工大生のメモ帳

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狂乱家族日記 弐さつめ 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻】
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※ネタバレをしないように書いています。

これは建国です。

情報

作者:日日日

イラスト:x6suke

ざっくりあらすじ

ある日、凰火は凶華と共に新婚旅行へと向かう。当然、家族を連れて行くわけだが、平凡な旅行なぞ凶華が求めるはずもなく……。

感想などなど

一巻(狂乱家族日記 壱さつめ 感想)では家族が優歌の実家を爆発させ、「爆発オチなんてサイテー」という終わり方でした。かなりハイテンションに突き進むストーリーと展開は「ラノベ読んでるなぁ」って感じがして自分は好きです。

さて、二巻ではどうやら新婚旅行へと行く模様。

そういえば、確かに言ってないですね。家族らしいことと言えば、結婚式ぐらいでしょうか。人外の方が多いこの家族の旅行がまともに進行していくはずは当然ありません。

冒頭から ”狂ってます”。

そこが作品の魅力であり、狂ってるといってもギャグ寄りの狂ってるなのでご安心を。

 

自宅の玄関の扉を開けると、そこは滑走路でした。

美しい日本語です。思わず惚れ惚れとしてしまいます。扉を開けるという日常的な行動から、放り出されていくこの感じ。この作品でしか味わえません。

しかし、少しばかり説明が必要でしょう。何故、自宅の扉を開けると滑走路が広がっているのか?

理由は「凶華が頼んだから」……別に嘘ついても仕方がないですし、これが真実なので、これ以上言い様がありません。理由? 知りません。驚かせた刈ったんじゃないですか?

ということで、自宅前の飛行機に乗り込んでから旅行は始まっていきます。

と、思いきや凶華が運転席で遊んで墜落!? 旅行は終了。無人島に不時着(?)しサバイバル生活に突入。

いやぁ、急展開が大好きなB級映画もびっくりな早さです。伏線? いや、ないです。

そして無人島には何故だがホテルがありました。いや、無人島じゃないだろ!? ふぅむ、しかしジャングルでは人は住めないですし、電波も通っていないので、まぁ、無人島でいいんじゃないですか? 知りませんけど。

そんなホテルで普通に過ごしていると、鳴り響く警報。何事かと思えば巨大な白い猿が狂乱家族一行に襲いかかります! 必死に抗いますが、奴らはどうやらただの猿ではなく、それなりの戦闘力を有しているようです――優歌は連れ去られ、何処かへ消えてしまいました……。

……これが作品の冒頭……的なやつです。早い、早すぎる。そして、もうしっちゃかめっちゃかで、お祭り状態。常識なんて駆け足で逃げて行ってしまいました。ハイテンションに突き進むストーリーという言葉の意味が、これで分かって貰えるのではないでしょうか。

 

とりあえず作品の勢いと熱量は何となく分かって貰えたのではないでしょうか。

今回焦点が当てられているキャラは、殺戮兵器・雹霰です。彼はとある博士によって殺戮兵器として作られ、その材料に「閻禍の一部」が使われているとかで家族の一員として組み込まれています。

殺戮兵器と聞くと、「怖い」「恐ろしい」といった感想を抱くかも知れませんが、彼の場合はある種、人よりも人らしい心を持った兵器でした。

さて、心を持った兵器……考えてみれば彼は兵器としては失敗作です。なんせ人を殺す度に心を痛め、反省するようでは兵器としての役割を果たしてはくれないでしょう。

では何故彼には心があるのでしょう。

そこには彼を作った博士の思いがあるのです。

……いや、まさか上記ストーリーからこんな重いストーリーになるの? なるんです。気づいたら、もうそこは狂乱家族のペースに載せられています。

そこから、まさかあんなオチになろうとは……誰にも予測できないストーリー展開でした。

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