※ネタバレをしないように書いています。
妄想を実現させるだけの力を
情報
作者:東西
イラスト:逢沢大介
試し読み:陰の実力者になりたくて! 03
ざっくりあらすじ
クレアに誘われて、犯罪の温床となっているスラム街『無法都市』を訪れたシド。そこにいる三大勢力、『暴君』ジャガノート、『妖狐』ユキメ、『吸血鬼』クリムゾンらが争い始め、『シャドーガーデン』もその戦いに介入していく。
感想などなど
シドがジミナ・セーネンという名前で無双したブシン祭では、シドの姉・クレアが優勝した。まぁ、ジミナ・セーネンが強者はあらかた倒してくれたり、唐突に現れた『シャドーガーデン』で混乱したり、それによって棄権する人が出たりと、実力でもぎ取った優勝とは言いがたい。
こんなことを面と向かって言ったら殺されそうなので口には出さないが、世間の庶民達はそのような感想を抱いていることは間違いない。「もしもジミナ・セーネンと戦っていたら」「もしもアイリスと戦っていたら」というような妄想を元にした誹謗中傷が出てくることだろう。
そんな批判に負けないクレア姉様は、重要な任務を受け『無法都市』へと向かうことになり、それに何故かシドも一緒に連れて行かれることになっていた。
無法都市。
そこには3本の摩天楼が建立し、それぞれに『暴君』ジャガノート、『妖狐』ユキメ、『吸血鬼』クリムゾンといった支配者がそれぞれ君臨している。そのうちの誰が都市を管理している訳ではなく、強い者こそが法となる弱肉強食の世界だ。そこには世界各地から悪人が集まった世界の掃き溜めという言葉が相応しい場所であり、周辺国の騎士ですら手出しできないような危険地帯と化している。
『血の女王』というのは、かつて『赤き月』の夜に一国を滅ぼした最強の吸血鬼であり、今となっては伝説上でしか語られない存在である。しかし、その吸血鬼は確かに存在し、無法都市にある3本の摩天楼の一つ『紅の塔』に封印されているというのだ。
その『赤き塔』を支配しているのは、『吸血鬼』クリムゾンである。
『赤き月』が昇っている今日この頃、そのクリムゾンが動きを活発にしているらしい。もしや『血の女王』が復活するのではないか? それを確かめつつ、『血の女王』復活を阻止するべく、クレアを含めた騎士団が危険な無法地帯にやって来た訳だ。
もしも『血の女王』が復活し、伝説で語られるような力が本当ならば周辺国は一気に滅ぼされることとなる。
まぁ、シドが伝説の『赤き月』が……とか言っていたので、きっと真実なのだろう。彼が言うこと=真実という等式は、第三巻でも成立する。
『赤き月』の復活を阻止したいのは騎士団だけではない。無法都市の他の塔を支配する面々、『暴君』ジャガノート、『妖狐』ユキメらも参戦する。こいつらも強いし、騎士団員もまぁ、強い。そして陰の実力者が凄く憧れそうな肩書き『最古のヴァンパイアハンター』メアリーも参戦し、戦場は混沌と化す。
言わずもがな『シャドーガーデン』も入ってくるので、戦場はもう訳が分からない。目標だけが一致していることが救いか……と思ったらそういう訳でもない。
シドの姉・クレアは、シドがクリムゾンに攫われたと思い込み突撃。ユキメやジャガーノートは、配下がグリムゾンのグールにやられたことへの意趣返しで『赤き塔』へカチコミ(ついでに『血の女王』も殺すか)。シャドーは厨二病設定で楽しめそうだから。『シャドーガーデン』の部下達は、『教団』に繋がりそうな情報集め……等々。
まぁ、最後には『血の女王』に繋がるし無問題か。色々と細々とした設定が語られるが、ブログ主は雰囲気でしか理解していない。あぁ、シャドーがなんか言っている。これが真相なんやろなぁ……と頭が馬鹿になって読める作品は好きである。
ブシン祭で学んだアドリブ力を遺憾なく発揮させつつ、無双するシャドーのかっこいい(?)物語を堪能できる一幕となっている。
そんな無法都市での一幕を前半とし、後半は『白き塔』の支配者・ユキメと協力し、『シャドーガーデン』の部下がせっせと作ったミツゴシ商会を、ぶっつすための計画を推し進めるという訳分からん回が進行していく。
最後まで読んだ感想が「手の込んだコント」で、「何をしたかったのか説明できない」という感じだ。シャドーは『シャドーガーデン』が作り出したミツゴシ商会があまりに大きくなりすぎている現状を憂い、一度ぶっ壊してリセットするため、ユキメと組んでミツゴシ商会を潰すための作戦遂行のために動き出した。
ミツゴシ商会はシャドー様のため、金を稼ごうと頑張っている。その健気さを知ってか知らずか、ボスであるシャドーはミツゴシ商会を潰そうと動いている。言葉足らずなシャドー様の思惑が分からない……それでもシャドー様を信じて奮闘する彼女たちの涙や、覚悟の重さに心がやられる。
どう転んでもバッドエンドにしかいきそうがない展開だが、最後はみんなハッピーなエンドを迎えられ、ャドーはもう少し痛い目を見るべきだと思ったのは、ブログ主はにっこりである。
長いコントであった。