※ネタバレをしないように書いています。
賭ケグルイ前史
情報
原作:河本ほむら
作画:斎木桂
試し読み:賭ケグルイ双 10巻
ざっくりあらすじ
遂に決起した善咲会役員達は、一斉に生徒会役員達に公式戦を仕掛け始める。一方、壬生臣葵は文芸部室で芽亜里を待ち構えていた。彼の目的は、芽亜里とのギャンブル――こうして二人の最後のゲーム『国盗り合戦』が始まった。
感想などなど
善咲会の幹部・上下凪と伊吹壯太郞の二人を、完膚なきまでに完勝した早乙女芽亜里と三春滝咲良。
凪と芽亜里のゲーム『フルカウントブラックジャック』における勝ち方は、相手の心を折る気持ちいい勝ち方であった。壯太郞と咲良の『限界ダイス』において、咲良は一つ大きな殻を破ることができたのではないだろうか。
この勝利は、善咲会の決起を止める大きな足がかりとなった……と思っていたのは三春滝だけである。決起は何も問題は起きていなかったとでもいうように進み、善咲会幹部が一斉に生徒会役員に公式戦を持ちかけ始めていた。
そもそも決起とは何ぞや?
その答えは明かされていない。桃喰輝羅莉を生徒会長の座から引きずり下ろすとか、どうとか言っているが、それをどうすればできるのか。生徒会役員に公式戦を持ちかけたところで、彼・彼女らは最強とも呼び声高いギャンブラー集団。賭ケグルイ本編を読んでいる方ならば、その強さは重々承知のことだろう。
聚楽幸子(本編には未登場)には久留米くるみが。
西洞院百合子には嫗ヶ頭姉妹が。
夢見弖ユメミには六条恵音留が。
桃喰輝羅莉には下月売奥理が。
善咲会の幹部が弱いとは言わない。しかし勝てる姿はあまり想像できないのは自分だけだろうか。下月売奥理がどんなに強かろうと、桃喰輝羅莉は負けるはずがない。莫大な資金力でどうにかする百合子さんと、嫗ヶ頭姉妹の相性は悪いように思うし。個人的には夢見弖ユメミ VS 六条恵音留が気になるカードだが……もしゲーム内容が『盗撮野球拳』だったら観客はどうするんだろうか……。
一方、その頃。
壬生臣葵は文芸部室にいて、芽亜里にゲーム『国盗り合戦』を挑もうとしていた。
ゲーム『国盗り合戦』は、ジョーカーを除くトランプ52枚を使い、プレイヤーそれぞれが3つの軍団を編成し、その軍団毎の数字の大小を競うというものだ。各プレイヤーには5枚ずつの手札が配られる。次に、山札から各プレイヤーの前に3枚ずつカードが表向きに配置される。
この3枚のカードを先頭とし、後ろにカードを配置していく。その一列のトランプの数の合計を軍団の戦闘力とする。この軍団同士をぶつからせ、数字が大きい方が勝利。三つの軍団の内、二つを勝たせたプレイヤーが1ゲーム先取という訳だ。
これを3ゲーム繰り返し、最終的に勝利ゲームの多い方が勝ちである。
表向きに配置される3枚ずつのカードはランダムで、手札で貰える5枚もランダム。手札の合計値によっては、絶対に勝てないということもあり得るかもしれない。運的要素の強めなゲームとなっている。
このゲームを用意したのは壬生臣葵な辺り、何かイカサマの可能性もある。しかし、その可能性は壬生臣葵が自ら潰した。「イカサマが発覚した場合、イカサマをした側が負け」というルールを追加したのだ。
さらにゲームを行う舞台は、観客が大勢いるように仕向けた。どうやら、壬生臣葵と早乙女芽亜里の戦い、その勝敗を賭けられるようにしたようだ。その賭けを楽しむために詰めかけた観客達の目は、金儲けを考える目だ。そんな衆人環視のもとで行われるギャンブル……このゲームの目的は何なのか。
これまでの点と点が結びついて、繋がっていくことで明らかにされる決起の全容は、驚くべきものだった。そしてどう転ぼうが葵が勝つようになっていた。
その全てを知った時、芽亜里の選ぶ行動が好きだ。こういうことをする彼女だからこそ、読者は彼女を好きになるのかもしれない。