まず最初に
更新が遅れに遅れて、今さら第三話の記事というのは些か世間の潮流に乗り遅れているという感じがしないでもありません。放映時には毎度のごとくトレンドに乗り、その話題のしやすさと、ぶっ飛んだ主人公のチート性能は、あまりにぶっ飛びすぎて多くの人に受け入れられたようです。
用語・人物解説
アノス・ヴォルディゴード
- 魔王なのに不適合者認定された男。その実力は誰が見ても人知を越えたものであるにも関わらず、決して彼を認めようとしない辺り笑わずにはいられない。
- 時間を操る魔法を使うことができるが、その魔法も決して万能ではない。もしも時を遡り過去を変え、現在の状況を歪めようとすれば、それ相応の対価を支払う必要がある。
- 魔法の実力もさることながら、状況を見て推察し、その場にあった最善手をとるだけの頭脳も持ち合わせている。アニメ化はされないだろうが、今後彼に対して頭脳戦をしかける敵も現れる。勝敗結果はご想像の通りだと思われる。
ミーシャ・ネクロン
- 彼女は姉であるサーシャが十五歳となったと同時に、消失することが決定づけられている。誕生日プレゼントを欲しなかったのは、その運命を受け入れているからに過ぎない。
- 魔法で作られたという意味では、彼女が魔法人形であることに間違いはない。おそらく作った側も、事情を知っている周囲も彼女のことは魔法人形と認識しているように思われる。詳しくは第三話にて。
- 魔眼により魔法の深淵を覗くとかいう奴で、魔法の流れや構造を知り、そこに何の魔法が使われているのかを知ることができる。相手に魔法を察知されないようにする魔法もあるが、相手の実力差があればそれも意味をなさない。
サーシャ・ネクロン
- 本当は可愛いサーシャの画像をサムネにするつもりだったのだが、この顔を見せられたら選ぶしかない。キャラデザやアニメーターが有能すぎる。声優の演技も最高だった。
- 彼女が最後の事件を起こしたのは、アノスの推測通り、ミーシャに誕生日プレゼントを渡されたことがきっかけとなる。正確には彼女に覚悟を決めさせたと言うべきか。元々ずっと前から計画自体は立てていた。
- アノスにキスしたことも彼女にとって一つの重要なことである。冒頭にてミーシャの思いを確認していることも、彼女の背中を押す大事なシーンだった。こうして考えて見ると、アニメでは必要最低限なシーンを詰め込んで無駄は省いている。つまり脚本家が有能。
アイヴィス・ネクロン
- 七魔皇老の一人。不死者。魔力が強大すぎて、周囲の人達は勝手に畏怖してしまう。ちなみにアノスの魔力は彼以上に強大すぎて、周りの人達に認識してもらえない。
- この二千年もの間は魔法の研究に勤しみ、数々の魔法を生み出した。アニメでは省略されたが、ネクロン家に伝わる秘術に関して授業をするために彼は教室にやって来ている。授業中、秘術の構造的欠陥をアノスに指摘され、さらに千年間かけても気付くことのなかった改善策まで提示されてしまう。
- 二千年前にアノスに生み出された存在であるものの、主であるアノスのことを消され、代わりにアヴォスという偽の魔王の記憶を植え付けられている。しかし、アイヴィスからはその事実確認を行うことができない(アノスがその犯人かもしれない)ため、アノスとの関係性においては中立を保つことにした。
《追憶》
- どんな遠い過去の記憶も思い出させることができる魔法。
- アイヴィスにこの魔法を施したが、アノスのことを思い出させることはできなかった。どうやら忘れた記憶を思い出させるだけで、消されてしまった記憶に関しては取り戻すことができないようだ。
- 一般的……まぁ、簡単な魔法ではないだろうが、使われる魔法。
《時間操作》
- 起源魔法の一種。時間を逆行することができる。
- 二千年前のアイヴィスの記憶にアクセスすることで、アノスのことを思い出させようとした。しかし失敗。理屈上では、二千年前の当時か、もしくは時間を逆行して記憶を書き換えられたということになる。
- 《時間操作》はこの世界でアノスにしか使えない。
《条件》
- 連動魔法。術者が決定した条件に連動して、定められた魔法が連動して発動する。
- サーシャは、アノスにより攻撃が加えられたことを条件として、ミーシャの周囲に張り巡らせた魔法障壁を縮小させる動きを連動させるようにした。
- アノスの場合《蘇生》が扱えるし、目に見えた時点で彼女の傷は癒えていたため意味をなさなかった。
融合魔法
- ネクロン家に伝わるという秘術の名称。アイヴィスはこの秘術を授業するために教室にやって来た。
