※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
王都へ……
情報
作者:蝸牛くも
イラスト:神無月昇
ざっくりあらすじ
「来てしまいました」
剣の乙女がゴブリンスレイヤーの元に訪れた。王都までの護衛を依頼するためにやって来たらしい。どうやら道中で狼に乗ったゴブリンが群れているらしい。
感想などなど
とうとう剣に乙女が来てしまいました。魔王討伐ギルドの一人が恋するポンコツ乙女となって、熱烈なラブレターだけでは飽き足らず自我を抑えられなくなってしまったのか……と思いましたが、どうやらちゃんと依頼があって来たようです。
依頼内容は『王都までの護衛』。王都開かれる会議に参加するための道中でゴブリンが出るらしいが、護衛を兵士に任せるには時間がなかった(急な会議だったようだ)、その上、護衛理由を聞かれては剣の乙女としては困ってしまう(詳しくは二巻を参照)。
ということで剣の乙女、直々にお願いに参ったということらしい。ゴブリンが出るという話を聞いて、真っ先に思い浮かんだのがゴブリンスレイヤーの顔……いや、兜だったのだろう。
そんな依頼は以外とあっさりと終わってしまう。問題が二つほどある。
一つ目『何故、王都付近にゴブリンが出現したか』。まぁ、これ事態は大した問題ではない。ゴブリンとはどこにでも出るものだろう。
二つ目『ゴブリンの肌に入れ墨が入っている』。これが一番の問題と言えよう。ゴブリン自身が考えて入れ墨を入れようなどと考えるだろうか? 何か大きな裏があるような気がしてならない。
そんな剣の乙女関連の本筋の面白さは置いておき。サイドストーリー(といいつつ本筋に絡む伏線が何個も入っている)も面白い。剣の乙女がやって来る前、ゴブリンスレイヤー一行が海で巨大な魚と戦うシーンは、ゴブリンスレイヤーの有能さが光る。その後、牛飼い娘にお土産を持っていくシーンなんて、こっちまで嬉しくなってしまった。
王都についてから食事を楽しむドワーフ・リザードマン・ゴブリンスレイヤーの会話は三人の仲が深まったことを、感慨深く感じられる。女神官と妖精弓手が仲良く温泉に浸かる様は読んでいて楽しい。
また、小さな女の子が冒険者に憧れて行動する物語が間に挟まれたりと、様々な視点で物語が進んでいく。大勢の人も思いや思惑が入り乱れ、大きな事件と発展していく様は、ゴブリンと戦う本筋を除いたとしても面白いと自分は思う。
本筋の最後の敵はゴブリンとなる……と言いたい所だが少しおしい。あまり言い過ぎるとネタバレになるので辞めておこう。とりあえずヒントらしき何かを。
ゴブリンスレイヤー達は今回ダンジョンを攻略することとなる。昔、剣の乙女がいるギルドが攻略したその場所は、四階以降は銀等級程度では帰って来れないという魔境であるようだ。
そんな勇者が攻略するようなダンジョンを進んでいくこととなるゴブリンスレイヤー達は、無事に帰ってこれるのか……絶望感漂う物語の全容を是非確認して欲しい。