工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

転生したら、まともな人生を

情報

作者:理不尽な孫の手

イラスト:シロタカ

試し読み:無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 7

ざっくりあらすじ

エリスとの初めての後、目を覚ますとエリスはすでに何処かに旅立った後であった。意味も分からず失意の念に駆られながら、母親を探すために一人旅立っていく。

感想などなど

さて、第六巻では念願だった童貞の卒業をすることができた。相手は長年一緒に過ごしてきたエリス。貴族の権力争いに巻き込まれ、願わぬ縁談を持ち込まれかけていた矢先の出来事であったため、このまま結ばれたエリスとルーデウスの恋の逃避行が始まる……かに見えた。

だが残念。エリスの心境はそう単純ではなかった。

これまでずっと隣で見てきたからこそ分かるルーデウスの凄さ。それに釣り合わない自身の弱さと向き合い、武者修行に出てルーデウスと対等な存在を目指すことにしたようだ。本当に好きだからこそ選んだ選択であろう。

そして置いて行かれたルーデウス。彼の心境は「振られた」ということに対するショックである(実際は振られたわけではないが)。そんなショックにいつまでも沈んでいる訳にもいかず、だがそう簡単に吹っ切れる訳もなく、母親を探すための旅に出発したルーデウス。

隣にはルイジェルドもエリスもいない孤独。大した手掛かりもないまま、各地で色々な人と出会い、ぶつかり合い、殴り合い、助け合っていく波乱万丈の幕開けである。

 

 人生には出会いと別れがあるというが、第六巻は別れの回だったと言えよう。となると第七巻は出会いの連続である。しかし、その出会いは決して良い出会い方というばかりではない。第一印象が大事というが、この第七巻におけるファーストコンタクトはどれも最悪だったと言わざるを得ない。

まず、ルーデウスが失意のドン底で死んだような目をしている。

エリスに降られたことが彼をとことんまで傷つけた。母親を探すという目的はあれど、そのための熱意が出し切れずにいた。が、それでも些細なやる気を引き出して、どこにいるか分からない母親を見つけるために冒険者として超有名になる道を選んだ。

しかし彼は一人だ。有名になることは簡単なことではない。

そこで彼は特定の仲間とチームを組むのではなく、ちょっと依頼に行き詰まっているようなチームに声をかけ、その依頼をサポートするようなさすらいの冒険者として、数多くの冒険者と親しくなることにした。実力は申し分なし、依頼の取り分もあまり貰わない低姿勢も好評を博した。彼の思惑通り、 ”泥沼のルーデウス” として彼は名を上げてくことになる。

だが、そんな彼のことを気にくわない者もいた。

例えば。

『カウンターアロー』の中衛、弓使いのサラ。彼女は住んでいた場所を治める貴族によって酷い目に遭わされた過去があり、貴族というものに対して「ここぞという時に頼りにならない」という印象を抱いていた。そのためルーデウス・グレイラットに対しては敵意すら向けていた。

そんな名有りのキャラでなくとも、モブの中には彼に対して良い印象を抱いていない者もいたことだろう。そんな環境でたった一人、もがく彼の心は壊れかけていた。いや、もう壊れていたと言って良いだろう。

そんな彼を支えていたのは、ロキシーのパンツだけだったかもしれない……あれ、シリアスだったんだけど……。重苦しい雰囲気の中で、それを打開するためにもがき大人になっていくルーデウスの成長が見所である。

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻
作品リスト