- 初級の融合魔法として、波長の異なる魔法を結合させることにより、強い魔法反応を産むことで魔力を数十倍にまで引き上げる《混合同化》という魔法を学ぶ。複雑な魔方陣を書くことになり、優秀なサーシャでも理解に一ヶ月ほどかかった。アノスの場合、理解には十秒もいらない。
- 構造的な欠陥により、構築した魔法を持続させることが難しくなっている。千年以上もの間、アイヴィスはその改善方法を見いだすことができなかったが、アノスは十秒程度での理解で、欠陥を見つけただけでなく改善策まで提示することができた。
デルゾゲード
- 魔王城の名称。これ自体が巨大な立体魔方陣となっている。
- かつてアノスが破壊神アベルニユーを地に堕として城とした。それこそがデルゾゲードである。また滅びの権能は《理滅剣》という神を殺せる剣に変えている。
- 《蘇生》などが成功するのは、破壊神がデルゾゲードになっているからだとされている。
《不死鳥の法衣》
- 可愛い。
- 神鳥フェニックスの羽毛を編んで作った法衣。
- 身に纏ったものに不死になる炎の恩恵をもたらす。しかし相応しくないものは焼き尽くしてしまう。アノスはミーシャにそのことを説明していないが、魔眼で見ればそのことは理解できたようだ。
《蓮葉氷の指輪》
- 指輪の冷気によって七つの海を蓮葉氷で埋め尽くすということから、その名がついた。
- 蓮葉氷というのは、湖などの氷が溶け始め、氷塊がぶつかりあうことで縁がめくれあがった状態のことを指す(蓮葉氷とは - コトバンク)。
- 魔法具と所有者は惹かれ合うため、ミーシャがこの指輪を気になったというのは、魔法具に求められてるということを意味する。
王笏
- ダンジョンの最下層にあるとされる魔王が作った神話時代の産物。
- 《魔王軍》の効果を押し上げることができるとされているが、ダンジョンの最下層に辿り着けたものがいないため、存在を確認できずにいた。
- 王笏ではあるが、この時代にある魔剣よりも、はるかに強い魔力が込められている。
注目すべきポイント
二人の過去と今
かつて魔眼の力を暴走させていたサーシャは、勝手に魔眼で破壊されないような特別な檻に入れられていた。そんな檻に入ってくることができたのが、ミーシャただ一人であった。正確には危険なので誰も入ろうとしなかったと言うべきだろうか。詳しくは第四話で語ってくれることだろう。
二人の仲は悪いように思われていたが、その実態はとても仲の良い姉妹だったのだ。冒頭にて仲良く手を取り合う二人のシーンや、ミーシャのことを悪く言う元グループメンバーの言葉に感情が揺らぐシーン、誕生日プレゼントを貰って感情が揺らぐシーンなど、仲の良さを裏付けるようなシーンがいくつも見受けられる。
第三話最後辺りで、それら仲睦まじくしていたのは、全て演技で嘘だったと語っているが、はたしてそれは本当なのだろうか。アノスはそこまで演技が上手いとは思えなかった語るが……。
アイヴィスの授業
七魔皇老については第一話にて解説済み。簡単に説明すると、二千年後の転生先として自らの血縁者を必要としたアノスが、この世に生み出した存在のことを指す。アノスに七魔皇老と名付けた覚えはなく、決して魔族の支配層になることをお願いしたようなこともない。
そんな超偉い七皇老の一人アイヴィスは、ネクロン家に伝わる秘術・融合魔法に関する授業をするためにやって来た。もうすでにサーシャは家庭で教えられたのに対して、ミーシャは教育を施されていないようだ。十五歳で消えることが確定しているために、教えるという労力が無駄になるから仕方ない。
また、学生達が緊張しているのは、アイヴィスの魔力が強大すぎて意思とは関係なく畏怖しているという設定がある。「だったらアノスはどうなるんだ!」という声もあるっかもしれないが、アノスの場合はアイヴィス以上に強大すぎて、感覚が麻痺して見えなくなっている。
原作ではその授業の最中、アイヴィスの教える融合魔法が抱える致命的な欠陥を指摘し、その改善策まで提示した。アイヴィス曰く「もう教えることはないぞ……」。
ダンジョン
デルゾゲードの地下には巨大な地下迷宮が作られている。真野のが放たれた迷宮に潜り、隠されているという宝物を見つけてくるという内容の授業だ。見つけた宝物の価値に従って、グループの点数が決められる。そんな宝物の中でも、最下層にあるとされる王笏は問答無用で満点になるのだという。
迷宮には複雑な魔法が張り巡らされていることで、アノスですら《転移》を使うことはできない唯一の場所となっている。そしてその魔法を解除することに成功したとしても、この迷宮が爆発してなくなってしまうような仕組みを組んでいるという徹底ぶり。
