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とらドラ! 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

ラブコメの名作。

情報

作者:竹宮ゆゆこ

イラスト:ヤス

ざっくりあらすじ

目つきが悪い普通の男子高校生・高須竜児は、ちっちゃいながらに凶暴な ”手乗りタイガー” と出会い、ひょんなことから彼女の秘密を知ってしまう。

感想などなど

言わずと知れた恋愛ラブコメの傑作で、アニメ化までした本作。名前だけは知っていたけれど、読んだことのなかった自分は今更ながら読了。

ラブコメということで恋愛要素とコメディ的要素に至るまで、とても楽しい作品でした。まぁ、恋愛要素に関してはドロドロした点もありますが。

さて、そんな名作をネタバレをせずに感想を書いていきましょう。

 

この作品の魅力はなんと言ってもキャラクターです。

まずは主人公である高須竜児から。彼は父親の遺伝子を色濃く引き継ぎ、人一人殺してそうな目つきをしている男子高校生。そのためかクラスの生徒には恐れられているほどです。イラストを見る限り……まぁ、確かに目つきは悪いですね。

しかし、実際は家庭的で男気溢れた男です。

父のいない高須竜児は、仕事のために帰りの遅い母の代わりに炊事・洗濯・掃除をこなし、しかもそれらの水準は非常に高い。

一人暮らし歴はそれなりに長い自負がありますが、恥ずかしながら自分はチャーハンがパラッと良い感じにできませんし、手の込んだ炊き込みご飯を作ったことはありません。一家に一人、高須竜児が欲しい。

男気溢れる彼の行動に関しては、作品を読んで是非確認して貰いたい。

一例を挙げると、

階段から落ちてきた女子高生を迷いなく庇って下敷きになる。

唐突に家に殴り込みに来た女子高生をなだめて、食事まで作ってあげる。

二例上げてしまった。でも、もうこれだけで彼が聖人だということは分かっていただけたでしょう。あぁ、幸せになって欲しいなぁ……。

 

そんな聖人である高須竜児を、 ”犬” と呼び、まるで奴隷のように馬車のごとく働かせる ”手乗りタイガー” こと逢坂大河が本作のヒロイン(?)である。

彼女の暴虐無人ぶりは常識を遙かに超えている。少なくとも自分は、木刀を振り回し、教室で唐突に暴れ出す女子高生と友好的な関係を築ける自信がない。できれば距離を取りたいと思う自分は間違っていないと思いたい。

彼女の説明をしようとすると、どうにも作品下げのようになってしまう……。彼女は最近消えつつある暴力系ヒロインの代表の一人と言えるのだから、そういったヒロインが苦手というならば、本作は無理かも知れない。

さらにメシマズ(といってもクッキーを焦がす程度)であり、家事は全くできないし、確認というものを知らない。一人暮らしする彼女のキッチンは地獄絵図であり、掃除という言葉を知らないのではと疑いたくなる部屋の惨状に至るまで。

……何というか、彼女の欠点を上げていけばキリがない。そんな彼女のことが好きになれるかどうか、その一点に本作の評価が大きく分かれる気がする。

 

ラブコメといえば大切なのは、『誰が誰を好きなのか』という点でしょう。ラブコメの最終回は主『人公が誰を選ぶのか』という点でファンの間で議論が白熱するくらいですし。「ニセコイ」とか凄かったですよね。他に白熱したヒロイン論争が起きた作品と言えば「俺の青春ラブコメはやはり間違っている(やはり俺の青春ラブコメは間違っている。 感想)」とか「文学少女シリーズ(”文学少女”と死にたがりの道化 感想)」とかでしょうか。

まず主人公の高須竜児は、クラスメイトの櫛枝実乃梨が好き。「唐突に誰やねん」と言われるかも知れませんが、とにかくぶっ飛んだ明るい女子高生だと思っていただければ良いかと。

次にヒロインの逢坂大河は、クラスメイトの北村祐作が好き。「こちらも誰や?」と思われるでしょうが、クラスメイトの優等生だと思っていただければ良いかと。

ちなみに高須竜児と北村祐作は親友同士で、逢坂大河と櫛枝実乃梨も親友同士……。

つまりまとめると、

高須竜児は、逢坂大河の親友である櫛枝実乃梨が好きであり、

逢坂大河は、高須竜児の親友である北村祐作が好き

……と。巻が進むとさらにキャラが増え、恋愛模様はややこしさを増していきます。

しかし、どのキャラも個性的であり、人間味溢れた愛せる人物となっているのが良い。悪役キャラがいないのも(ここに関しては個人差がありそう)自分的にポイントが高い。一気に読み進めてしまうような楽しくもあり、考えさせられる作品でした。

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