工大生のメモ帳

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裏世界ピクニック2 果ての浜辺リゾートナイト 感想

【前:第一巻】【第一巻】【次:第三巻

※ネタバレをしないように書いています。

裏側にようこそ

情報

作者:宮澤伊織

イラスト:shirakaba

ざっくりあらすじ

ネット上で怪異として語られるような存在が出現する裏世界。そこに入って探検する仁科鳥子と紙越空魚、二人の物語。

「きさらぎ駅米軍救出作戦」「果ての浜辺のリゾートナイト」「猫の忍者に襲われる」「箱の中の小鳥」

感想などなど

「きさらぎ駅米軍救出作戦」

 きさらぎ駅とはネット上で語られる怪異の一つで、第一巻にて八尺様から強奪した帽子を被ったことにより移動した場所でもある。かつてそこで出会った米軍を救出するために、再び帽子を被りきさらぎ駅へと向かった。

時空おっさんとの戦いをくぐり抜け、度胸がついたのだろうか?

裏世界を見ることができる右目の制御にも慣れがでたのだろうか?

一番心配だった米軍との協力も、快く銃を貸してくれたりと比較的ストレスフリーである。グリッチと呼ばれる超自然的な罠を回避しつつ、確実に帰路へと向かって行き、徐々にゲートへと近づいていくのは米軍に希望を与えた。

しかし、ゲートへあと一歩という所で現れるのは『姦姦蛇螺』。半人半蛇の化け物である。身の毛のよだつその外観の気持ち悪さと、チリンチリンと鳴らされる鈴の音は聞いた者の精神と肉体に異常をきたす……次々と倒れていく米軍達を救えるのか?

オチ含め目が離せない作品であった。

 

「果ての浜辺のリゾートナイト」

 さて、ある意味第一話「きさらぎ駅米軍救出作戦」のネタバレにもなるが、米軍を救出した後、別のゲートから出ると、そこは沖縄であった。元いた街に戻るには、相当な時間と金がかかる……ということで沖縄の海を満喫することに。

わざわざ水着を沖縄で購入し、タクシー運転手におすすめの海へと向かってもらった。

そしてタクシーが到着した場所は、裏世界の浜辺であった。気付けばタクシー運転手も消えてるし、沖縄の海を満喫するつもりが、まさか裏世界の奇怪な浜辺に着いてしまうとは。

ここでも戻り方が分からないので、水着に着替えて裏世界の浜辺という奴を満喫してみることに。二人の精神の屈強さには驚かざるを得ない。人のいない廃墟みたいな海の家にて、拳銃構えて周囲を警戒しながら水着に着替える。

そしていよいよ海! だが裏世界の浜辺に何も現れないはずがない。

今回のモチーフは『須磨海岸にて』という話から部分的に引用しているようだ。知らない話なので検索して見に行ったが、意味が分からない独特な嫌悪感を抱く気色の悪い内容であった。是非とも読んで見て欲しい。

 

「猫の忍者に襲われる」

 大学にて瀬戸茜理という一年の後輩に話しかけられた空魚。空魚としては初見の相手だが、空魚が『実話怪談を研究テーマにしている』という話をどこからか聞きつけ、そこから霊感があるという自身の想像に結びつけ、怪異に巻き込まれて困っているから相談に乗って欲しいらしかった。

実は彼女、「猫の忍者に襲われている」というのだ。

2ch(今となっては5ch)で『猫の忍者に襲われている』というスレが度々上がるらしい。猫と忍者、という一見すると結びつかない二つであるが、可愛らしい猫を見る度に少し身構えてしまうような怖さのある話となっている。

裏世界が、一見すると何の関係もない一般人に影響を与えるとは思いにくい。そもそも茜理が面倒くさそう ……ということで無視しようとしていた空魚だったが、鳥子の後押しもあって相談に乗ることに。

しかし、そんな事件の裏に予想外の影がチラつく。何故、裏世界に行ったこともない人が裏世界に関わる事件に巻き込まれたのか? その答えを知って、空魚も鳥子もただただ困惑するのであった。

 

「箱の中の小鳥」

裏世界を研究している会に所属していたという冴月。彼女のことを少しでも知るために、小桜の協力も得て、彼女がいたという研究室へとやって来た。その研究室がある建物には、かつて空魚たちと同じように裏世界にやって来て、そして人ではない何かになってしまった者達も収監されていた。

……それだけでも中々ショッキングである。

しかし冴月の研究室でも、なかなかにショッキングな物に遭遇することになる。

コトリバコ。ネット発の怪異としては、かなりのビッグネームだと個人的に思っている。呪いたい家に送りつけると、その家の女性や子供が次々と苦しんで死んでいくという分かりやすくたちの悪い代物である。

払い方は謎に包まれているそれに挑んでいく、女性である空魚と鳥子。二人の関係性が決定づけられていくエピソードとしても、ホラーとしてもかなり完成度の高い話であった。

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