まず最初に
「魔王様、リトライ!」の方向性はギャグ全振りだと遅ればせながら理解致しました。細かな設定が(魔法に関してなど)存在する訳ですが、アニメでは一切の説明が省かれているようです。シリアスは、ほんの隠し味程度のアクセントとなっており、もはや隠されすぎてよく分からなくなっています。
これが正しい判断かどうかは結果的な売上を見なければ何とも言えませんが、個人的には正しい判断だったかなと思います。設定を良く知らずとも楽しめるのは、漫画で証明済みです。
用語・人物解説
九内 伯斗(=大野 晶)
- 再三再四説明しているが、大野晶という社会人の人格が入り込んだ九内伯斗が本作の主人公である。指輪越しに九内伯斗という魔王としての人格が現れている。
- ゲームの設定上、レベルは1であり、2に上がるためには膨大な経験値が必要となる。一週間で全てがリセットされる仕様のため、2に上がることは不可能となっていた。
- 敵を倒すことで得ることができるSPを元に、管理者権限の解放、アイテム生成を行い無双していくこととなる。また、キャラクターチェンジにより霧雨零というキャラクターにも変身ができる。詳しくは霧雨零の項にて紹介。
霧雨 零(=大野 晶)
- この超かっこいいイケてる男は大野晶が作成したキャラクターである。一昔のドラマに出てきそうな正義感溢れる暴走族のセンスは嫌いではない。
- 武器はただの拳である。防具は「銀龍特攻服」といい、GAMEではレア防具だった。
- 「狂乱麗舞」という特殊技能を持っている。これにより「遺恨」と認定したチームに対してのみ、全ステータスを爆発的に増加させる。「遺恨」設定チームの変更は一日三回のみという制限が存在する。
アク
- アニメでも彼女がオッドアイである演出がなされた。これが彼女が村にて虐められていた理由であり、原作では注釈的形で解説されていた内容である。
- 足は産まれながらの怪我ではなく、怪我をした際に誰にも治療されなかったことによる後遺症である。これも注釈にて解説された内容である。
- 「入浴シーンにお色気がない」というコメントをいただいた。彼女は十三歳の少女である。色気を求める時点で間違っているだろう。可愛いけど。
ルナ・エレガント
- 十六歳にして三聖女の一人。三聖女の末っ子だが、特にそれぞれで血が繋がっているという訳ではない。存在しない魔法属性である金を操るため、「金色のルナ」と呼ばれている。
- 彼女の持つ杖は「ラムダの杖」と呼ばれ、智天使の祝福を受けた由緒正しい杖である。この世界では珍しく気力(=MPのようなもの)の消費を抑える効果があり、逆に大量の気力を一度に消費して、一時的に魔力を高めることも可能。
- 彼女が身につけている服は「ラムダの修道服」と呼ばれ、「ラムダの杖」と同様、智天使の祝福を受けている。魔法防御力を上げる効果がある。よほどの魔法でなければ彼女に傷を付けることすらできない。
キラー・クイーン
- 三聖女の次女。見た目から分かって貰えるように、魔法使いというよりは前衛で戦う騎士。北〇の拳に出てきそうな、原爆で終焉した世界にいそうな面々を連れている。
- 彼女が振り回す武器は「鮮血の結末」と「神槌シグマ」の二つ。「鮮血の結末」は重いだけの金棒。「神槌シグマ」は智天使の祝福を受けた由緒正しい槌であり、四大元素の力が込められているため、簡単な魔法を扱うことができる。
- 防具は「シグマの修道服」、智天使の祝福を受けた由緒正しい服だったはずが、魔改造されてしまったために原型はない。
ウォーキング
- サタニスト集団(詳しくは後述)の長に見えなくもない、健康に良さそうな名前をしている黒幕っぽい人。魔王を呼び出して利用しようとしたら、魔王にあらゆる作戦を邪魔され苦労する。
- 今回も聖女二人に対して善戦していることから分かる通り、魔王さえいなければ聖女を殺すことができただろう(できずとも傷を負わせることはできたはず)。
