※ネタバレをしないように書いています。
転生したら、まともな人生を
情報
作者:理不尽な孫の手
イラスト:シロタカ
試し読み:無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 8
ざっくりあらすじ
ラノア魔法大学への入学推薦状を受け取ったルーデウスは、実技試験も難なくこなし手入学を果たす。しかし推薦入学を果たした彼の所属することになるクラスには一癖も二癖もある者しかいなかった。
感想などなど
『フィットア領転移事件』が起きてから五年経った。フィットア領主の家族は皆死んだこととみなされて、ダリウス・シルバ・ガニウス上級大臣という名前からして偉そうな人からの資金援助は討ち入り。フィットア領捜査団は事実上の解散となった。
そんな幕引きが世間では語られる。だが実際はそんなものではないということは、読者は無論知っている。エリスは生きて、ルーデウスの隣に立つに相応しい女性となることを目指して戦いの日々を過ごしている……と思う。
ルーデウスはというと。母親を探すために「泥沼のルーデウス」として冒険者としての名を上げる日々を過ごし、その甲斐あってエリナーゼというセックスしないと死ぬ呪いにかかっている男タラシに母親のいる場所を教えて貰った。現在、パウロやロキシーもその場所に向かっているということで、ルーデウスが急ぐ理由もなくなった。
つまり先立つ目的が消え失せた。
そんなところに突如としてやって来たラノア魔法大学への入学推薦状。大学の名を上げるために、冒険者として優秀な者などを招いているらしい。講義を受ける、受けないは自由。学校の図書館など資料類も自由に閲覧可能。泊まる部屋までも用意される。
ただし卒業した暁には大学の功績として、その名を世間に轟かせて欲しい……直接的な表現は避けているが、そういうことだろう。
ルーデウスはこれといって大学で学ぶ必要はない。なにせ冒険者としての実績は十分。これから先の長い人生を冒険者として生きていくことは不可能ではないだろう。
だが彼は大学に行くことを選んだ。理由は大きく二つ。
一つ。転移事件についての調査ができるかもしれない。大学なのだから転移魔法に関する書籍があったり、専門家だっているかもしれない。そうなれば、かつてフィットア領全土を巻き込んだ事件の真相を掴めるかもしれない。また、前世で死んで今いる世界に転生した原因だって掴めるかもしれない。
二つ。不能の改善。まーた夢に現れた胡散臭いヒトカミにより、「転移事件の調査をしたら治るよ」とお告げをいただき、「もしかせずとも一石二鳥では?」という結論に至る。男にとってあまりに酷な病気……ルーデウスの場合は神経系の病気というよりは、心理的要因が強いと思われるが、果たして。
そんな大学での個性豊かな仲間達を紹介しよう。
まずエリナーぜ。大学には何となく入学することに。普通に戦闘面では有能なので、入学も難なくできた。呪いにより毎日とっかえひっかえで男を肌を重ねなければ死んでしまうらしく、不能なルーデウスと二人で向かう大学までの道中は地獄だったようだ。
次にザノバ。第六巻にて監禁されたルーデウスを助けた怪力の持ち主で、人形を何よりも愛するいわゆる変人である。人形に対する愛の注ぎ方は正しく異常、素晴らしい人形を作り出すルーデウスのことは師匠として慕っている。
次にリニア。かつて神獣を犯そうとした疑惑により監禁してきたドルディア族の一つであるデドルエィア。その族長ギュスターブの孫である。つまりバリバリの貴族。
次にプルセナ。リニアと同じくドルディア族の一つ、アドルティア。その族長ブルドクの孫である。つまりこちらもバリバリの貴族。
貴族としてぶいぶい言わせていたらしくプライドはいっちょ前。ただそれに伴った実力を伴わせていたこともあり、彼女らに逆らえる者などいなかった……アリエルという王族の娘が現れ、一年にして生徒会長に上り詰めようという野心の持ち主が現れるまでは。
そんなアリエルの腹心また護衛として仕えるフィッツ先輩。目元を隠すサングラスを常に身につけ、ルーデウスと同じく無詠唱魔法を操る強者。ちなみにルーデウスの入学試験では彼との戦闘だった。まぁ、ルーデウスの圧勝だったのだが。
そんな個性豊かな面々との大学生活は波乱しかなかった。可能な限り低姿勢で過ごすが、それを気にくわない者も現れるし、ザノバが大切にしていたロキシーの人形がどっかの誰かによって破壊されていたり……と。
しかし、その出会いは全て無駄ではない。様々な人の思惑が入り乱れて、その渦中にいるルーデウスが巻き込まれたり、気付けば解決していたりする日常が、様々な人の視点で紡がれていく。
この感想記事を書いている時点で、第九巻まで読み終えているのだが、これから読むという人は八と九巻をセットで読むことをおすすめする。タイトルには現れていないが、八と九巻で前後半のような構成となっているからだ。先が気になる展開が用意されていることを約束しよう。