まず最初に
第五巻のおおよそ終盤、これまでの事件の犯人が判明致しました。原作ではそれなりに伏線が張り巡らされ、驚きの展開を見せてくれました。ブログ主は知っていたために驚きはありませんでしたが、未読者に驚きはあったのでしょうか。良く分かりません。
改めて、このアニメは一体どの層に向けて作られているのか、分からなくなりました。アクションシーンがなかったので、作画うんぬんも語れない話でした。
用語・人物解説
クーファ=ヴァンピール
- 第二話で判明した通り、ランカンスロープの最高位である吸血鬼の血を持つ夜界出身者。
- 一連の犯人は彼ではなく、ロゼッティであった。詳しくは後半で説明。
- メリダの前から姿を消していた理由は「彼女に多くを知られないため」だろう。自身の正体やロゼッティとの関係性など、知ってしまえば後には引けない。
メリダ=アンジェル
- クーファ先生のために奮闘する女の子。
- 聖騎士ではないので、大剣は扱えないはずだが。
- 第三巻、第四巻を経ても、彼女はクーファの正体(暗殺者であること、吸血鬼であること)を知らない。彼のことを知りたいと思い悩むエピソードも存在するが、何だかんだでクーファに上手く避けられていた。
ラクラ=マディア(=(ブラック=マディア))
- 上級位階のマナ以外は、模倣して利用することが可能。この設定、あまり生かされていないとお思いの方、多いかもしれないが、実際その通り生かされていないので気にしてはいけない。あと制服もあまり似合っていないと個人的に思う。
- パパ(上司)の命を受け、クーファがしっかり仕事をこなしているか確かめ……ているはずだが、何だかんだで協力してくれる。
- 積極的にメリダ達に協力し、ジャンガルタの闇を暴いてくれた。暴かれた闇については後述。
ロゼッティ=プリケット
- プリケット侯爵の娘。といっても実の娘ではなく、七・八年前の惨殺事件における生き残りを侯爵が引き取った。
- 貴族の娘ではない平民の娘でありながら、マナを扱うことができた特別な娘とされ、最年少で聖都親衛隊に所属したエリート。
- 血の影響を色濃く受けるマナを、何故彼女が扱うことができるのか? 彼女もクーファと同じような存在だったからである。伏線(アニメだとほぼないに等しいが)含め、詳しくは後述。
プロサム=プリケット
- ジャンガルタという僻地の僻地を豊かにした英雄。親のいない子供を引き取って、世話までしていた。人々は彼に感謝し、彼の言うことは絶対になっているため、彼が「危ないので近づいてはいけない」と言ったミステリースポットには皆近づかない。
- 病気にかかった人を公開処刑にしたとしても、誰も彼のことを疑わないし、問題視することもない。まして子供達を殺した犯人が彼だなんてことは、誰も信じようとはしないだろう。
- 結局のところ、彼は自分の立場を利用して色々なことをしていた訳だ。動機や彼がしていたことに関しては、次話にて説明されることだろう。
歪んだ家
- マディアとメリダが訪れたミステリースポットの名称。
- ログハウスが巨人に手の平に押し潰されたかのように地面にのめり込み、長時間いると奈落に引きずり込まれるとされている。
- 実際はプリケット侯爵が作り出した偽物のミステリースポットである。
注目すべきポイント
子供達殺人事件
さて、冒頭からいきなり中々にショッキングなシーンからスタートしていく。画像にて示した通り、プロサム侯爵が引き取っていた子供達が殺されたのだ。
ここで考えるべきことは二つある。
- これまでの被害者とは違い、子供達は殺されているという点
第七話にて生気を吸われた生徒も、今後登場する被害者達も死ぬには至っていない。では子供達が殺されてしまった理由は何なのだろうか?
- 子供達を殺した目的
これは他の事件においても言えるが、目的がはっきりしていない。子供達を殺したことによって利益を得るような人間がいるのだろうか?
