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【アニメ】「魔王学院の不適合者」第七話【感想・解説】

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2020夏アニメ化リスト

 

まず最初に

第七話では、今後もお目にかかることのできない怒りに震えるアノスを見ることができる。アニメ化に辺り、色々と楽しみにしていたシーンがありましたが、これもそのうちの一つでした。

そしてアノスを怒らせた張本人であるエミリアですが、ここで退場するようなキャラクターではなく、今後も魅力的なキャラクターとして登場する機会があります。気になる方は是非原作を。

用語・人物解説

アノス・ヴォルディゴード

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 後にも先にも見ることのできない怒ったアノスを見ることができる。その怒った理由というのが、自身の母親を傷つけられたことだった。
  • アニメでは描かれていないが、魔剣大会では彼に不利なようにルールが徹底して書き換えられている。その辺りは後述。
  • 母親の居場所はすぐに分かり、異変なども察知できるように魔法を使ってある。そのため今回の事態にも比較的早く対処することができた。
エミリア・ルードウェル

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • アノス達のいる二組の担任を務める教員。
  • 皇族の産まれで皇族派。混血は穢れているので、自身の生徒であろうと平気で騙すし殺す。
  • アノスにより死んでも混血に転生する魔法をかけられ、これからずっと純血ではなく混血で生きていくこととなる。
ミサ・イリオローグ

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 半霊半魔。統一派の隠れ蓑、アノス・ファンユニオンのリーダー的なポジション。
  • 半霊半魔ということもあり、精霊魔法を扱うことができる。その際の魔法が水の大精霊リニヨンに似ていたため、アノスの興味を引くこととなる。現にこうして元気に生きているという時点で、彼女の母親である精霊は、かなり有名な伝承や噂を元にしていると思われるが……。
  • レイの母親のため自身の根源を削ってまで助けようとした。母親とミサのその後の様子から想像するに、そのまま魔法を行使して根源を削り続けたところで、二人とも死んでいたと思われる。
レイ・グランズドリィ

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 《錬魔の剣聖》とまで称えられる皇族の一人であるが、彼の育ての親は半霊半魔の混血であった。彼が混血と純血を意識しない理由の一端はこれか?
  • 育ての親である母の治療を続けて貰うため、統一派の代表として、つまりはログノース魔剣協会に参加し、その上で魔剣大会に参加し優勝しなければならない。
  • 元はイエスタ家と呼ばれる魔法の名家の産まれ。その家では、代々秘伝の魔法を子供に受け継がせていくために、産まれた子供は初めからその魔法を使うことができる。しかし、レイは使うことができなかったため五歳の頃に捨てられた。
シーラ

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 家を追い出されたレイの育ての親。
  • レイを育てたということで、イエスタ家に目をつけられ仕事を追われた。最終的に街も飛び出して、遠くの街でひっそりとレイと二人で暮らしていたのだという。
  • この医院に来るより前は、目を覚ますことすらなく消える寸前だったらしい。ログノース魔法医院は人を脅すようなゲスかもしれないが、実力自体はしっかりとあるようだ。
水の魔剣エイシアス

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • エミリアの兄であるクルトが使っている魔剣。定型を持たない水の剣身であるため破壊することは不可能……とされていた。
  • 剣身を無限に分裂させることで、一突きで何十にも上る突きを繰り出すことができる。その攻撃を避けることは不可能……とされていた。
  • 結局攻撃を全てかわされ、剣を破壊された上、一分という短さで混血に負けたクルトが大恥をかいたことは言うまでもない。
根源変換

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy
  • 精霊が噂や伝承を魔法に変換する途中の状態の力を、対象者に直接送り込むことで精霊病の患者を延命する魔法。
  • アノスがその場で作ったため魔法名は仮名。
  • 魔法の開発は数年規模で行われるため、数十秒で魔法を開発してしまうアノスは、やはり異常である。

注目すべきポイント

魔剣大会始まり

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

父親が作ってくれた剣を片手に、魔剣大会に乗り込んで行く魔剣大会。何やらアノスを任せるべく色々仕組まれているというように言われていた通り、レイを統一派の代表として魔剣大会に参加させ、優勝しなければ母親の治療を止めるというように脅迫されていたり、アノスの使っていた剣を管理するといって取り上げようとしたりと、数々の妨害が仕組まれていた。

しかし、原作で描かれていた妨害はこれだけではない。まずはアニメでは描かれていない妨害について言及していこう。

  • 《武器強化》または、それに類する魔法の使用禁止

アノスが持ってきた剣は、人族である父が作り出した金属製の剣である。魔力は微塵も流れ折らず、魔剣エイシアスのような特別な効果がある訳でもない。そのような剣では魔剣の斬撃を防ぐことはできない。

ただし鉄の剣であろうといえど、《武器強化》のような魔法を使えば魔剣の攻撃を防ぐ程度の力を得ることはできる。勿論、使用者の力量にもよるだろうが、アノスの場合は心配するまでもないだろう。

そのため運営は魔法の使用を禁止することでアノスの攻撃の機会を奪おうとした訳だ。原作では舞台の周囲に十六人もの監視員を配置し、魔法を使った瞬間にペナルティを課して退場させる算段……だったようだ。

そのような状況を、原作では《秘匿魔力》という魔法を用いて、魔力を秘匿することで突破した。2000年前であれば、この《秘匿魔力》を看破する者もいたようだが、現代においてはそのような強者はいなくなってしまった。

