工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

弱キャラ友崎くん LV.3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

人生はクソゲー

情報

作者:屋久ユウキ

イラスト:フライ

ざっくりあらすじ

夏休みとなったが友崎に休みがあるはずもなく、日南はさらなる課題を課してくる。BBQからの川遊びからの男女お泊まり。リア充を絵に描いたようなイベントが続いてく。さらに菊池さんとのデートが実現し……ていくが……

感想などなど

生徒会選挙で大敗することとなった七海と友崎。改めて、人生の強キャラである日南葵の、努力やそれだけできるという才覚の大きさを実感させられた。NO.2である七海も努力しているということは分かるが、それでも越えられない壁があるのだ。

友崎達の言葉が、そんな彼女の冷め切ってしまった心にそっと寄り添ってあげられることを願うばかりだ。

そんな生徒会選挙を終えて、高校は夏休みへと突入する。休みとは、その名の通り休むためにあるのだというブログ主の持論は、人生の強キャラである日南から鼻で笑われ一蹴される。どうやら他人との差を付けるのは、休日での過ごし方であるらしい。

趣味を仕事にすると、休日にまで仕事のことを考えることになり、趣味だったことが本心から楽しめなくなるというのは有名な話。友崎は休日にまで人生のことを考えなければいけない……という何とも奇妙で説明しがたい状況が作られてしまった。

出された課題はたくさんあるが、課題について言及する前に、この一学期という間に大きく変貌を遂げた人間関係について言及せねばなるまい。

まず学校でもかなりの知名度と人気を誇る蒼々たるメンバー、日南葵に七海みなみ、水沢に中村に泉に竹井と友人関係(と言っていいだろう)になった。女性陣はみんな可愛い、男性陣はみんな格好いいという中に入り込む友崎という構図が作り出され、友崎自身「俺、大丈夫か?」と困惑する。

……ここで一つお尋ねしたい。泉や水沢や竹井という人物について一、二巻を読んだ時点で印象に残っている方はいるだろうか? ちなみにブログ主は全く記憶に残っていなかった。

一番覚えているといえば水沢で、美容師志望で中村の友人、ワックスの付け方を講義して下さった方だ。泉や竹井という人物が登場した時点で、「……誰だっけ?」と首を傾げたのはブログ主だけだろうか。

第三巻では、それらの登場人物達に焦点を当て、キャラ付けもなされていくエピソードとなっている。なにせ友崎のプロデュース計画とは別に、『泉と中村をくっつける計画』を推し進めることがストーリーとしての本筋だからだ。

そのため泉という人物について理解……理解ねぇ……。正直、第三巻において泉という人物についてほぼ言及されない。よってブログ主から彼女に抱く印象は可愛い止まりだ。第三巻にて大きく印象が変わっていく人物は、美容師志望の水沢である。

友崎が会話の手本として参考にしているリア充ということもあり、会話の進め方も上手く、何事もそつなくこなすという意味での天才肌だ。彼女も代わる代わるいて、今も他校の女子とデートに行っており、「そろそろ付き合えそう」と友崎達に語る。

……という説明をして、皆さんが受ける印象というものは何だろうか。友崎はばっさりと「その娘のこと好きじゃないの?」と言ってのけた。流石は、心に思ったことをスパッと言ってしまう男なだけはある。

そして固まる水沢。その後、彼がときおり口にする「本気」という言葉。友崎も変わっていくが、周囲も変化していくということを改めて理解する。

 

さて、みんな大好き友崎の話に戻ろう。彼に課された課題はズバリ、『菊池さんとお付き合いすること』である。ということでLINEを交換し、デートで映画を一緒に見に行ったりと奮闘する。

相手が誰であれ、一緒の作品を見て、その感想を語り合うというのは楽しいものだ。登場人物達の印象を語るも良し、シーンの意図や真相を考察し合うも良し、他の作品を薦め合うも良し……まぁ、そんなシーンが本作でも描かれる。

同じ作品を見たとしても、読者の数だけ印象がある。つまりは個性というものが色濃くでる瞬間で、友崎という人間が必死こいてカード見てを覚えただけでは語れない部分だ。感想だけは相手の顔色を伺い、相手に与える印象を意識していてはいけない、自分の言葉を出さなければいけない。

だが、それは彼の得意技であるというのは、これまでを読んできた方には分かることだろう。

こうして友崎と菊池さんが付き合うことができたかどうかについては、本作を読み進めて確認していただくとして、ブログ主からは一言だけ。

「俺も菊池さんと映画について語りたい」

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】