そんな最強の迷宮の制作者は魔王自身だ。最強である自身ですら、ズルはできないようにすることで、破られかねないセキュリティホールを埋めたということだろう。今後、魔王より強い魔族が現れでもしない限り、破られることはない。
そして事実、迷宮にある隠し通路はこれまで誰にも見つかっていないようだ。まぁ、まさか物理的に壊すことでしか開けないのは、扉とは呼ばないのだから見つからなくとも仕方がない。それは扉ではなく壁である。
流石に、毎回開く度に魔法で壁を造り直すのは、面倒だと考えているようではあるが。セキュリティのためなら、その程度の手間は惜しまないのが我らのアノス様である。
ダンジョン 最下層
物理的なセキュリティを突破して、辿り付いた最下層。そこには言われていた通り王笏があった。その場所には、これまた物理的に隠された宝物庫もあり、そこには貴重な魔法具の数々が置かれていた。アノスは決して安くはない宝物の中から、友人であるミーシャが姉に贈るプレゼントを一つ、選んで良いのだという。太っ腹すぎる。上司にしたい。
ミーシャが選んだのは《不死鳥の法衣》。効果については文章にて、用語・人物解説の方に記載している。滅茶苦茶強い。今後の活躍に期待しておこう。
また魔法具は使用者を選ぶと言われ、ミーシャが《蓮葉氷の指輪》に興味を持ったのはただの偶然ではなく、どうやら指輪がミーシャを選んだということであるらしい。
誕生日プレゼント
宝物庫で選んだ《不死鳥の法衣》をプレゼントするミーシャ。十五歳の誕生日プレゼントとしてサーシャがミーシャに何も用意していないということに、違和感を覚える方は少なからずいたのではないだろうか。今後の展開と、彼女が考えていることを踏まえると、そのことにも納得がいく。
また受け取っている最中、サーシャの魔眼が発動している。彼女は魔眼を完全に制御できている訳ではなく、感情が大きく揺さぶられると自動で発動してしまうことがある。つまりはそれほどこのプレゼントが感情を揺さぶっているということを意味する。その感情の揺らぎは、喜びによるものか、はたまた別の感情かは定かではない。
傷害事件
着替えるというサーシャのために宝物庫の中に入ったアノス。あまりに時間がかかりすぎていることに違和感を覚え外に出ると、そこにはナイフで刺されたミーシャと、頬を血で汚したサーシャがいた。「全て演技だった」「キスをすればころっと騙される」と彼女は自身の行動を説明し、目的は「王笏を得ることによる満点評価」「王笏を手に入れること」「妹が昔からうざかった」などと色々と聞いてもいないのに説明してくれる。
彼女のそんな説明にはあまりにも突っ込み所が多すぎる。ます殺すというのであれば、《破滅の魔眼》を使ってバラバラにでもするべきであった。ナイフで刺された程度ならばアノスにならば《治癒》が可能であることは容易に想像できたはずだ(まぁ、見ただけで治せるのは予想外だろうが)。
サーシャがアノスにキスをしたことは、あまりに唐突すぎて驚かれた方も多いことだろう。というかキスがきっかけでアノスが態度を変えたことがあっただろうか……? 変わったと思っているのだろうか。まぁ、この辺り理由や背景については第三話に説明を譲りたい。
王笏関連で語ったサーシャの理由は「満点評価」にサーシャが固執することが描かれていないため違和感しかないこと、手に入れた宝物はグループのリーダーが所有権を得るということ、などからはっきりと否定できる。
ミーシャに向けるサーシャの感情に関しては、外から見ると良く分からない。だが二人の通ってきた過去や、感情の揺れ動くポイントを鑑みてみると、どうしても嫌っているとは思えない。
つまり、サーシャは本当の目的を隠して行動している。
アノス VS サーシャ
サーシャは本気で《破滅の魔眼》の力をアノスに向けていたし、《条件》の魔法により自身を傷つけられることがないように対策も立てている。ミーシャに対する暴言の数々は、感情を高ぶらせることもなく冷静に告げている。
それに対してアノスは《破滅の魔眼》の力を無効化し、ミーシャが傷ついているのを見た瞬間に治癒させ、状況を見て治したことを悟られないように幻覚を使っている。さらにミーシャが冷静であることを悟り、演技であることを見抜いた。魔王様にとってはこの程度は容易い。
それら全ての真相は第三話で明かされる……ことを期待しておこう。
最後に
恵まれたアニメ化だなぁ……と思います。キャラデザ好き。十二話の記事が上がるのは、一体いつのことになるか分かりませんが、頑張って書いていきますね。
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