※ネタバレをしないように書いています。
間違いだらけの青春模様
情報
作者:渡 航
イラスト:ぽんかん⑧
ざっくりあらすじ
青春を謳歌しているリア充を見れば「爆発しろ」と呟き、将来の夢は「働かないこと」である。そんなひねくれ者である比企ヶ谷八幡は、平塚静に命令され、奉仕部に入部することになる。
そこには性格が残念だが超完璧な美人、雪ノ下雪乃がいた。
感想などなど
アニメ化もされ、かなり多くの高校生に影響を与えただろう本作。かなり有名なので、読んでおいて損はないかと。アニメもかなりしっかりとされているのでお勧めです。
さて、この物語は比企谷八幡の自分語り、つまりは一人称で構成されている。これはあの「涼宮ハルヒの憂鬱」と似たり寄ったりといった所だ。
そんな作品の最大の特徴は、主人公がかなり捻くれているという点にある。
分かりやすいのは、先生や雪ノ下雪乃に更生を求められたシーンだろうか。「変わるべきだ」と彼に語り掛ける二人に対する返答が、
「別に求めてないんすけど……」
「逃げて何が悪いんだよ。」
といった感じ。確かに彼の言うことも分かるのだが……。
彼には友達がいない。その理由は彼が捻くれてしまった、の一言に尽きる。
その「自分は何故ボッチなのか」という命題は度々議論され、その度に様々な意見が飛び交うのだが、そこら辺が面白い。孤独を好む多感な男子高校生に、この部分が受けて爆発的人気を博したのでは? と個人的に思う。
無理やり友達を作れない……いや、作らない理由を生み出す比企谷八幡。
彼はそんな自分を「孤高のボッチ」と評価する。ボッチを極めたら、その頂に立てるらしい。
ではここで他の登場人物たちも見ていこう。
まず一緒に奉仕部として活動していくことになる、雪ノ下雪乃。彼女は成績も運動も容姿も超完璧な女子高生。しかし性格は非常に残念となっている。
残念というよりは面倒くさい、不器用という方が近い気がする。あらゆる部分で手を抜けず、融通が利かないのだ。
そして彼女にも友達がいない。「友達いるのか」と尋ねられ、「まず、友達を定義するところから始めないと……」と言い出す彼女に友達がいるとは到底思えないだろう。
さて何故だかボッチのコンビが出来上がってしまった。その元凶である平塚静は二人に勝負するように持ち掛ける。
「互いに迷える子羊を救い、その数を競う」
これから10巻以上も続く長い物語が始まっていく。ブログを書いている今、完結はまだまだ先のようですが、いつかは終わってくれるのでしょうか……。
この作品を語るうえでもう一人絶対に外せない人がいる。
由比ヶ浜結衣。ボッチとは対極にいるリア充である彼女は、奉仕部に依頼して友達関係の問題を解消してもらう。
その問題をざっくり説明すると「空気を読みすぎて、気疲れしてた」というもの。実際はもっとややこしいので、詳しくは作品を読んで確認してもらうとして、今回の焦点は「空気を読む」ことにあると思う。
誰かと一緒に過ごし、友好な関係を続けていく上で大切なことは空気を読むことだろう。しかし空気を読むことを完璧にやり遂げたとしても、対応を間違えば互いの関係に傷がつくかもしれない。
はて友達……という関係なのに、そこまで気を使わないといけないというのはどういうことか。
そんな問題を解決してもらって、何故だか彼女も奉仕部に出入りするようになる。その理由もちゃんとあるのだが、後々ということで。
主人公の捻くれを受け入れられたら楽しめる作品で、はまる人はとことんはまってしまうと思う。読もうか迷っている人はアニメを見てもらえればいい。といっても大分端折ってるところはあるので、原作も読んでいただけたらと思う。