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【アニメ】「ガーリー・エアフォース」第十話【感想・解説】

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2019年冬アニメリスト

 

まず最初に

第十話では、「慧が覚悟を決め」、「作戦の説明」が行われる話でした。また、今後の展開に繋がる伏線も張られつつ、戦いの前だとは感じさせないような空気が漂っていました。

次話への繋がりも意識しつつ、今回の話で大切なポイントを押さえつつ理解していきましょう。

用語・人物解説

鳴谷 慧

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project
  • 明華の部屋に度々入っているくせに、女性の部屋に入ったことがないと抜かす男。
  • 明華のことを女性として見ていないことは分かって貰えるだろう。泣きそう。
  • 一方グリペンのことは女性として見ているようだ。もしかするとロリコンなのかも知れない。
宋 明華

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  • この笑顔を守りたい。
  • 彼女の健気な良妻ぶりには惚れざるを得ない……悲しいなぁ。
  • 忘れられがちだが、彼女の両親は音信不通である。
グリペン

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  • 慧と二人でファントムを倒したアニマ。
  • アニマと人の価値観、感じ方は大きく異なっている。教育程度でどうこうなるものではないらしい。
  • アンフィジカルレイヤーでの彼女の言動には注目しておこう。
ファントム

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  • 彼女の行動規範は「人類を守ること」であって、そのためならば犠牲は厭わない。
  • 彼女が「慧に怪我を負わせようとした」理由などは後述。
  • 彼女の強みは計算処理能力と経験値の量である。ハッキングその他もお手の物。
ライノ

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  • 誰もが彼女を社交的であると評し、好意的に捉える。
  • 慧ただ一人は彼女に影を感じているが、実際はどうなのだろうか。
  • アニマの目的は――大小の違いはあれど――人類を守ることである。彼女の場合もその目的は揺るがない。
上海上陸作戦

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  • 慧の故郷である中国(慧の産まれは日本だが、育ちは中国である)全土を奪還する足がかりとして上海を奪還するための作戦。
  • 日本とアメリカが協力し、互いにそれなりの戦力を投入する。その裏には、日本の大きな戦力であるアニマを削っておこう、というアメリカの思惑があるらしい。
  • 作戦の詳細は後述。

注目すべきポイント

アンフィジカルレイヤー

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

再び夢の世界(?)であるアンフィジカルレイヤーから物語が始まっていく。ここで分かることをざっくりとだが、まとめておこう。

  • ゲームの最適解

第九話でグリペンと慧が挑戦したゲームで、慧が全敗したのに対し、グリペンはゲームで「人民を都市から逃がす」という行動を取ることで、十年以上人類を生き残らせることに成功した(つまりゲームに勝った)。

これまでザイは人類に対して的確な攻めを行ってきている(第一巻では「滑走路への爆撃」、第二巻では「日本への補給路の遮断」「対空クラスター弾の配備」)。人類侵略のアルゴリズムとしてはかなり優秀だ、と言わざるを得ない。そんなザイの行動パターンにも穴はあるということを意味している。

  • ザイの目的

ザイの目的は「人類を根絶やしにすること」だと思っている人が多かったことだろう。しかし、グリペンに言わせれば違うようだ。

ザイにとって「人類の殲滅」は目的を達成するための手段であり、もし「人類を殲滅することなく、目的を達成する手段がある」ならば、ザイは人類を攻めないということを意味する。

  • グリペンの使命

グリペンの使命は「慧を生き残らせること」だと、ここで明言された。期限は「全てのピースが揃うまで」であり、ここで言うピースとは、ザイに関する情報だろうと推測できる。

ランニングにて

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

日課のランニングをする慧を突き飛ばし事故に遭わせようとするファントム。危険な行動であるが、彼女なりに人類の救済を願い考えた行動であることをここでは説明しよう。

まずは「上海上陸作戦は失敗する」ということから考えていく。理由としては二つ。

  • 一つ目『ザイの戦力が予測できない』

魚釣島でザイは対空クラスター弾を所持していた。これは予測できない攻撃であった。今回もザイは何かしら用意しているという可能性がある。また、ザイの数も何機襲来するのか、判断が付かない。

  • 二つ目『アメリカは負けてもいいと思っている』

アメリカは作戦の目的に、日本の戦力を削っておくことも掲げているようだ。日本の所持しているアニマの数を削りつつ、ブロイラーを用いた際のデータを集め戦力の増強を図りつつ、もし上海も奪還できればラッキー……こう考えるとアメリカは一切損をしない作戦だと言えよう。

この二つの理由より、ファントムは「上海上陸作戦は失敗する」と考えた。では、何故慧を作戦に参加させない必要があるのか? 理由としては、こちらも二つあげておこう。

  • 一つ目『無駄な犠牲を生まないため』

これが大きな理由だと言える。ファントムにとって理想的なアニマとしての形である「慧とグリペンのコンビ」が失われることは人類にとっては大きな痛手である……と考えているのだ。