そして、疑われるのクーファ。思い出される七・八年前の惨殺事件……真相や如何に。
調査に乗り出す二人
クーファのことを心配し、自ら調査に乗り出そうとするメリダ=アンジェルと、そんなメリダの話に乗っかったマディア。似てない姉妹である。
元は……いや、一応今もだが、変装のエキスパートであり情報収集の鬼であるマディアの活躍により、プリケット侯爵が「近づいてはいけない」と指定したミステリースポットの居場所を突き止める。
前話の感想・解説(「アサシンズプライド」第七話【感想・解説】)にて説明した通り、ミステリースポットとは磁場の歪みにより空間が歪むなど危険な箇所があるため、基本的に立ち入り禁止区域として指定されている。その指定を担っているのが、プリケット侯爵なのだ。つまり、プリケット侯爵が何かを隠すにはもってこいの場所だと考えたらしい。
そうして向かったミステリースポット《歪んだ家》にて……
作られたミステリースポットの中で隠し扉を発見したマディア。この手慣れた感じ、流石は暗殺者だと言えよう。さて、地下へと続く階段の先にあるものとは……
地下室にて
地下室には地下牢のように牢獄が並び、実験室のように器具がいくつも並べられていた。ここではアニメの映像だけでは説明しきれない情報についてまとめておこう。
- 作り出されていた《屑鬼》
アニメではただ死体が並んでいるだけのように見えるが、原作ではそれらの死体が動き出しメリダ達に襲いかかっていた。それらの名称は《屑鬼》といい、人にもランカンスロープにもなることができなかった《なりそこない》とされ、人のような心を失い、かといってランカンスロープのような自我もない。ただ殺戮を行うだけの存在となってしまった。
どうやらプリケット侯爵は、地下にて《屑鬼》を生み出していたようだ。
- 街に蔓延する奇病の存在
街には奇病が蔓延しているとされ、メリダ達がやって来た時も、重症患者が処刑されていた。どうやらその患者も《屑鬼》とやらにされていたらしい。
こうなってくると街に蔓延する奇病というものも胡散臭くなってくる。このジャンガルタにしか蔓延しておらず、治療法も原因も判明しておらず、重症化すれば殺すしかないという奇病は果たして本当に存在するのだろうか。
新たな犠牲者
調査から戻って来たメリダ。そこでは新たな犠牲者が発生していた。なんと犠牲者はエリーゼとロゼッティの二人。ここでも注目すべきポイントを二つにまとめておこう。
- ロゼッティとエリーゼの二人を相手に戦える人間がいるか?
皆さん御存知の通り、エリーゼは聖騎士のマナをその身に宿し、ステータス的には学年最強と言っても過言ではない。第三・四巻を経て、それなりに戦闘経験も積んでいるためさらに強くなっている。また、ロゼッティも若くして聖都親衛隊に選抜される程に強い。
さて、そんな二人を相手取り、勝利を収めることができる人間が果たしているのだろうか? いや、いない。
- ロゼッティの死亡
ロゼッティはエリーゼを庇って死んだ……とプリケット侯爵はそのように発言している。ロゼッティには激しく抵抗した様子が見られ、エリーゼを庇って死んだように見えなくもない。
だとすると犯人の目的は何だったのだろうか。エリーゼを殺そうとしていたのだろうか? しかし、現にエリーゼは死ぬには至っていない。子供達を皆殺しにした件も含めると、どうにも目的がはっきりとしないのである。
疑われるメリダ達
プリケット侯爵の娘が殺されたということもあり、住民達は姿を見せない容疑者クーファに対して怒りを募らせる。そんな怒りはクーファと親しくしていたメリダ=アンジェルへと向かった。
現時点においてクーファが犯人であるという確固として証拠はないにも関わらず、プリケット侯爵の鶴の一声で犯人扱いされ、住民全員が彼に対する怒りを露わにしていることを見るに、プリケット侯爵の影響力の高さが伺える。
こうしてメリダは住民達からの逃亡劇が始まっていく訳だが、住民の中に仲間はいないと考えて良いだろう。
ミステリースポット
第七話にてジャンガルタにやって来た際、プリケット侯爵に紹介された岩の中で水が流れているという(プリケット侯爵曰く)危険なミステリースポットの正体は、水の流れる地下洞窟の入口だった。ここもまた、プリケット侯爵によって人々を近づけないための罠だった訳だ。
向かった先にあったものは……
プロサム侯爵の秘密
原作ではそれなりの文量を割いていた書籍の情報をここでは簡単にまとめておこう。
- 夜の因子と抽出と植え付け
ランカンスロープから夜の因子を抽出し、それを健康な人間に植え付けるという実験の調査結果である。情報を見るに、《屑鬼》はその過程であり、結果ではないようだ。
では、プロサム侯爵は何を目的にして実験を繰り返しているのだろうか。
- シグザール侯爵家と《神の御子》
シグザール侯爵家(サラシャ=シグザールの家)の当主がやって来て、上記研究の成果を共有する代わりに、侯爵家が資金を援助するという話を持ちかけられたらしい。また、そんな当主との会話の中で妹であるサラシャ=シグザールを《神の御子》と呼んでいたようだ。
謎の声とロゼッティの秘密
どこからともなく謎の声が聞こえたかと思いきや、死んだはずのロゼッティがメリダを強襲。それを庇ったクーファ、ここでのポイントは『クーファが吸血鬼の力』を使わなければ彼女を押さえることができなかったことと、『ロゼッティの目に青いマナが宿っている』ことの二つだろう。 詳しくは次話で解説されるようだ。
最後に
投稿が大変遅くなってしまいました。大学四年生の二月、卒業がかかっていたという説明で察していただければ幸いです。いずれ『工大生のメモ帳』の管理人が工大生ではなくなる訳ですね。
もうアニメの放送は終わってしまった訳ですが、最後まで書いていく予定です。何卒よろしくお願いします。
自分が書いた一巻の感想はこちら
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