとしては名を上げようとか、金を稼ごうという意思はなく、「フィナと守りたい」「ノアールを守りたい」というだけの話。なんというか、すごいことをしているのに本人が無自覚な感じです。そんなユナにドン引きするフィナやらノアールやら、その他保護者。その目は十五歳の少女に向ける目線ではありません。
なにせ苦戦という二文字が存在しないのですから。強いて言うなら服が汚れた? 乙女かよ。あぁ、一応乙女だったわ。
例えば王都への道すがらで捕まえた盗賊団。はっきり言って同情の余地もなく強奪しつくし、女性を攫って慰み者にしているようなゲスどもですが、彼らの出番が一瞬で終わったのは同情してもいいかもしれません。いや、やっぱしなくていいわ。
なんかたくさん敵も出てきたようで、ユナも「苦戦するかも」的な雰囲気を漂わせていたような気がしますが、気のせいでした。クマがチートすぎるんですよね。なんか新たなスキルが出てきたみたいだし。
なんというか戦闘面はハイスピードで進行していきます。商売関連の布石は大量なのに……。第四巻以降は商売が加速すると勝手に予言しておきます。この予言はきっと当たることでしょう。