そのため、一週間ほど動けないような怪我を負わせることで、作戦に強制的に参加できないようにすることがファントムにとってやりたいことだった。

  • 二つ目『慧は説得には応じないと考えていた』

慧にとっては母が殺された地であり、故郷でもある中国を奪還するための作戦に、「参加するな」と言った所で慧は応じない……とファントムは考えた。結果としては失敗しているが、力尽くで慧に参加させないようにしたのだ。

明華との会話

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

慧にとって、中国での思い出を共有する家族(明華がどう思っているかは置いておく)であり、守りたい存在、これまで守ってくれた恩を返したい相手である明華との会話がここでは描かれている。

ファントムとの会話を経てもなお、上海に上陸し中国を奪還する覚悟を決めた慧。泊まりでバイトをするという慧の嘘を見抜く明華……何をしているのかを話してくれない慧を追求することなく、送り出すことを決める明華。

元のように過ごすことができる世界になることを願って、互いに覚悟を決め、関係性が大きく変わってしまったシーンである。

アニマ達集合

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米軍横須賀海軍施設にて。世界最大の軍艦CVN-78空母 ジェラルド・R・フォードに集合する日本の最高戦力達(アニマ御一行)。ライノとファントム、イーグルは顔合わせということになる。今後、重要な作戦に参加していくということで、ここで何かいざこざがあっては困る所だが、何とか上手くやっていけそうだ。

そんなライノに対し、不安げな表情を浮かべる慧。「彼女は単純じゃない」と察しているようだ。果たして、彼の洞察は当たるのか? この部分に関しては、言及を避けよう。

今回の作戦は、『制空戦闘時間を長く確保するために』、可能な限り上海の近場からドーターを発艦させたい。この空母はそのためのものだ。詳しくは後述。

作戦説明

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

シャルマンから、今回の作戦の概要が説明される。ここでは作戦を進める順番に沿って説明していこう。

  • 第一集団(通常戦闘機)がザイに突入する。

EPCM対策の行われていない普通の戦闘機がまず突入する。目的は『ザイの引きつけ』であり、表だった戦闘というよりはザイの攻撃をアニマに集中させず分散させることを目的としている。

  • 第二集団(ブロウラー)がザイに突入する。

ザイに対抗できるとされている無人戦闘機が、表だった攻撃を行い、ザイの数を減らしつつ侵攻できる穴を作る。

  • 第三集団(グリペン達)がザイに突入する。

第一・二集団が作ったザイ集団の隙間をこじ開け、制空権を確保することを目的としている。

制空権を確保した後は、第一・二集団が交互に空母に戻り燃料を補給し、制空権を維持。最終的にはザイの二~三割の戦力を削り、撤退を待つ(ザイは戦力の二~三割を失うと、撤退するというアルゴリズムを持っている)。

この作戦の肝は、制空権を得ることがメインではなく、一気にザイを叩き戦力を削ることにある。そのため長時間作戦を行うということは考慮していない。むしろ長時間作戦が行われたら失敗と言えるだろう。

歓迎パーティ

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

空母の隊員達による、『独立飛行実験隊歓迎パーティ』が開催される。お酒飲んで大丈夫? という心配は杞憂なのだろう。

ここで覚えて貰いたいのは、この隊員達は『第一集団』としてザイに切り込む隊員達であるということだ。戦闘を避けつつ、ザイの攻撃を分散させることが目的と言えど、この中の何人が死ぬこととなるのか……楽しいパーティでそんな話題は野暮だろうが。

またアニマがお酒を飲んでいるシーンがある。彼女達には年齢という概念があるようでないので、気にしてはいけない。

グリペンとの同室

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(c)夏海公司/KADOKAWA/GAF Project

慧とグリペンが当たり前のように同室となっているが、慧は人間、グリペンは兵器……何の問題もない……もし万が一。億が一に、一夜の間違いがあったとしても、誰も攻めないだろう。

このシーンで、慧は自身の意思を確認する。「目的を果たすためなら何だってする」「差し違えたって構わない」という慧の心の台詞が分かりやすい。つまり、自分が犠牲になっても構わない、多少の犠牲は構わない、と考えていたのだ。

そんな慧に対して「生還する意思を持って欲しい」と諭すグリペン。死んでも良いと一種の諦めを持っていた慧を、生きるために戦うという道へ戻してくれた。

互いに尊重し合い、正しい道へ進ませようとしてくれる二人は最高のペアだ。

最期に

アニメを見た感想としては、原作を読んだ人との印象が、大きく変わってしまうような演出だと感じました。ライノの滲み出る闇っぽさは、アニメを見た人は伝わるのでしょうか? グリペンと慧の互いに支え合って前に進んでいる感じは伝わっていますでしょうか? できれば原作を読んでいない状態で見てみたいアニメです。

次はいよいよ作戦が決行され、戦いの火蓋が切って落とされます。次はどのような敵が出てくるのでしょうか。

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