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チート薬師のスローライフ〜異世界に作ろうドラッグストア〜(3) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

キリオドラッグ、開店です!

情報

作者:ケンノジ

イラスト:松うに

試し読み:チート薬師のスローライフ〜異世界に作ろうドラッグストア〜 3 (ブレイブ文庫)

ざっくりあらすじ

24時間で覚えた内容を忘れない薬や、言語が自動的に翻訳される薬といった現実にはなかった便利薬に始まり、花粉症の薬や身体を温める入浴剤のような前世でも馴染みある薬であったりを開発し、どんどんと売上を伸ばしていくキリオドラッグの日常。

感想などなど

この世界でキリオが作る薬というのは、現実よりのように思えてかなり違う。そもそも精霊や魔族といった種族や、幽霊といった存在が普通(?)にいるのだから、現実の薬に関する知識を当てはめるというのは間違っているが。そもそも現実に飲んで傷が癒えるポーションとかないし。

それにしたって、この世界における【創薬】がチート過ぎる。

例えば。

皆さんは暗記が得意だろうか? 今だからこそ思うのだが、大学受験に向けて、様々な英単語や古文単語、理科や地理の用語といった暗記をこなしていた過去の自分は凄かった。あれほどの力が、今になって発揮できるかと言われれば首を傾げるしかない。

そんな悩みを瞬時に解決してくれる薬がある。キリオ製作「ウ・カール」は、薬を飲んで24時間で覚えた内容を忘れないという効果がある。是非とも受験前に一本いただきたかった。ちなみに作中では道具屋のポーラがこの薬を使って試験に合格している。

他にもゴブリンのような異種族や、鳥や猫といった動物とも会話を成り立たせる薬「トランスレイターDXレモン味」であったり、見るからにチートだと分かる薬が登場する。そういった薬が出る度に、夢がある世界観だと思える。

これから先、どんな薬が出てくるのか。それを妄想するだけでも楽しいではなかろうか。

 

さて、そんな薬意外にも、我々には馴染みのある薬も多数でてくる。しかし、それらに馴染みのない効能が付与されていることが多い。

例えば。

我々を苦しめる花粉症。その症状を抑える薬は、患者にとってはなくてはならない必需品となる。しかしこの世界には、花粉症はあるにも関わらず、それを抑える薬はないのだという。恐ろしい話だ。

キリオはあっさりとその薬を開発。その薬は、花粉症である木にも効果があるようだ。そのことに気付いたのは「トランスレイターDXレモン味」のお陰だったりするのだが、もしかしたら現実でも木が花粉症にかかって……いやないか。

風呂にあったら嬉しい入浴剤。匂いや効能を体感に応じて、入浴剤は好みで変えていくものだ。しかし、キリオ製作の入浴剤は、一歩間違えると劇薬である。なんと少し量を入れすぎると、2日間も眠り続けるというのだ。不眠症に悩む方には、是非とも試して貰いたい一品である。

ノエラのもふもふが原因で、静電気による被害が多発しつつあったキリオドラッグ。そのため、静電気を抑えることができる「液状耐電薬」を開発。これにより静電気が発生しなくなった……だけならば良かったのだが。なんとこの薬、電機属性の魔法を無効化する効能もあったのだ。RPGだったら買い占められそうなアイテムであろう。

というように、薬に予想外な効能があって事件が発生、もしくはオチとなる話。一つの薬で上手いこと物語を展開させて、オチを付けているという印象だった。

相変わらず、安定感のある作品であった。

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