- 彼視点の苦労話が、原作では時折挟まれている。闇世界も世知辛いということを教えてくれる。
サタニスト
- 悪魔信奉者と呼ばれ、名前の通り天使とは正反対の存在を信奉する集団のことを指す。
- 最初は「裕福な者は、その富を貧しい者に分けよ」という大人しい主張だったが、現在は「貴族の廃止」を訴えるようになり、智天使のことを差別を生み出した元凶だと呼ぶようにまでなった。
- 「願いの祠」にて魔王を呼び出した面々である。
ナンデン・マンネン
- ここだけのちょいキャラかと思いきや今後度々登場し、(魔王の目論見を無視して)かなり活躍してくれる。
- この国どころか世界に存在しない茶器を、他人に売りつけることができると判断できる時点で相当な手練れだと思うが、どうだろうか。
- 彼が受け取ったアイテムは、INFINITY GAMEにおいては攻撃力1の外れアイテムである。
ユキカゼ
- 十五歳、男の娘の変態である。ダンディな男が好きなようだ。
- いつも言葉のニュアンスがおかしい変な娘なので、その辺りをどのようにアニメでどのように表現してくるのかが楽しみである。
- 魔王様の魔王様のサイズが気になっている模様。
ミカン
- 画像で示した通り、大剣使いである。
- 原作では髪も目も燃えるような赤い色であると描写されている。アニメでは見ての通りオレンジ色だが、こっちの方がミカンって感じがして良いかもしれない。
- 三巻の表紙がミカンとユキカゼなので是非見て貰いたい。めっっっっちゃ可愛い。ちなみに漫画でもかなり可愛い。
奈落
- 画像で示しているものはノリの佃煮でも、モズクでもない。奈落……という名前ですらなく、正確に言うならば、奈落から染み出た液体である。液体といっても、意思を持っているかのように動くらしい。
- 奈落とは大陸の中央にある大きな穴のことを指す。戦争時に大量に出てくる死体の処理に追われた人々は、その穴に死体を放り込んだ。すると時折、穴から液体がしみ出してくるようになったのだという。それが画像に示した液体である。
- 聖女に与えられた天使の加護を失わせる効果がある。これを用いて聖女二人を一網打尽にできそうだったが、零の登場で失敗と終わった。
注目すべきポイント
三人で過ごす夜
いきなりの入浴シーンから始まる第三話。この二人ついさっき出会ったばかりなのに、この距離感の近さ……エッチなので良し。
ちなみにルナはパジャマ持参で部屋にやって来たらしいので、最初から泊まらせてもらう気で部屋に訪れたようだ。つまり、この時点でルナは九内に惚れている。一応、そのことに対しても理由がある。アニメではその説明に必要な演出が省かれていたので、今後そのような演出が入ってきたら記事に説明を書くことにする。
このOPが始まるまでのAパートを含む、三人が宿で過ごす夜のシーンで書くべきことは二つ。簡単にまとめていこう。
- アイテムファイル
GAMEのプレイヤーは十個までしかアイテムを所持することができないことになっている。しかし、管理者権限で扱うことができるアイテムファイルでは、無限にアイテムを格納することができるようになっている。
つまりはGAMEの管理者としての権限をフル使ったチートである。
- 天使について
第一話にて九内が入った洞穴「願いの祠」にて出会った神像の正体は「智天使」であることがここで明かされる(この記事を見ていた人は、既に知っていただろうが)。また、その智天使以外にも天使が二体いることも同時に明かされた。
大野晶が入っている九内伯斗を降臨させる力を持った「智天使」と同じことができるのは、同じ天使しかいないだろう。ここで九内が元の世界に戻るためにすべきことが、はっきりする訳だ。本来であれば、第二話の食事シーンで出される情報であり、カットされる話だと思ったのだが、やってくれて何よりである。