まぁ、小指の先くらいはアノスの魔力を削れたかもしれない。実際、《秘匿魔力》は魔力消費が大きいとアノスは語っている。

この一件でアノスの父の名が上がったりするが、それはまた別の話である。

レイの覚悟

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

これまで混血とか純血とかで考えるのは苦手、と言っていたレイがログノース魔剣協会に入っていた。ログノース魔剣協会というのは、統一派の魔族が立ち上げた協会で、統一派であるということを証明する証のようなものだと思って貰えればよい。ちなみにレイの母親が入院するログノース魔法医院も、魔法協会を立てた人物と同じ人物が設立した。なるほど、それだけで何となく繋がりが見えてくる。

そして突然斬り合うレイとアノス。レイの体内に魔道具が埋め込まれているということを察した(レイが魔剣大会を命がけだと語っていたことを、ヒントだと捉えたようだ)アノスは、そのことを確かめるために、直接体内に手を突っ込んで確かめた。その際、レイはわざと胸元をがら空きにし、魔道具の場所をアノスに分かるようにまでしていたようだ。

この埋め込まれた魔道具は、契約の魔剣と言い、契約に背いた者の根源までも消し去ってしまうほどに強力なものとなっている。《契約》の魔法よりも強制力の強い。

また、おそらくされているであろう監視の目をかいくぐるため、仲違いしているという体裁まで取っている。これによりレイが何者かに魔道具で脅されているということを、敵の目を欺きながら知ることができた。流石である。

精霊病

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

精霊とは噂や伝承から産まれた存在。つまりそれらの元となった噂や伝承が消えてしまえば、その対象となる精霊も消える――つまりは死ぬ。だがよほどのことがない限り噂や伝承が消えることはない。ただし例外がいる。

レイの母親・シーラは半霊半魔で、その元となった噂や伝承が何なのかを知らない。また、半霊半魔というのは噂や伝承以外から産まれる精霊としてはイレギュラーな存在。そういった場合、適当にあった噂や伝承が元となってしまうため、いつ消えてもおかしくない不安定な存在となってしまうのだ。この消えそうな状況を、精霊病と呼んでいるのだ。

となるとミサの存在が不思議となる。半霊半魔というのはよほど運が良くない限り、精霊としての存在が曖昧となってしまうということになる。ミサはただ消えることのないような伝承の類いが元となった精霊なのだろうか?

話を戻して。

精霊病を治す一番確実な方法は、元となっている伝承を特定し、それを広めてしまえば良い。しかし、残念ながらその元が何か分からない。

そこでアノスが考えたのは、伝承が魔力に変換される途中の力を、シーラに直接注ぎ込むという方法だ。こんなことを可能にする半霊半魔のための魔法など存在しなかったため、アノスがその場で作って実行することとなる。その際、魔力を送る側の半霊半魔は根源や魔力を消耗するために、ミサもまた命の危険に晒されることになる。しかも母親を助けられるという確証もない。

それでもミサは協力することを申し出た。格好いい。

エミリアの襲撃

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

魔剣大会において予備の剣を使うことは許されていない。つまり魔剣大会と関係ない場所であったといえど、魔剣が破壊されたり紛失したりしてしまえば大会には参加することはできない。ミサとしてはここでアホっぽいアノスの母・イザベラから魔剣を没収してアノスを棄権――まぁ、皇族派は逃げ出したとか言うだろうが――させるつもりだったようだ。

しかし、彼女は人間を馬鹿にしすぎた。

人族は魔族以上に契約というものを重視する。契約書はあらゆる不測の事態に対応するために細かく記載する。説明書の細かさは魔族からすれば異常であるらしい。そこまでやっても魔族に比べて格段に詐欺が多いというのだから驚きだ。イザベラもこれまでそれなりに苦労してきたのだろう。

だからこそイザベラは魔剣大会の参加規約には全て目を通している。息子が将来の夢としている(と勝手に思っている)魔皇のことを調べる過程で、混血と純血のいざこざについても知識があった。また、わざわざ家に来て魔剣大会に参加するということを知らせてくれたエミリア先生が皇族派であるということも知っている。

はっきりとエミリアのことを疑って懸かっている。その疑惑は的中する。

言うことを聞かないのであれば、殺してしまおうと魔法を生徒など関係なくぶっ放すエミリア。生徒と教師、その実力差は歴然。例え数を揃えようと、雑魚は雑魚だった。

アノスの怒り

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

アノスの珍しい怒りシーン。これまでもこれからも、ここまで怒るアノスはお目にかかれない。そこまで怒らせたエミリアは、死よりも恐ろしい罰を受けることとなる。

エミリアは死んでも死ねない存在となった。「御褒美かな?」いや、違う。

これまでの彼女は純血である自らを特別だと言っていた。それ以外の混血は殺しても構わないと見下していた。おそらく何人も殺してきたのだろう。生徒に対する情け容赦なさからも想像はできる。

そんな彼女に、混血としてしか生きていけないような運命を与えたのだ。彼女の根源は混血のそれとなり、例え絶望の果てに自殺しても、再び混血としての人生を歩んでいくことになる。

終わりの見えない地獄を、彼女は味わうこととなったのだ。

決勝戦

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©2019 秋/KADOKAWA/Demon King Academy

一回戦と決勝戦以外は特に語ることもない。なにせ全て十秒くらいで終わってしまったのだから。なんか面白そうな魔剣が出てきたような気もするが、十秒で壊されてしまっては良く分からない。

レイの母の命運は如何に? また勝負の行方は?

最後に

やはり説明不足感は否めませんね。ただアノスのブチギレシーンが見れたので満足です。

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