※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
イラストレーターの日常
情報
作者:むらさきゆきや
イラスト・企画:溝口ケージ
試し読み:14歳とイラストレーター 2
ざっくりあらすじ
イラストレーター京橋悠斗は、友人でありラノベ作家でもある小倉が気分転換に誘われる。どうやら担当と揉めたらしい。仕方がないので、家に来ていた14歳のコスプレイヤー乃々香まで巻き込んで長崎へ行くこととなる。
感想などなど
前回の最後、ストーカーホイホイこと佐伯愛澄(PNナストキュウリ)を助けて怪我をした京橋悠斗。左手はギブスで固められていますが、それほどの大怪我ではないようです。しかし、一人暮らしの男にとっては致命傷とも言えます。
料理も炊事も洗濯も掃除も片手ではできません。これから過酷な一人暮らし生活が始まるのでは、と思いました。
幸いなことに京橋悠斗には、料理・炊事・洗濯・掃除もこなしてくれるコスプレイヤーかつ十四歳かつ可愛いという要素の宝石箱とも言える乃木乃々香がいるのでした。羨ましい。俺も帰宅したら夕飯作ってくれるメイドが欲しい。
しかも冒頭では風呂場で体を洗えない京橋悠斗のためにスク水に着替えて、体を洗ってあげる乃木乃々香を見ることができます。何だろう、この犯罪臭。普通に通報すれば逮捕されそう。
そうしてひとっ風呂浴びて、バスタオル一枚で風呂場を出た京橋悠斗の前には、助けて貰ったお礼を言いに来たナスさん(佐伯愛澄)が――。
……出修羅場である。
しかも相手は十四歳の中学生。姿はスク水。そういう趣味かな?
改めて記事を書いてみると酷い絵面である。しかし、事態はさらに深刻となっていく。
京橋はバスタオル一枚。それを使って、器用に男の逸物を隠している。左手は怪我をしているので、右手一つしか使えない。前方にはプレゼントされた指輪を左手薬指に迷わずはめたナスさんがいる。
さて……ここでバスタイルを何かの拍子で落としたとしよう。結果は(以下略
そんな冒頭が終わったかと思えば、キャラの濃すぎる人が登場する。
その名もマリィ=マルセル・コクラ(PN小倉マリィ)。外人っぽい名前だが、生まれは埼玉である。両親とも黒髪黒目の日本人っぽい外観であるのに、本人は産まれながらにして金髪。彼女が生まれたとき、両親の関係に傷が入りかけたらしい。
そんな彼女は超売れっ子ラノベ作家。現在執筆中の『猫と宝石と銃のソナタ』にて京橋がイラストを担当したため、知り合いとなったようだ。
そんなハイスペックな彼女だが、登場シーンは最悪である。
彼女が一番最初に登場する挿絵は、乃木乃々香の胸に顔を埋めている。まぁ、それは良い……うん? 良いのか? まぁ、女の子同士だし良いのだろう。
とにかく彼女は唐突に家にやって来た。アポイントも当然とっていない。理由を尋ねてみれば、どうやらトイレを借りたかったようだ(正確に言うと違うが)。「トイレで出すか、ここで出すか、って感じよ!?」という台詞は自分もいつか使ってみたい。
そんな酷い状況から復帰したと思いきや、マシンガンのように繰り出される自己紹介の数々。書いている作品はかなり硬派でおしとやかなようだが、現実はさもありなん。悲しきかな、面白い作品を書くからといって人格が素晴らしいとは限らないということを教えてくれる。
そんなテンポ良い会話が進んでいくと、いつの間にやら三人による旅行が決定。旅行は計画する時が一番楽しいというが、彼らには適用されていないらしい。
気付けば長崎へと向かう一行。早いよ、と思われるかも知れないが、本当にそんなテンポである。長崎を取材して書いたんだろうな、という旅行ルートを回し、メインとも言える宿へ到着。
ここから先は表紙捲ってすぐのカラーイラストを見て欲しい。家族風呂という名の混浴では捲るめく桃源郷が広がっている。とりあえず、みんな作品を買おう。
これまで男の欲望をぶちまけた見たいな感想しか書いていないが、色々な意味で勉強になるストーリーも存在する。例えば、イラストに関する著作権の話だ。
ライトノベルにはイラストが載っているが、そのイラストの著作権自体は、どうやらイラストレーターが持っているらしい。しかし、その利用権は出版社が持っているというシステムであるらしい。だからこそ、イラストレイターは自分が書いたイラストと言えど、自分でそれを使った商売はできないという契約になっているらしい。
ほぅ、と純粋に勉強になる話も小話として所々に挿入されている。売れっ子イラストレーター溝口ケージ氏が企画している意味は、ここにあるのだろう。
と、色々な意味で見逃せない展開が盛りだくさんの『14歳とイラストレーター』。そろそろアニメ化の話が出てくると思うのだが、まだですかね(2019/07/01現在)。