※ネタバレをしないように書いています。
悪魔を宿して悪魔を狩る
情報
作者:藤本タツキ
試し読み:チェンソーマン 2
ざっくりあらすじ
胸を揉むためにコウモリの悪魔と戦うデンジ。その激闘の末に、デンジは胸を揉むことができるのか? そして、マキマさんからのお願いとは。
感想などなど
「たかが胸を揉むために……こんな戦えるのか……?」
デンジを騙してコウモリの悪魔に引き渡したパワーの発言である。これぞ読者の心情を見事に体現してくれたと言えよう。第二巻の二話ほどはコウモリの悪魔絡みの戦闘が描かれるが、彼の戦う理由は誰かを守りたいとかそういうものではなく、一貫して胸を揉むためであった。
命を賭けた勝負の褒美が女性の胸だとして、あなたは頑張れるだろうか? どうにも天秤が釣り合わない気がするのは、ブログ主だけではないだろう。そのため、彼は本気ではないとか、バカだとか色々言われる。
しかし、本気であるということだけは疑いようがないのである。
悪魔の血と、肌を突き破ってチェンソーが飛び出す度に飛び散るデンジ自身の血が混じって、血みどろになりながらの戦闘は迫力と勢いがある。それでいて見やすい。この漫画の見所はストーリーもさることながら、構図やコマ割りにもあるように感じる。
第一巻にてデンジと早川が同じ部屋で住むことになった。普通とは程遠い生活をしていたデンジが、二巻時点でイスにきちんと座って食事をし、トイレ掃除までするほどの普通を手に入れているのはとても感慨深い。
早川もそんな彼を徐々にだが認めつつある。厳しさはあるが、それは悪魔に対する警戒心や経験によるものだということは、彼の回想や周りの発言など聞いていれば分かる。
そんな二人の住む家に、パワーまでも加わった。騒がしかった家がさらに騒がしくなり、早川がデンジに向けていたものと同じ目を、デンジはパワーに向けている。そんな彼女もまた、いずれ人らしい生活を身につけていくのだろうか……三人のしっちゃかめっちゃかの生活にも期待が膨らむ。
そんな些細で暖かな日常とは正反対な仕事、デビルハンターとしての業務も忘れない。デンジはマキマさんに『銃の悪魔』の話を聞き、そいつを狩るという強い目的ができた。
銃の悪魔というのは銃社会が世界的に進み、多くの人が死に、とても恐れらたことで凶悪すぎる力を手に入れた悪魔(悪魔は、恐れられているほど強くなる)である。そいつをチェンソーの悪魔ならば殺せるかもしれない、というのだ。
チェンソーの駆動音は、大きく響く重低音であり聞いているだけで緊張するような感じがする。巨木を切ることができるような力があるなら、人なんて容易く殺せるという見た目のインパクトが緊張感を与えるのかもしれない。
そんなチェンソーなら……どうだろう。
ただいきなり銃の悪魔に挑めるという訳ではないらしい。世界各地に散らばり、悪魔が食ったとされる銃の悪魔の欠片。それらを集めて結合させていくことで、銃の悪魔の居場所を示す羅針盤のようになるらしい。
つまり、当分の間は悪魔を狩りまくる必要がある。そのためデビルハンターとしての業務にも気合いを出していくデンジ。コウモリの悪魔の次、戦うことになる悪魔もまた、かなり厄介なものであった。
果たしてデンジはそいつを倒せるのか?
ネジが一本も二本もぶっ飛んだような彼だからこそ思いつく作戦に期待が膨らむ。無駄のない話が連続した漫画であった。