※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
私は彼の過去を知らない。
情報
作者:天城ケイ
イラスト:ニノモトニノ
ざっくりあらすじ
次期王となるジュ=シクザール公爵からの直々の命令に従い、クーファは影武者として旅行することになった。そしていつの間にやらメリダやエリーゼ、サラシャにミュールが仲間に加わり……。
感想などなど
前作(アサシンズプライド3 暗殺教師と運命法廷 感想)では無事に試験も合格し、メリダに掛けられた疑惑ははらせたのではないでしょうか。まぁ、今後も腹黒い大人達が色々してくるでしょうが、それは当分来ないはず……。
ということで、色々と一段落した後の長期休み。メリダは家で過ごす一方、クーファは部隊に戻って報告だったり何だりかんだりと忙しそうにしている中、次期王となるジュ=シクザールに呼び出され告げられた特別任務。
あらすじでは書いていますが、依頼は影武者。
王になるためには、『国内の各地で採れる聖石を集める』という試練を受けなければいけません。 ”試練” とは言いましたが、通過儀礼のようなもので、国民が協力的なため ”よほどのこと” がない限り問題はないはずです。いわば巡礼といった方が正しいでしょう。
聖石が採れる場所に行って(電車に揺られ、景色を楽しみながら)、聖石を譲って貰うなり買うなり(合間にちょっと温泉入ったり)、国民に迎え入れられながらの旅行もとい試練……まぁ、国民に信頼されていないとスムーズにはいかないですし、そういうことを示すものなのかも知れません。
……ジュ=シグザールは自分が試練受けると問題が起こり、簡単にはいかないと分かっていたんでしょうね。
王になり人の上に立つということは、同時に敵を作ることも意味します。その際に大切なのは敵に対する対応でしょう。最終目標は自分が王として君臨し続けることで、敵は王から降ろすことが目的となります。
ジュ=シクサール公爵はまず王にならなければいけない、そのためには試練を乗り越えなければいけない。一方敵からしてみれば試練を失敗してくれれば有り難い。
……敵がいるということがはっきりと分かっていれば、この試練を邪魔してくる存在が現れることは火を見るよりも明らかだったんでしょう。となれば、クーファという戦力としては申し分ない男(しかも背格好もまぁまぁ同じ)を影武者として立てれば良い。
ふぅむ、頭が良いんだか悪いんだか。敵を作らない立ち回りが理想なんでしょうけど、それは無理ですね。経験上分かります……。
クーファが影武者ということを知らない敵は、当然影武者を攻撃してきます。それに対して流石はクーファ。そうそう負けません。
しかし、問題はそれだけではないのです。クーファは王の代わりに試練を受ける影武者です。つまり、クーファが試練を受けているということに……国民が知ったらどうなるんだか。あれ、クーファが王になる?
……何だか不穏な空気が。
メリダとエリーゼ、サラシャにミュールという美女達もいつの間にやら、なんやかんやで国王(影武者)の試練の旅に参加。戦力はあればあるほどいいですからね。しかも一見すればか弱い乙女であれば、相手の油断も誘えるという特典付き。しかも、可愛い。そう、可愛い。可愛いは正義。
本作で問題となるのは『敵の目的』です。
ジュ=シクザール公爵が王になることを阻止したい……は間違いないでしょうが、それは何故なのでしょう。読んで貰えれば分かりますが、やり過ぎ感が否めません。国民を巻き添えにし、かなり希少な技術を駆使してまで王を攻撃してきます。
そこまでするのか?
当然そこまでする理由があるわけです。さて、正義はどちらにあるのでしょうか?
そして、敵は一体誰なのでしょうか? 謎が謎を呼び、手に汗握る戦いが進んでいきます。楽しい作品でした。