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りゅうおうのおしごと!8 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※今までのネタバレを含みます。

女流棋士のおしごと!

情報

作者:白鳥士郎

イラスト:しらび

ざっくりあらすじ

『山城桜花戦』

女流六大タイトルの一冠巡る熱い戦いが京都で開催される。タイトルホルダーは供御飯万智、挑戦者は月夜見坂燎。

あいを伴って観戦に来た二人は、女流棋士の葛藤と切なさを知る。

感想などなど

七巻では八の師匠である清滝鋼介九段の決意と覚悟の物語でした。師匠の今後を決める一戦は、とても熱かったですね。

さて第八巻では打って変わって女流棋士の物語。派手に着飾った女流棋士の着物姿を、テレビのニュースで見たことがある人もいるでのはないでしょうか。そんな女流棋士の姿と思いが、今回詰まっています。

と、真面目に今回戦う二人――供御飯万智と月夜見坂燎のことを書き連ねたいところではあるのですが、今回は語る必要も特にないはずの、間に挟まれた短編について少し語らせていただこう。

今回三つの短編が間に挟まれている。これらの短編が物語の中でどんな役割を果たしてくれるのだろうと、読み進めていたのだが、全くもって関係がなかった。

ただ単純に「八一はガチのロリコンで、将棋界はヤバい人が多い」ということがわかっただけである。これまで何だかんだ八一のロリコンネタはネタとして笑えた自分がいたのだが、いつの間にか死んでいた。

まぁ、本筋に関係がないというだけで、面白くないというわけではないので安心してほしい。これまでのロリコンネタと八一のハーレムネタを十分に楽しめたなら、今回も楽しめるはずだ。

他にも更なるハーレム要員の追加などあるが、それは本編を読んでのお楽しみということで。

 

さて八一がロリコンであることは置いておいて、本筋である女流棋士について語らせていただこう。

これまでも何度も女流棋士は登場した。あいも天衣も桂香さんも女流棋士になったので、記憶に新しいことだろう。

そんな彼女たちは今後女流棋士として活動していくわけだが、一体彼女たちは何をすることで収益を得ているのだろうか。

棋士として試合をする・・・・・・これは前提として存在する。これに加えて、将棋を世間に広めることも一つの仕事となる。具体的には将棋イベントのゲストとしての参加。将棋の指導などなど。我々一般人が将棋に慣れ親しめるように活動することもとても大切な仕事として存在する。

特に女流棋士にとっては重要な仕事だ。

重苦しい感じがする将棋を華やかに彩ることは、男には到底無理である。女流棋士がそういった広報の仕事の中心を担うことになるのは、至極自然な流れだった。

客寄せパンダ・・・・・・というと言い方が悪いが、広報としては非常に都合がいいことに変わりはない。今回登場する二人もそういった仕事は請け負ってきた。将棋の良さを知ってもらうために行う活動であって、決して楽しくない仕事というわけではない。自分の好きなものを、他の人が好きになってくれる喜びは、何物にも代えがたいものだと思う。

しかし、だ。そういった活動をしてばかりいたら、どうなるだろうか。

想像していただきたい。将棋を指すことよりも、客に対するサービスにばかりとらわれている女流棋士がいたとしよう。来る日も来る日も晴れやかに着飾った着物を着て、駒よりも客の手を握ることの方が多かったら、どう思うだろうか。

女流棋士は所詮女流棋士・・・・・・そう思う人もでてくるのではないだろうか。

女流棋士とはプロに比べて、試合のレベルは低いといわれている。ただでさえ舐められていた女流棋士の存在が、さらに悪化してしまうかもしれないことは想像に難くない。

 

そんな実情を見過ごせない女流棋士がいた。・・・・・・いや、ある意味全女流棋士が同じ思いを抱いているはずだ。誰もが見ている人を感動させるようなドラマある試合をしたいと心の底から願っている。

だからこそ強くなるために努力し、試合の前には緊張し(八一と夜のデートにしゃれ込んでみたり)、勝てば喜び、負ければ悔しがる(八一にやつあたりする)。そんな女流棋士が抱く思いを集約させた試合が今回描かれている。

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