※ネタバレをしないように書いています。
賭ケグルイ前史
情報
原作:河本ほむら
作画:斎木桂
試し読み:賭ケグルイ双 13巻
ざっくりあらすじ
葵の復讐に燃える神々廻は、一人目のターゲットである早乙女芽亜里にギャンブルを仕掛ける。
感想などなど
葵は芽亜里に負けたことをきっかけにして没落した。あれは全て生徒会長に自分という存在を見せつけたいがための行動であり、早乙女に負けたのは確かだが、ある意味、早乙女に救われたとも思えるゲームであった。
これまで気付くことのなかった自分の弱さや、支えてくれていた許嫁の存在に、芽亜里との戦いを通して知ることができたのだ。子供から一皮むけて大人になったということなのだろうと解釈できる。
そんな彼がどうしようもなく心が折られ、最後の最後で悲壮感を漂わせることになるのは、彼の目標であり見ていて欲しかった相手・生徒会長が、ここまでのことをしていながら気にもとめていなかったことが分かる第十一巻のラストだろう。
本編でも散々見せつけられたが、輝羅莉という女は格があまりにも違い過ぎる。
そんな葵の惨状を知らない芽亜里は文芸部で悠々自適な生活を送りつつ、勝者になるという目標は忘れずに過ごしていた。とはいえ、壬生臣葵という強敵を倒した話は学園中に広まっており、誰も彼女と戦おうとしないという悲しい現実があった。
そこで勝者になるために、芽亜里の友人・花手毬つづらは茨の道を用意した。それは「困っている人に手を差し伸べる人」という勝者を目指す道……その第一歩として、蘇我正業と豪兜命のコンビに嵌められた人を助けることにしたのだが、神々廻に嵌められて負けたのが第十二巻である。
さて、ここから巻き返すことができるのか?
巻き返すにはどうするにせよ、蘇我正業と豪兜命に勝つ必要がある。
蘇我正業と豪兜命のコンビの強みは、事前準備を徹底して勝てる勝負しかしないという点とイカサマを絶対に見抜く観察眼によってイカサマを使わせないという点だ。もしもイカサマを使って見抜かれたとすれば、イカサマをした方が負ける……これを必勝法として使ってくると思えば分かりやすい。
そんな相手に勝つにはどうすれば良いか。
まずは自分達に有利な状況に持ち込むことが必要だろう。これは別に誰に対しても同じであるが、蘇我正業と豪兜命のコンビの場合、賭場を潰して回っているという状況を利用しない手はない。
彼らが賭場を荒らしている最中に乗り込み、こちらは仲間を集めて数の利で攻める……並のギャンブラーであれば、それだけで勝てると言っていい。ただ絶対ではない。数の利だけでは、必ず勝てるという訳ではない。
そこで芽亜里は必勝法を考えた。
それはイカサマである……あれ、相手はイカサマを絶対見抜くコンビだと説明した。その相手にイカサマで挑むというのだ。実際のゲームを見て、説明を聞けば、イカサマ絶対見抜くギャンブラー相手にイカサマで挑む理屈も分かるのだが、これは相手の鼻を完膚なきまでにへし折ることにも繋がってくる。
芽亜里のギャンブラーとしての強さが、敵から見た時の絶望感が垣間見えるゲームとなっている。
第十三巻でやるギャンブルは『ダイスポーカー』。皆さんご存じのポーカーを、サイコロ5つでやるというシンプルなものだ。カップに入れた5つのサイコロを振り、適当な数のサイコロを表に出す。カップに残ったサイコロはもう一回振ることで、表に出たサイコロと、カップに残ったサイコロの計5つの役の強さを競うというものだ。
カードによるポーカーの場合、好きな役を作りたい場合はカードを入れ替えるしかない。しかし、サイコロの場合は転がすだけで理論上は好きな役が出せる。本編では好きなサイコロの役を出す練習をし続けて、自由に出せる化物が普通に登場するが……少なくとも今回の舞台には上がってこない。
芽亜里もそんな神芸はできないので、絶対勝つためにはイカサマを使うしかない。しかしイカサマがバレれば敗北。この緊張感がたまらない。ベストバトルであった。