工大生のメモ帳

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【漫画】賭ケグルイ双9 感想

【前:第八巻】【第一巻】【次:第十巻】

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 9巻

ざっくりあらすじ

善咲会の幹部・上下凪と伊吹壯太郞が、芽亜里打倒のために文芸部室に乗り込んできた。そしてそこに聚楽、三春滝が乱入しギャンブルが始まった。

感想などなど

『聴重千金』にて瑠璃鳥撫子に完勝した芽亜里。硬貨の重さを測定してのイカサマ、もしもの時のために仕掛けた容器の磁石も看破して、もしも相手が音で枚数を正確に判定していたとしても騙せるように仕掛けを施し、完膚なき勝利を引き寄せた。

この瑠璃鳥撫子、すっかり文芸部室に馴染むことになるのだが、その話は置いておくとして。この第九巻では善咲会の幹部・上下凪と伊吹壯太郞の二人を相手取って、我らが主人公・芽亜里と、壬生臣葵の婚約者・三春滝咲良の二人が協力して戦うギャンブルになっている。

三春滝咲良の初登場は第三巻。聚楽が企画した『宝探しゲーム』で、文芸部の三人に敗れ、壬生臣葵から失望され捨てられた子である。それ以来、登場することはなかったが、文化祭にて生徒会に対して反抗を開始しようとする壬生臣を止めるために発起したようだ。

その手始めとして、幹部・上下凪と伊吹壯太郞の動きを止めようとし、それに巻き込まれる形で芽亜里も参戦することとなった。善咲会に利をもたらそうとする上下凪と伊吹壯太郞の二人 VS 善咲会に害をなそうとする早乙女芽亜里と三春滝咲良の二人……その戦いを仕切るのは、公平なジャッジには定評のある聚楽だ。

ゲームの内容は下記の通り。

上下凪と伊吹壯太郞は、勝てば「早乙女芽亜里の身柄」と「美化委員長の地位(三春滝は美化委員長で、今回のゲームのためにその地位を賭けた)」を手に入れる。芽亜里と咲良は、勝てば「文芸部から身をひかせること」ができ、上下凪と伊吹壯太郞を「決起に不参加」するように誓約書を書かせる。

つまり双方に賭け代が二つずつ、メンバーも二人ずついるという訳だ。それらを踏まえ、それぞれ一対一でできるゲームを行う。

第一回戦は、早乙女芽亜里 VS 上下凪で『フルカウントブラックジャック』を行い、それぞれ「早乙女芽亜里の身柄」と「決起に不参加」を賭ける。つまり第一回戦で芽亜里が勝てば、「芽亜里は身柄を善咲会に拘束されることがない」かつ「上下凪と伊吹壯太郞は決起に参加しない」。

第二回戦は、三春滝咲良 VS 伊吹壯太郞で『限界ダイス』を行い、「美化委員長の地位」と「文芸部から身を引かせること」を賭ける。つまり第二回戦で咲良が勝てば、そのまま咲良は美化委員として残り続け、上下凪と伊吹壯太郞の二人は今後文芸部に絡むことはない。

この二つが、この第九巻で同時に決定する。

 

『フルカウントブラックジャック』は、それぞれに配られたA~Kのトランプカード13枚を使って、2枚もしくは3枚の役を5つ作り、それぞれの役を任意の順で出し合い強弱を競う。出し合いをする際には、互いに持ちコインをベットし、最終的に持っているコインの枚数が多い方が勝ちである。

強弱はブラックジャックに従う。つまり合計した値が21に近いものが強く、Aと10~Kを組み合わせたナチュラルブラックジャックが最も強い。自分だったらどのような役を5つ作るかを考えて見て欲しい。

そして頭が良い人ならば、このゲームには最善手が存在し、それに気づけない者は土俵に上がることすらできないと分かる。これについては、作中できっちり説明されているので読んで確認して欲しい。

そこからどう勝つか? 芽亜里という人間の持つ強さが遺憾なく発揮される名勝負だったと個人的に思う。

『限界ダイス』は、二人に配られたダイスを一緒に振り、1~5が出たら+1点。再び1~5が出れば+1点というように加算され続ける。これを繰り返していく時、もしも6が出てしまえば、それまでの点数に関係なく点数は0点で確定する。

次に6が出そうだと思えば「ストップ」を宣言し、その時点での点数が持ち点として確定する。この持ち点が多い方が勝ちである。

このゲームの肝は6が出てもダイスを振り続けることができるという点にある。つまり、6を出して0点になったとしても何食わぬ顔でダイスを振り続け、相手が6を出してしまえば互いに0点となり勝負はドローとなる。

作中でも言われている通り、このゲームは我慢勝負。相手が6を出しているかもしれない、いや出していないかもしれないという緊張感の中、自分が6を出してしまうかもしれないという恐怖と戦い続ける。

シンプルであるが故に確実に勝つ方法も存在しない。このゲームにおいて咲良はどうするのか。

 

第九巻を読んで芽亜里というギャンブラーがより好きになったという読者もいるのではないだろうか。まぁ、その理由は敵として立ち塞がることになる上下凪というギャンブラーに対する嫌悪感が上げられる。

この上下凪という人間は、ギャンブラーとしてはかなり優秀なのだろう。『フルカウントブラックジャック』というゲームの最善手に気付き、その上で芽亜里を喰らう策を考え着く。

ただし読者からしてみれば魅力が欠片もない。その理由を考えた時、芽亜里は明確な答えを提示してくれた。どうしてこの男を好きになれないのか、どうして芽亜里の勝ちを切望してしまうのか。それがこの男の敗因となった時の納得感が好きである。

本格的に善咲会が動き出した第九巻。これから先への期待が高まる巻であった。

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