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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第十話【感想・解説】

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2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

破滅フラグが急に牙を向いてきたことにより、いきなりのピンチに陥ってしまうカタリナ様。ラストの展開には驚かれたことでしょう。そして同時に、次話以降の展開というものにも期待が膨らむはずです。

第十話という二桁代に達し、終わりの近づきも感じてきた本作の感想・解説をしていきます。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 犯罪を犯罪と認識せず、自分が危険な目に遭ったとしても寝たら忘れている貴族令嬢。
  • 断罪イベントに遭遇し、彼女が犯したという罪に言及されたが、敷地内に花畑を作るというように言って、勝手に畑を作ったくらいしか悪いことをしていない悪役令嬢であった。
  • シリウスとしては彼女を直接操った方が確実であるし、簡単な方法であったはずだ。しかしカタリナには誰かを恨むような感情も、嫉妬するような感情すらも抱いたことがなかったために操ることができなかった。
マリア・キャンベル

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 光の魔力の持ち主であるため、他の人には認識することすらできない闇の魔力を視認することができた。
  • これまでアニメで登場していた黒い靄のようなものは、全てシリウスによる闇の魔力だったということだ。
  • 光の魔力は闇の魔力に対抗することができる。シリウスがマリアを操ることができなかったのはそれが原因である。そのため薬で眠らせる方向にシフトしたのだろう。 
シリウス・ディーク

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 闇の魔力を操り、カタリナの断罪イベントを引き起こした張本人。
  • 闇の魔力は後天的なものであり、人の命を奪うなどのことをしなければ身につけることはできない。つまり彼は……。
  • カタリナに魔法をかけたあと流した涙の真意とは……。
闇の魔力

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 後天的に殺人などの行為で扱えるようになる禁術のようなもの。
  • 人の心の闇の部分である嫉妬や憎悪の感情を増幅させることで、対象者の心や心を操ることが可能になる。
  • あまりに危険であるため、その存在は国が抹消し、世間には知られないようになっていたはずだった。

注目すべきポイント

断罪イベント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナの元に、分厚い証拠の類いとともに断罪人がやって来た。ゲームではカタリナに虐められていたマリアを守るために、マリアとのフラグが立っていた攻略対象者達が行う(もしくは仕向ける)イベントであったらしい。

しかし、この場にはマリアを含めた攻略対象者達が来ていない。虐められていたはずのマリアなどは特に、この場にいなければおかしいだろう。大きなゲーム内との差であると言えよう。

カタリナとしては身に覚えのないことである。当然、アニメ視聴者達も覚えはないだろう。マリアを虐めていたのはカタリナではないし、むしろ守っていた側の人間である。彼女達が手にしているという証拠によれば、かなり手のかかった頭を使った虐めを敢行していたようだが、そんなこと木を登る才能しかないカタリナにできるはずもない。

生徒会の仕事により遅れて登場したジオルド達一向により庇われるカタリナ。「こんな手の込んだこと姉さんにできる訳ないよ」「馬鹿だから真っ向勝負しかできない」などなど中には庇っているようでけなしている様な言葉も混じっているようだが、周りの人達が納得しているからヨシ。

そしてトドメのマリアの言葉。これまで自ら言葉を張り上げることのなかった彼女が、カタリナを庇うために声を上げたのだ。

断罪イベントの違和感

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

唐突に起こった断罪イベントであったが、どうにも奇妙なことが多いようだ。まず前提としてカタリナを断罪しようとした理由が謎である。ジオルド王子との婚約を結んでいるということによる妬みや嫉みをされることは多かったが、だからといってこういった暴挙に出る者はただの一人もいなかった。カタリナに実害をもたらそうとする者は、ジオルドが裏で排除していたためである。

次にカタリナを陥れるために用意された資料が良く出来ている、という点である。彼女達にこれほどの文書を用意できるとは思えない。誰かに作らせたとすれば、一体誰が作ったものなのか。手を貸したものがいるとすれば、話は学外にまで波及するかもしれない。

またジオルド達が遅れてやってきたのは、生徒会に急な仕事が舞い込んだからであった。その隙を突くかのようなイベントの発生は、どこか仕組まれたような作為制を感じる。

マリアの失踪

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

マリアは「寄っていくところがある」と言い、そのまま失踪していまう。カタリナは付いて行かなかったことを後悔するが、あの状況下でそこまで予測できる人間はいないだろう。

アニメ視聴者であるならが、マリアが黒い靄のようなものを目撃し、それが事件と関係あるということを察したのだろうと推測できる。しかし、ここで理解すべき点はそこだけではない。

まずマリアは闇の魔力というものを知らない。闇の魔力は国が機密として徹底的に隠してきたものであるからだ。カタリナという侯爵令嬢ですら知らないのだから、それがどれほどの機密かは理解できるだろう。この後の展開で、不用意に犯人に接触したのは知らなかったからという理由が大きいだろう。

次にカタリナ達には黒い靄を認識していないという点である。原作小説はカタリナの一人称視点であるために、ジオルドに説明して貰うまではそういった魔力があるということに気付くことすらできなかった。アニメによりビジュアルで分かりやすく示されているため、今後の説明も理解もしやすくなっていた。

闇の魔力の説明

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

簡易的な説明については用語・人物解説に記しているため割愛。ここで注目したいのは国が隠していたためにジオルドくらいしか闇の魔力の存在を認知していないという点、そんな重要な話をカタリナにした真意である。

国が隠していたとは言うが、情報というものはそう簡単に隠せるものでもない。また隠すということは、闇の魔力を使うものはこれまでもいたということを意味する。事実、闇の魔力を扱うものはいた。しかし、それらはあまりに危険だったのだ。

例えば記憶を操るという魔法を使えば、歴史を歪めることだって可能である。政治・経済も自分のものにすることができるのだ。そのため闇の魔力を扱うことができる人間は、皆処刑だったり投獄されている。今現在、記録上には闇の魔力を扱う人間というものは存在しないことになっている。

ではそのような話をカタリナにしたのは何故か。その意味はカタリナが狙われているかもしれないというという事実に集約される。マリアが犯人に気付いて捕まってしまったのは、闇の魔力を知らなかったためである。もしも闇の魔力は、人を殺すといった行為でしか覚醒しないということを知っていたとすれば、不用意に近づくようなことはしなかっただろう。

知らなければ身を守ることなどできない。重い言葉だ。無知は罪と言うが、身を滅ぼすということも意味しているのかもしれない。

犯人

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

闇の魔力の話を聞いて眠ることができなくなったカタリナ。授業中に外を出歩くことになってしまう。そこで出会ったのは生徒会長シリウス・ディークであった。そこでふと「闇の魔力のこと」「犯人じゃないのか」と心に思ったことを口にしてしまう。

ここでのポイントはシリウスが怒りを露わにしたのは、カタリナの優しいという言葉に反応したから、ということにある。闇の魔力に言及された際も、犯人と疑われた時も、シリウスは決してその笑みを絶やさなかった。

そんな彼の心を強く揺さぶる「優しい」という言葉。何故シリウスはそれほどまでに、そこに反応を示すのだろう。そして最後に彼が流した涙の真意とは。

物語は佳境である。

最後に

解説できるだけの情報量があるアニメというのは楽しくて良いですね。書くのがキツいアニメというのは、書くことがなくて筆が止まってしまうものですが、本作は止まることがなくて助かります。

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