※ネタバレをしないように書いています。
悪魔を宿して悪魔を狩る
情報
作者:藤本タツキ
試し読み:チェンソーマン 1
ざっくりあらすじ
父親の借金を返すためにヤクザの下でデビルハンターをしていたデンジは、突然の裏切りによって殺されてしまう。しかし、ポチタと契約して心臓を貰い、人と悪魔が共存したデビルハンターとしてマキマさんの下で働くこととなる。
感想などなど
食パンにジャムを塗って食べて、女といちゃいちゃしたりして、一緒の部屋でゲームして、夜は暖かなベットで一緒に寝る……この作品の主人公デンジの夢である。そう聞いて些細な夢だと笑う者が、この日本には多いことだろう。
だがデンジは本気である。
彼の生活はどん底であった。右目は売り払い、腎臓も売り払い、睾丸の片方も売り払い、それでも返しきれない借金が3000万以上。デビルハンターという悪魔を殺すという危険な仕事に従事しながら、借金返済しつつその日の食事もままならない日々を送っていた。
彼にとって食パンはそのまま何もつけずに食べるものであったし、女性は言葉を交わすこともない対象であって、ゲームなんて触れることすらできない夢のようなものであって、彼にとってのベットは硬く冷たい床であって、唯一の温もりは悪魔のポチタだった。
そんな夢も見られない生活から抜け出す……そんな奇蹟は、悪魔によってもたらされる。彼の雇い主だったヤクザが、ゾンビの悪魔と契約し、皆ゾンビになってしまったのだ。デビルハンターとしてこれまで数多くの悪魔を殺してきたデンジへの復讐として、ヤクザゾンビ達をけしかけて、デンジは八つ裂きにされてしまう。
そうして死んだデンジは、ポチタと契約を交わす。
デンジが夢を叶える代わりに、ポチタはデンジの心臓になる……という契約を。
こうしてデンジの心臓はポチタとなり、悪魔と共存した人――チェンソーマンの誕生である。
ここまでが第一話。自らの夢を邪魔するゾンビの悪魔を殺し、ついでにゾンビになったヤクザを皆殺しに。まぁ、それで借金チャラになったということで。法律的にはどうなのか知らんが。
そんな現場にやって来たのは、今後デンジの飼い主となる公安のデビルハンター・マキマさんである。明らかに人の外観していないデンジを人と見抜き、彼女はデンジに選択を迫る。
悪魔として殺されるか?
人として飼われるか?
デンジに選択肢はなかった。今後、公安の犬として、マキマに飼われる犬として生きていくことになる。これから先、彼を待っている悪魔との戦いの数々を加味しても、この出会いを幸せの始まりと呼ぶか、不幸の始まりと呼ぶかは、デンジが選ぶことである。
とりあえず普通の服と食事にありつけることは約束されたのだ。今の幸せを噛みしめよう。
さて、とりあえず飯とか部屋とかそういった諸問題は解決した。もう夢を叶えたようなものだと言えなくもないが、彼には新たな目標ができた。
女性の胸が揉みたい。
……できればマキマさんの胸を揉みたいが、嫌われたくない。
そんな彼の前に現れたのが、魔人(人に取り憑いた悪魔と考えて貰えればよい。色々と定義はあるようだが)パワーである。魔人というのは本来、デビルハンターに狩られる対象だが、パワーのように知能を持って人に協力する者もいるらしい。
だが、彼女はただの魔人ではない。なかなか大きな胸を持っていた。デンジはこのパワーの胸を揉むことが戦う原動力となり、滅茶苦茶強くなっていく。エロは男を強くするのかもしれない。
無茶苦茶な勢いで読ませてくる、とても読みやすい漫画であった。