※ネタバレをしないように書いています。
艦娘+洋酒のマリアージュ
情報
作者:森永ミキ
試し読み:艦隊これくしょん -艦これ- 今宵もサルーテ! (4)
ざっくりあらすじ
ガンビア・ベイ、コマンダン・テスト、タシュケントの三人が、鎮守府にかつてあったとされる《伝説のバー》を復活させるために奮闘する日常。
感想などなど
給糧艦募集の審査に挑むこととなり、それぞれ思い思いのペアを組んだところで終わった第三巻。ベイは栗田艦隊の一人・羽黒とペアを組み、タシュケントは日本からソビエトに賠償として送られた駆逐艦・響(ソ連ではヴェールヌイ)でのペア。コマンダン・テストはザラ姉さんでペアを組んでいる。
特に注目はベイ羽黒ペアだろうか。栗田艦隊苦手を克服するという目標の達成の一助に、今回の審査がなってくれれば良いのだが……ついでにバーテンダーとしての腕も磨けたら最高。二兎追うものは一兎をも得ずという諺もあるが期待値は高めで。
タシュケントと響のペアも見逃せない。ボルシチが得意料理だと語る響が可愛い。ゲームの方の艦これでは、お手軽に手に入るので好き。タシュケント? ……イベントで落ちなかったらないですね。
コマンダンテストとザラ姉様は、その高すぎる料理スキル・菓子制作スキルを引っ提げて審査に挑む。ついでに鎮守府にバーができることを知ってしまったザラは、酒大好き妹・ポーラの将来を危惧し始めていた(ちなみにポーラは第一巻で登場。酔った挙げ句にいきなり服を脱ぎだした子である)。
給糧艦募集の審査というのだから、てっきり試験の内容は「食事を作る」「お菓子を作る」といった内容になるかと予想していた。しかし実態は、「制空権を確保しながら指定された的を撃つ」という実戦的なものから始まる。
そういえば艦これは何か敵がいて戦うゲームでした。三越コラボでは普通に私服で敵がいたり、艦娘達も水着やサンタ服で出撃したりするので忘れてました。給糧艦という役割であるといえど、戦うことは往々にしてあるのでしょう。
そんな第一審査をくぐり抜け、第二審査はいよいよ「食事と飲み物を提供」する内容となる。具体的には二組がそれぞれ思い思いの食事と飲み物を出し、投票で多数を取った方が第三審査へと進む。
危ない場面もあったが、二人の絆を持って第一審査をくぐり抜けたバーテンダーの卵達は、第二審査へと挑む……ここまでは順調であった。
第二審査、べイと羽黒はZ1・Z2ペアとの戦いとなる。まーた入手難度の高い二人が……という変な心配もあるが、それ以上にベイと羽黒が何か問題を起こさないかハラハラしつつ読み進めることになる。
まぁ、そんな読者の想像通り、作りたいカクテルの材料を忘れるという致命的なミスを犯してしまう。具体的には見た目華やかなブルーハワイというカクテルの肝である飾り付けのフルーツを忘れたのだ。
今から他のカクテルを作ろうにも、適する材料がない。追い詰められたベイの打ち出したカクテルは、彼女の成長を感じさせる。リシュリーが喜ぶ気持ちが良く分かる。ちなみに羽黒は足柄姉さん直伝のカツカレーを出した。カクテルとカツカレーって合うのだろうか……誰か有識者の方、教えて欲しい。
そんんだ第二審査を終えると、次は第三審査。これはそれぞれ指定された泊地へと料理を持って赴き、そこにいる審査員に振る舞うというもの。その道中に敵がいた場合は交戦する必要もあるため、単純な戦闘力が問われる一方、交戦により料理が漏れたりといった問題への対応力、そもそも遠方まで持っていくことを考慮した料理の選定も求められているのだろう。
この試験でもまた、様々な問題が発生することは既定路線。先輩方からの試練こと厳しいムチもありつつ、涙ぐみながらも一人前に成長していく。みんな良い子やなぁ……と微笑ましい。
この第四巻で最終巻ということになっているが、「もっと続いて欲しかった」という気持ちが強い。この作品を通じて知ったブランデーは幾つか購入したし(林檎の奴美味しかった)、飲み方も少しばかり勉強になった。
アトランタやコロラドといった知らない娘も出てきたり(自分が辞めた後に追加されている)、画面の隅々にまで艦娘が多数登場し、ただ眺めているだけでも楽しい作品だった。
最初にガンビーを階段から突き落とした犯人も判明したが、タイミングと理由にはどうにも不完全燃焼な感じがする。給糧艦としての仕事やら、バーとしてのその後など、物語として描ける内容はあったように思う。というか見たい。
終わってしまうことが寂しい漫画だった。