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七星のスバル2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

伝説がそこにいた。

情報

作者:田尾典丈

イラスト:ぶーた

ざっくりあらすじ

<無垢なる闇>を打ち倒し、不完全であれ能力が復活した陽翔。その報は《リユニオン》を駆け巡り、伝説を打ち倒そうとする人々が次々と現れる。

それに混ざって旭陽を狙う影が迫り、戦いは激化の一途をたどっていた。

旭陽を守ろうと必死に戦う陽翔。そんな彼に咲月は苛立ちを覚えていた。

感想などなど

前巻では、旭陽の死から立ち直れずにいた陽翔が、過去と向き合うことで自分の能力を取り戻した。旭陽との約束も引っ張るのかなと思いきや、一巻目にして思い出し解決。咲月との再会も果たし順調な滑り出し……と思いきや、貴法の怪しい動きを見せる。

と一巻のあらすじとしてはこんなものだろうか。

物語の目的は「旭陽がログアウトできるようにすること」(当然人によって違うだろうけど)であり、常に中心には旭陽がいることになる。

その旭陽を狙う人間が大量に登場する。

謎の多いセンスの中でも、一際謎深いセンスである<未来視>を解析したい……と言えば聞こえはいいかもしれないが、結局のところ利用したい、自分のものにしたいという欲の表れであろう。

つまり誰もが彼女ではなく、彼女の持っている能力にしか興味がないのだ。

そんな旭陽を狙う敵の中に、一人だけ。旭陽本人に興味を持ち、自分のものにしようとする人物がいた。それが元スバルメンバーであり、天理を司る貴法であった。

貴法が何故、旭陽を狙うのか? 一巻を読んだ人ならば、ある程度分かっていると思うのだが、簡単に説明すると「嫉妬」の一言に尽きる。

彼の性格や行動については賛否両論あるのではないかと思う。しかし二巻の最後、複雑な自分の感情に対して、彼なりの折り合いをつけた。そこまで読んで彼の性格については議論して欲しい。

 

旭陽を巡って入れ替わり立ち代わり敵が現れ、咲月と陽翔はそれらに対抗する。しかし彼女たちには<ユニオン>で伝説として語られるほど猛威を振るっていた力が残っていない。たとえセンスがある程度戻ったとしても、時間によるブランクは、そう簡単に戻せるものではなかった。

しかも敵には貴法がいるのだ。彼も伝説の一人であり、どうやら自分の能力をほぼ現役の頃まで取り戻しているらしい。

ぶつかり合う伝説。といっても一方はほぼ現役で、一方は現役には程遠い存在。勝負は明白だった。

そこを漁夫の利のようにかっさらっていく存在がいた。敵もただのバカではないらしい。伝説を潰すべく策を施した奴らがいた。

さて伝説は伝説らしく、圧倒的な力というやつを見せてくれるのだろうか。結論から言ってしまえば、彼らは圧倒的センスを備えた伝説だった。

そこら辺の熱い戦いは読んで確認してほしい。

 

作品の見どころとして、熱いバトルが挙げられる。しかしもう一つ見逃せないのは、スバルというチームにおける人間関係だ。

まず旭陽は陽翔に好意を抱いている(当時小学生なので、何とも言えないところではある)。

次咲月も陽翔に好意を抱いている。

は? ハーレムやんけ! まぁ、別にそれはいい。問題なのは旭陽が死んでいて、咲月は生きているということにある。

死んでしまった彼女、友達などとの思い出は美化されるものである。特に陽翔の場合、旭陽と互いに守りあうという約束を交わしていたし、自分を庇って死んだという状況も相まって、それはそれは記憶に強烈なものとして残されている。

実際彼は廃人のようになっていた。そんな彼を咲月は一体どう思ってみていたのだろうか。

皆さんの想像以上に、この物語は重たいかもしれない。

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