※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
行き過ぎた恋心
情報
作者:駱駝
イラスト:ブリキ
ざっくりあらすじ
新聞部の敏腕編集部員・羽立桧菜に「三股疑惑」をかけられた。このままでは三人の女子を手に掛けていると記事にするのだという。親友に欺かれたり、生徒全員に蔑んだ目で見られたりしたというのに、またまた変なことに巻き込まれていくのか……。
感想などなど
親友であるサンに欺かれ、生徒全員に蔑まれたジョーロ。そんなドンデン返しの展開に多くの人が驚かされたことでしょう。しかし、そんな状況を打開するパンジーの行動や、サンの見せるプライド。最後の最後、パンジーの見せる姿には心を撃たれました。
一巻で綺麗に終わっていますが、どうやら二巻、三巻と続いていくようです。
今回はどこか距離の空いてしまったサンやひまわり、コスモスとの関係性を元に戻すための物語です。互いに散々言い合って、黒い部分を見せ合った彼らが、果たして仲直りして元通りの関係性に戻れるのでしょうか。
……といっても、学校で生徒全員に虐められている最中、ひまわりとコスモスは影ながらジョーロを助けようとしていましたし、最終的にジョーロを助けたのはサンです。仲直りするための障害は、さほど大きくないように思うのは、自分だけでしょうか?
実際、この物語のかなり早い段階で、ジョーロとサン、ひまわりやコスモスら全員が仲直りしたいと願っていたことが分かります。ただ邪魔だったのはプライドと、皆が心に抱いていた罪悪感……。
ひまわりもコスモスも自分の恋心のために散々、ジョーロを利用。
サンは過去の出来ことによる嫉妬からジョーロを欺き復讐。
ジョーロはひまわりとコスモスのどちらかとは付き合えるのでは、という下心を持って協力。
「仲直りしたい……けど!」
と複雑な感情が登場人物達の中で入り乱れている。自分がやったことの重大さや醜さというものを噛みしめているのだろう。物語はシリアスな展開を見せる。
……と想像している時期がありました。本作は思い切りハーレムラブコメ的展開が続いていく。
まず前半部。パンジーと “図書室に毎日来る” という約束を交わしたジョーロは律儀に図書室へと向かっていた。そこでパンジーとのいちゃいちゃが展開されている。毒舌でありながらベタ惚れなことが分かるパンジーと、売り言葉に買い言葉を返すジョーロ。好きだとアピールし続けるパンジーに対し、嫌いだと言い続けるジョーロ。
仲直りしたいと悩むジョーロに対しても、毒を吐きながらもアドバイスする。見ているだけで、もどかしさすら覚えるシーンが続く。心を読んだかのようなメールも相変わらずで、ある意味ジョーロや読者の予想通りの展開が続いていく。
ラブコメでありがちなお宅訪問に始まり、いつの間にか母親と仲良くなっているパンジーの行動力に驚いたり……前回はラブコメ特有のシーンは伏線であり、皮肉のようなものを感じることが多かったのですが、今回はドストレートにラブコメしてくれました。
今回は新キャラが登場。新聞部の敏腕編集部員・羽立桧菜、あだ名は『翌桧』。ポニーテールの可愛らしい女の子。新聞部の敏腕を自称するだけのことはあり、その情報収集能力と記事作成能力の高さは相当なもののようです。『ジョーロが三股している』という一見荒唐無稽とも思える記事に説得力を持たせ、そのために情報をどこからともなく得る。あの頭が良い(?)コスモスも一目置いている模様。
そんな彼女に『ジョーロが三股をかけている』という記事を書こうとしている話を聞いたジョーロ。「いや、わざわざ本人に報告するんかい!」と突っ込みたいところだが置いておこう。とにかく、彼女はジョーロを「女の敵」だと強い口調で言い放つ。
まぁ、確かに?
ジョーロとパンジーの関係性は一見するとカップルであるし、毎朝一緒に登校していた幼馴染み・ひまわりとの関係性が特別だと言われたら疑いようもない。ジョーロのスマホカバーは生徒会長にプレゼントされたもの。
……あれ、ジョーロは三股するくず野郎だった?
せっかく一段落ついたと思えば、あれやこれやと変な騒動に巻き込まれていく。はてさて、どうなることやら。