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乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…7 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

破滅フラグは終わってない……

情報

作者:山口悟

イラスト:ひだかなみ

試し読み:乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…: 7

ざっくりあらすじ

魔法省での研修にて竜を倒したカタリナは、新人として力仕事に励んでいた。その最中で『FORTUNE LOVERⅡ』の攻略対象の一人であるサイラス・ランチェスターの意外な裏の顔を知ることとなる。

感想などなど

さて、不安な立ち上がりを見せた魔法省での新人研修ではあったが、ドラゴンに枝で挑んだカタリナの勇気には盛大な拍手を贈りたい。ポチがいなかれば天寿を全うすることなく死んでいたことだろう。

ここで少しブログ主は考えてしまう。もし彼女が死んでしまったら、残された人達の人生はどのようになってしまうのだろうか……と。第二巻で闇の魔力で眠らされた彼女を、見守るしかなかった周囲の人達の絶望に満ちた顔は、今にも自ら命を絶ったとしてもおかしくはなかった。

第七巻のラスト、ドラゴンに襲われたあの状況において、マリアとしては生きた心地がしなかっただろう。なにせ巨大なドラゴン相手に、木の枝一本で立ち向かっていったのだから。

結局、闇の魔力のアレコレでいつしかペットになっていたポチの活躍により事なきを得た。カタリナという悪役令嬢はすっかり闇の魔力の使い手として成長を遂げてしまったということなのかもしれない。

 

さて、第七巻では新たな攻略対象が登場し、RTAばりに攻略していく。その男の名はサイラス・ランチェスター。マリアが所属する『魔力・魔法研究所』の部署長であり、超がつくほどに真面目で堅物。その冷静で冷淡な面持ちと言葉遣い、ルックスは数多くの女性ファンがいるのだという。

真面目であるが故に規律を誰よりも重んじているため、オカマや腹話術や気付けばいなくなっている部署長を抱える『魔法道具研究室』は目の敵としているらしく、そこに所属するカタリナやソラに対しても、厳しい目を向けていた。

つまりは一言も言葉を話していないのに嫌われているという状況である。

しかし、カタリナとしては破滅フラグがかかっている。どうにかして彼の情報を掴みたいと考える。なにせ処刑されるかもしれないという瀬戸際なのだ。ドラゴンに突っ込んでいったりするが、天寿を全うすることが目的であるということを忘れてはいけない。

そうはいっても仕事にも精を出さなければいけない。どうしようかと思いあぐねいていた時――これもイベントの強制力なのだろうか――カタリナは彼の秘密を知ることとなる。

なんと魔法省の片隅に畑をこしらえていたのだ……あれ、どこかで聞いたことがあるような。たしかどこぞの令嬢も、学園の片隅に畑を作っていたような気がする。

こうして二人の関係性というものは一気に親密になっていく。

 

しかし、第七巻におけるメインはサイラスではない。まぁ、重要ではないということは決してないのだが、彼に関するエピソードはこれからが本番という気がする。

となるとメインは何か?

なんとメインはマリアであり、これまで影を潜めていた破滅フラグの毒牙がいきなり牙を向け始めるのが、この第七巻である。

マリアが敵になるというような展開は、あまり想像できないかもしれない。しかし、ゲームの強制力というものは伊達ではない。まるで運命に導かれるように、マリアとカタリナが敵対しやすいような環境というものが構築されていく。

よくよく考えてみると、闇の魔力をその身に宿したカタリナと、光の魔力を持つマリアというのは、光と闇という分かりやすい対立構造となっている。これまで闇の魔力を感知すると寒気や悪寒を感じると語っていたマリア。光と闇は、水と油のように決して混じり合うことのない存在なのだろう。

物語の先が気になってしかたない場面で第七巻は終了する。カタリナはアホの子なのでシリアスっぽさは全くないが、よくよく考えてみるとシリアスな展開であった。この破滅フラグをどうにか跳ね返してくれよ、悪役令嬢。

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