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なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?3 神々の道 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

英雄のいない世界で英雄になる

情報

作者:細音啓

イラスト:neco

試し読み:なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 3 神々の道

ざっくりあらすじ

「主天」アルフレイヤを倒したジャンヌ一行は、レーレーンを案内役に加えて聖霊族と戦っている人類反旗軍に加わることとなった。正史の情報を元にして、戦う算段を付け聖霊の根城である巣へと向かうが、そこはすでに空であって……

感想などなど

「主天」アルフレイヤとの戦いは、「冥帝」ヴァネッサとの戦い同様に綱渡りのような少しでも歯車が狂えば負けてもおかしくないものであった。もしも天使が協力してくれなければ。レーレーンがいなければ。すべての歯車が噛み合って、その場にいた全員がもぎ取った勝利だったと言える。

しかし、悪魔族と蛮神族それぞれの英雄を倒したという事実に変わりはない。

この勢いのまま聖霊族の英雄『天元鏡光』を討つべく、共に戦ってくれたツンデレのレーレーンを仲間に加えて、蛮神族も生息している森を進むことでショートカットしながら勢いそのままに突き進んでいく。

さて、次に戦いを挑む敵である聖霊族は、スライムのような知性を持たない生物達の総称であり、その頂点に君臨する『天元鏡光』もまたスライムである。しかしドラクエで馴染みのあるスライムのように雑魚と侮ることはなかれ。スライムでありながら人語を学習して話せるようになるほどの知能を有し、スライムであるという特性をいかんなく発揮した驚異的な生命力や、多様な攻撃力を持った超強敵である。

これまで同様に苦戦を強いられる……と思いきや、物語はまさかの展開を見せていく。

 

聖霊族を討つべく、正史での経験を活かし、日ごろ聖霊族が生息している巣となっている場所に郷愁を仕掛けることとした人類。しかし、その巣にいたはずの聖霊族は姿を消していた。

痕跡を探るに慌てて逃げ出したようではあるが、その理由は何だろうか。まさか作戦が続抜けになっていた? だからといって逃げ出すだろうか……聖霊族に人間が勝てるかと言われれば(いくら正史の知識を生かすとは言え)、勝てる可能性は半々もいいところ。逃げ出す理由としては薄い気がする。

そんな疑念を抱きつつ、痕跡を追って進んだ先にいたのは、傷ついた『天元鏡光』であったのだから驚きだ。そんな奴の身体に数多くのスライムが吸収されていく。どうやら肉体(スライムだけど)を修復するために、配下であるスライムを吸収しているようだ。

つまりそれは、そんなことをしなければいけないまでに追い込まれているということを意味する。まぁ、それでも滅茶苦茶強いのだけれど。そしてそんな状況で、そいつは協力しないか、と話を持ち掛けてきたのだ。

『天元鏡光』をそこまで追い詰め、人間と協力しなければならないとまで判断せざるを得ない相手は、幻獣族の英雄「ラースイーエ」。ドラゴンという最強の生物の頂点に君臨する弱点の存在しない完成された生命体。それに加えて「切除機関」と呼ばれるヴァネッサ、アルフレイヤとの戦闘時に現れた謎の存在を手名付けていることで、さらなる力を手に入れたらしい。

そんな奴を人間だけで倒せるのか? 確かに、これは天元鏡光と協力しなければいけないかもしれない。強力な仲間を加え、真実に少しずつ近づきある……はずの一行の旅はまだまだ続きそうである。

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