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お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】

※ネタバレをしないように書いています。

駄目人間ですが何か?

情報

作者:佐伯さん

イラスト:和武はざの

試し読み:お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件 3

ざっくりあらすじ

マンションで一人暮らしする藤宮周の隣には、学校で天使様と呼ばれる学校一の美少女・椎名真昼が住んでいる。恋心を自覚した周は、その気持ちを隠しつつ、学校でも極力関わらないようにしていたが――。

感想などなど

第二巻のラストは、もはや付き合い始めを通り越した何かになった気がする。

天使様こと椎名真昼の抱えた過去は、両親に無視され続け、挙げ句の果てにマンションに一人暮らしというものだった。子供は親の背中を見て育つというが、よくぞ真昼はここまでまっとうに育ってくれたものだと思う。実の娘を蔑んだ目で見る母親のシーンは、なかなかにショッキングだった。

そんな彼女の心の隙間を埋めるように、肩を支えてあげる藤宮周。彼女が一番辛いとき、涙が止まるまでずっと、一番そばに居て支えてあげたというこの事実が重要である。

藤宮に対し、真昼はさらけ出せるものはすべて出したのではないだろうか。

それでも、お付き合いはしていないというのだから、もう訳が分からない。第三巻のあらすじをまとめると、ただひたすらにイチャイチャするに尽きる。デートにデートを重ね、猫カフェにいったり、ゲーセンにいったりとカップルとしか思えない光景が繰り返され、それでも「付き合ってない」と宣う。

周の友人・赤沢樹と白河千歳のカップルは、さっさとダブルデートしてしまえよ……ということを思った読者も多いことだろう。

そんな第三巻、時折はさまれるのは、藤宮周という人間の抱える心の闇だ。恐ろしいまでに低い自己評価。椎名真昼に対する恋心を明確に自覚しながら、学校では彼女と話すことを拒む姿勢。

次に全てをさらけ出すのは、藤宮周である。

 

第三巻で注目したいのは、超絶モテる椎名真昼という人間の周囲からの扱いと、藤宮周の過去である。

藤宮周の過去については、第三巻の最後の最後、物語における肝といっていい。語りたいのはやまやまだが、ネタバレになるので、第四巻の記事にて赤裸々に語っていこう。そちらを参照して欲しい。

さて、超絶モテる椎名真昼という人間の周囲からの扱いについて。

天使様という渾名がついた椎名真昼の扱いは、第一巻、第二巻と読んでいなくとも何となく想像できるのではないだろうか。才色兼備、運動神経抜群、成績優秀、性格も良い……完璧超人と呼ぶべき女子高生である。

彼女に対する憧れが、そういった天使様扱いを生み出したのだろう。高嶺の花だと分かっていながら、告白の数は絶えず、それらの全てを振っている。第三巻でも、モブに告白される椎名真昼の様子が描かれている。

その告白が彼女の日常だとすれば、彼女に同情せざるを得ない。

彼女に告白をしたモブは、そもそも彼女とは一言も言葉を交わしたことがないという。まぁ、会話したことがなくても恋心を抱くということはあるだろう。そして、そんな彼の告白を拒否する権利は言わずもがな椎名真昼にはある。手慣れた拒絶であった。

そうして否定された男は、椎名真昼に対して暴力に打って出た。もしもその近くを周が通りかからなかったらどうなっていたか。あまり想像はしたくない。

 

この第三巻から椎名真昼は本気で周をおとそうとしてくる。いや、もうとっくに彼はおちているのだが、これまで通りの関係性ではなく、もっと深い関係性を望んでの行動が目立ってくる。

これは椎名真昼をヒロインとした物語ではなく、藤宮周を攻略する物語なのではないか。彼を攻略するには椎名真昼のような行動を取らなければならないとなると、攻略何度はプレイヤーがコントローラーを投げ出すレベルなのではないかと思う。

どうか椎名真昼には頑張って貰いたい。彼女の涙ぐましい努力が垣間見える第三巻であった。

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