※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
間違いだらけの青春模様
情報
作者:渡 航
イラスト:ぽんかん⑧
ざっくりあらすじ
職業体験以降、由比ヶ浜結衣とは気まずい間柄になっていた比企ヶ谷八幡。奉仕部にも顔を出さなくなった彼女との問題を解決する器用さがあるはずもなく、間違った方向へと暴走するキャラ達に振り回されながら、奉仕部は日常を取り戻せるのか?
感想などなど
職業体験を終え、クラスの打ち上げに甲斐甲斐しく誘ってくれようとする心優しき乙女、由比ヶ浜結衣。そんな彼女を冷たく突き放した比企ヶ谷八幡。流石のひねくれ具合に賞賛の言葉を贈りたい。
そんな彼に対して距離感を掴めずにいるであろう由比ヶ浜結衣が、奉仕部に顔を出せずにいるのは至極当然だと言えよう。近づいてまた拒絶されるのは怖いはずだからだ。
そんな彼らの関係性の修復は不可能なのか? 今回の命題であると言える。まぁ、そんな難しそうなことは考えず、頭を空っぽにして今回の感想を書き殴っていこう。
奉仕部ということで、誰かの生徒の悩みが解決することを助けることで、基本的に物語は進行していくことになる。迷惑メール事件だったり、川崎沙希バイト事件だったりを鮮やかに解決してきました。今回も例外ではありません。
事件の名前は「材木座義輝ゲーム事件」。ちなみに自分が勝手に、適当に名付けました。
材木座義輝という男は愛すべき馬鹿です。彼がラノベ作家を志し日々作品を書き(完成させたことはない)、膨大な設定を書き綴っています(少し見ただけで矛盾が見つかる)。
あぁ、これから彼はラノベ作家を目指して、鍛錬を積んでいくんだろうな。
彼の才能はいずれ芽吹き、稀代の天才として語り継がれていくことになるんだろうな。
と思った方もいるかもしれない。しかし、彼の夢は第三巻にて変わってしまったようだ。彼の次の夢は『ゲームクリエイター』。なんかかっこいい横文字の仕事の内容を、良く分かっていないように思いますが、とにかくゲームを作りたいようです。
しかし、ゲーム制作なんて簡単なものではありません。おそらくシナリオを書きたいだろう彼の場合、何か一つくらい作品を完成させないなければ……あれ、ラノベ一つ完成させられないのに、シナリオが書けるの?
コロコロと夢を変え、口だけは立派で、ひねくれ者である比企ヶ谷八幡に「おまえクズだな」と言わしめる彼の夢を応援できる人がいるでしょうか?
そんな彼の怠慢が招いた今回の事件。簡単に概要を説明すると「ウザいからゲーム勝負で決着を付けよう」というもの。本気でゲームクリエイターになりたいと望む団体にとって、彼の言動はかなりウザかったようです。
こうして(どういう訳だか)始まる「脱衣大富豪」。何故か巻き込まれる由比ヶ浜結衣と雪乃下雪乃。イラストが楽しみです。
そんな事件と言うべきか良く分からない話は終了。すると今回のメインと言うべき、「由比ヶ浜結衣関係復旧事件」。やはり名前は自分で適当に付けました。
内容は最初に説明した通り。部会に顔を出して来なくなった彼女との関係性の復旧が目的です。
比企ヶ谷八幡としては理由に覚えがあります。雪乃下雪乃としては彼女の誕生日を、友達として祝いたいようです。仲が悪い(?)二人は共闘する……かと思いきや、平塚静先生から持ち出された勝負の話題がここで登場し、何故だか勝ち負けを決めることとなっていました。
さて、どちらが由比ヶ浜結衣が再び部に来て貰えるようにするのか? 「友達は誰?」と聞かれれば「友達の定義」の話から始める二人が、人間関係の修繕なんてできるのか。二人の行動に注目されます。
ぶっ飛んだキャラが多い本作のラブコメは、奇妙な事件を軸に進行していきます。時事ネタも盛りだくさんの文章と合わさって、楽しい作品でした。