※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
世界を救う者
情報
作者:蝸牛くも
イラスト:神無月昇
ざっくりあらすじ
――ゴブリン退治から消息を絶った令嬢騎士を探して欲しい。
剣の乙女の依頼を受け、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤー一行。極寒の地で、使われた武器をすぐにでも学習し使ってくるゴブリン達の群れに違和感を覚える。……。
感想などなど
令嬢騎士とその仲間達がゴブリン達を薙ぎ倒し圧倒する冒頭……からまさかの捜索依頼。あの後、彼女たちに何があったのか? やはりゴブリンは「馬鹿だが、間抜けではない」ということなのでしょう。
捜索依頼がまるで熱烈なラブレターのように見えてしまいますが、きっと気のせいです。とにかく、極寒の地で繰り広げられるゴブリン駆除のお話の感想を書いていきましょう。
令嬢騎士は村からのゴブリン退治の依頼を受け、その後失踪したらしい。その情報を元に村に行ってみれば、ゴブリンに襲撃された少し後――村を物色している最中のようです。事態は最悪、令嬢騎士はゴブリン退治に失敗、守るべき村の被害は甚大。
生き残りからの支援を受け、近場のゴブリンの巣を叩いてみれば、今回の敵がただ者ではないことが判明します。理由はとりあえず二つほど。
一つ目は、「物を作った痕跡がある」
これまでゴブリンは物を作らないとされていました。しかし、鏃が外れる矢、焼き印、さらにはゴブリンには治療の痕跡まで……村から奪ったとは思えない代物がそこにはありました。
二つ目は、「祭祀場の存在」
遺跡をそのまま使ったと言われればそうかもしれません。しかし、先ほども書いた焼き印が異教徒の印だったのですから、色々な意味で怪しさが増してきました。
他にも30にもおよぶゴブリンを村の近くに配備しているのもおかしな点としてあげられるでしょう。冒険者が来た際に真っ先に潰される場所に、30もの数の部下を捨て駒として配備しておけることを意味しているのですから。
……奇妙な点は上げていけばキリがありません。とりあえず、この近場の巣で令嬢を救えたことがせめてもの救いでしょうか。仲間を連れて行かれ、自身もそれなりの扱いを受けたであろう彼女の闘志が消えていないのも、不幸中の幸いでした。
まぁ、いきすぎた闘志は不幸を舞い込む気がしますが。
今回の作品の面白い点の一つは、「令嬢騎士」です。ただの騎士ではなく ”令嬢騎士” として並々ならぬプライドを持った彼女は、ゴブリンに比較的呆気なく敗北しました。しかも作品の中盤で判明しますが、彼女の宝具はゴブリンに奪われてしまったようです。
踏んだり蹴ったりとはこのことでしょう。ゴブリンに対して殺したいという欲求が高まっているのは、火を見るよりも明らかです。
そんな彼女は一旦、ゴブリンスレイヤーの一向に加わります。これまで長い時間を共に過ごし、数々の困難を乗り越えてきた彼らに加われるのか? と思いきや、優しき女神官の声かけもあって……と思ってたんだけどなぁ……。
二転三転する展開と、予想外のバグ。物語が盛り上がり、ゴブリンスレイヤーさんの株がさらに上がる物語でした。