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【漫画】賭ケグルイ双14 感想

【前:第十三巻】【第一巻】【次:第十五巻】

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 14巻

ざっくりあらすじ

蘇我正業と豪兜命のコンビをギャンブルで倒し、金を回収することに成功した芽亜里。次は文芸部を奪取しようと目論むが、そもそもギャンブルのテーブルに立とうとしない神々廻。さて、芽亜里はどう動くか。

感想などなど

誘ったイカサマを絶対に見抜く蘇我正業と豪兜命のコンビに、イカサマで勝ちを掴んだ芽亜里達一行。イカサマをしているように見せかけてイカサマをしない、そんな偽造イカサマを指摘させて「妨害行為」としてのルール違反で勝つ……これを一回目は看破させるが、イカサマか偽造イカサマかで迷わせて翻弄し、芽亜里の特異なギャンブルに引きずり込んでの勝利。

芽亜里のギャンブラーとしての強さが良く分かる名勝負であった。

さて、これにより奪われた金を取り戻した訳だが、これで戦いが終わった訳ではない。大事な文芸部はまだ奪われたままである。芽亜里を完全に騙し仰せた神々廻と再びギャンブルをして、文芸部を奪い返そうと画策する。

しかし、これが中々うまく事が運ばない。

なにせ神々廻がそもそもギャンブルをしようとしないのである。まぁ、確かに。ギャンブルをしないというのは、文芸部を守る上では最善手であろう。芽亜里としては困ったことになった。

それにしても、神々廻としてはこれで良いのだろうか。兄である壬生臣葵を蹴落とした憎き相手であるはずの芽亜里に、仲間である蘇我正業と豪兜命の二人は負けて金を奪い返された。これに対してやり返そうとか、そういった感情はないのだろうか。

しかし、そういった思考は神々廻に言わせてみれば短絡的なようだ。彼女の復讐相手は芽亜里だけではない。次のターゲットである風紀院長・聚楽幸子……おおよそ負ける姿が想像できない女王様に、神々廻は挑み、その目的を悟った芽亜里はそれを利用しようと画策する。

 

そもそも聚楽をギャンブルの舞台に引っ張ってくることができるのだろうか。芽亜里は何故だか彼女に気に入られているが、そもそも眼中にない相手は全く見えていないお方である。事実、聚楽は神々廻に対して「私はお前のことなどよく知らん」と言ってのけている。

そんな彼女相手にギャンブルをお願いして、気軽にやってくれるような単純な話はない……と思ったが、この学園にはそういった「生徒会役員とギャンブルがしたい!」という人達に向けた救済措置がある。

壬生臣葵も使った「公式戦」という制度である。

借金を抱えて返せなくなって家畜に落ちた者は、生徒会役員にギャンブルを申し込むことができる。なおこれを申し込まれた側は断ることができない。神々廻にとって、これを利用しない手はない。

こうして神々廻は目的の聚楽とのギャンブルをすることになった訳だが、芽亜里もまたそれに乗っかることにした。そう、彼女も「公式戦」制度を利用したのである。

こうして、神々廻 VS 聚楽 VS 芽亜里の三人のゲームが幕を開けることとなる。

ゲームの名は『封建遊戯』

 

『封建遊戯』では「王」「騎士」「民」の三種類の駒を用いる。駒にはそれぞれ三すくみの関係が成り立つ。

「王」は「民」より弱く、「騎士」より強い。

「騎士」は「王」より弱く、「民」より強い。

「民」は「王」より強く、「騎士」より弱い。

プレイヤーはそれぞれ、「王」を一つ、「騎士」を一つ、「民」を三つの計五つの駒を持っており、セットと言われるタイミングで五つの内の一つの駒を場に出す。三すくみの関係で勝敗を決め、駒がなくなる、もしくは一人が残るまで続ける。一人が勝ち残った場合のみ、場の賭け金を回収する。

ただし「王」が同時に二体もしくは三体出た場合には、駒の中に入っているダイスで取り扱いが変わってくる。ダイスは「王」と「無」の文字が印字されており、「王」の出目だった場合にはそのまま「王」として扱われ、「無」が出た場合には負けが確定する。

改めてゲームの流れを、通しで整理しよう。

①プレイヤーは賭け金を場に出す(今回は1000万円固定)

②駒をセットする

③三人の内、三すくみの関係から勝敗を決める

④敗者は脱落し、勝ち残った者が一人、もしくは全員の駒がなくなるまで②と③を繰り返す

⑤一人だけ勝ち残った場合に賭け金を全額回収する

……分かっていたけただろうか。③について、「王」が二体以上いた場合には、「王」の中にあるダイスで「王」の扱いが変わるという変則ルールがあるが、それ以外は三すくみのジャンケンと同じである。

読み進めていくと分かるが、このゲームのルールはかなりおかしい。ギャンブルゲームではありがちな勝率が不平等なジャンケンであるが、「王」の駒があまりに勝ちの目が薄すぎる。

善プレイヤーは最初、「民」を三つ持っている。「王」を出した時点で、「民」が出てくる可能性が高いため負ける確率が単純にあがる。さらに「王」が被ってしまった場合、駒の中にダイスの出目次第では負けが確定する。「王」を出すメリットがあまりになさ過ぎる。

この「王」の扱い次第で勝敗は大きく変わってくる。芽亜里はどう戦うのか。芽亜里の勝ちに対する執念深さが強まると同時に、不穏さも立ちこめる第十四巻であった。

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