※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
羽伴毅の攻撃を受ける康穂と密葉。ただの治療で来ていた密葉だったが、ロカカカの実による等価交換を知り、自分が何を代償として支払っていたかを知った時、彼女も覚悟を決める。
感想などなど
自身が美しくなるために、家族に黙って二億を使う密葉という女……ヤベー奴という感想しか抱けない。「ざっくらあらすじ」ではただの治療というように書いているが、実際はただの美容整形ということを忘れてはいけない。
つまり、治療をせずとも生きてはいける。羽伴毅が「あなたは健康体なのですよ」と告げていたことが思い出される。
その治療がロカカカの実による等価交換で行われいることなど知る由もない。たとえ、今の彼女の悩みが解消されたとしても、何かしらが失われるということは火を見るよりも明らかだ。
しかし、ど耳の後ろが石になったり、歯が石になったりという不調が見られない。
彼女は一体、何と等価交換をしたのか? まさか新しいロカカカの実?
その真相にはゲスい事実が隠れていた。
結論から言ってしまおう。密葉は、妊娠している自分の赤ん坊と等価交換をされていたのだ。つまり彼女は美しい胸を手に入れて、これから生まれてくる子供を失ったのだ。岩のようになってしまった赤ん坊が砕けた破片が散らばり、密葉が妊娠していたという情報と繋がり、真実を悟るシーンは衝撃だろう。
「このゲス野郎ォォォォーーーー!!」
と叫ぶ密葉と康穂が印象的だ。かくいう読者も同じような印象を受けるはずだ。受けないという方は、公共の利益のためならば人の命も利用する岩人間たちと同じ考え方である。もしかしたら本当に岩人間かもしれない。
そんなゲスな事実を知り、密葉がスタンド「アウェイキング・Ⅲリーブス」を駆使して戦うことを決意した。このスタンドがトリッキーでありながら、なかなか強い。
スタンド能力は『矢印を1枚張ると、その矢の方向にエネルギーが動く。3枚張るとそれぞれの方向がベクトルのように合わされて繰り出される。』というもの(単行本より抜粋)。漫画だと絵があるので分かりやすいし、理系出身者であるブログ主にとっても馴染みやすいのだが、他の方には分かるだろうか?
矢印を張った方向に、物体が吹っ飛んでいく様子を想像して欲しい。「とある魔術の禁書目録」のアクセラレータの反射を想像して欲しい、と言った方が分かる方は多いかもしれない。このブログに来る人=オタクという等式が成立すると思っているので。
そんな長強いスタンドではあるのだが、粉々に砕けて「空調」を通過して、どこまでも追跡してくる羽伴毅とは相性がよろしくない。なにせどんなに攻撃しても、砕けられてはダメージを与えられないのだ。
それでも何とかして辿り付いたロカカカの実の栽培場所。やはり病院内で栽培をしていたのだ。密葉の赤ん坊を取り戻すためにも、奪われた(と思っている)新ロカカカの実の枝を取り戻すためにも、密葉や康穂、少し遅れて定助達と共に、協力して彼と戦うこととなる。
正直、定助では勝てないだろ……と思っていたのだが、その考えは甘かった。これまでの経験値の積み重ねもあり、密葉の協力もあってのギリギリのバトルの決着は、是非とも漫画を読んで確認してほしい。
気持ちの良い勝利であった。