金策
ルナから慰謝料(?)として受け取った金を返したため、財布が空になってしまった九内伯斗。なんとか金を捻出しようと考えた策が、「適当に作ったアイテムを高額で買わせる」というものだった。
ここで理解しないといけないのは、「ヤホーの街の人々からの九内に対するイメージ」である。ここでこれまで九内がやってきたことをまとめると、
- 街一番の宿の部屋に宿泊。
- 連れの女の子(=娘? 奴隷?)の服のために大金貨一枚を出す。
- 最高級のディナーを嗜む。
- 聖女ルナに絡まれる。
- 迷惑をかけた他の客全員に対して、ワインをおごる。
……全て相場が分からない男が、聖女の財布を手に入れてしまったが故にしたことである。本人としては財布の金を存分に使ったという意識しかないだろう。
しかし、街の人からしてみれば見たこともない奇妙な格好をした男が、大金引っ提げて遠路はるばるやって来たのだ。何か訳ありのお金持ちだと考えるのは当然と言える。
さて、金策の話に戻ろう。
ナンデンマンネン視点から見れば、上記に示した大金持ち(聖女と仲が良いため、信頼もある)がやって来たとなれば、今後とも良い関係性を築きたいと考える。見たこともない芸術品が今後も貰えるとなれば、意地でも今回の商談を逃がしたくないとも思うだろう。
だからこそ、見たこともない芸術品の話も信用し、かなり無茶とも言えるような商談にも乗ったのだ。
やって来たクイーン
世紀末のような面々を引き連れてやって来たクイーン。目的は「魔王討伐に向かったルナを連れ帰ること」である。
彼女は魔王の存在を信じていないのだ。糞雑魚ナメクジだった悪魔王は、天使一人が戦って自身を犠牲にしてまで封印した存在であり、クイーン一人で戦ったとしても傷を付けられるかどうかも怪しい存在だったのだ。
一応魔王に対して呼びかけているが、悪魔王を倒したという話は嘘だと思っているし、いたとしても強くないという判断から出た言葉である。彼女はあくまで(悪魔王を倒すほどの力を持つ)魔王を信じていない。
そんな彼女の前にやって来るルナ。彼女のフィルターを通すと、魔王は「お尻にメロメロ」であるらしい。今後も彼女はこんなデレデレスタイルで進んでいくので、安心(?)して欲しい。
そんな二人のコントの最中、突然現れるサタニスト達。彼らの役割などに関しては「用語・人物解説」を確認して欲しい。
改めてここでまとめると、彼らの目的は「聖女の殺害」である。悪魔を信奉する彼らにとって、天使の加護を受ける聖女は倒すべき敵なのである。
ここで彼らがとった武器が奈落である。ダンガ〇ロンパのクライマックス推理のようなカットインの後、「天使の加護」を失って弱っていく聖女の姿が、アニメでは描かれている。そんな彼女を見て、
霧雨零登場
九内伯斗のキャラクターチェンジ後の姿である霧雨零の登場である。彼の中には大野晶の人格が現れておらず、彼がプログラムした通りの人格で動いている。そのため、魔王とは打って変わった非常に正義感に溢れた男となっている。
ここでは「用語・人物解説」では描ききれなかった技の演出について記述していこう。
- 遺恨設定
「狂乱麗舞」という特殊技能を発動中に行えるスキル。これにより「遺恨」と設定されたグループに対してのみ、ステータスが倍増した攻撃を行うことができるようになる。今回の場合、ルナとクイーンを取り囲んでいたサタニスト集団が「遺恨」と設定されたことにより、サタニスト集団に対しては絶対的な力を発揮することができるようになった。
……と、この調子で説明をしてきたいのだが、この後については正直アニメの演出で見た通りなので特に説明すべきことはない。GAME内には魔法は存在しないので、ただの物理的な暴力である。最後の龍は魔法ではなく、ただの衝撃波だ。もう一度言う、魔法ではない。
ここで覚えておくべきは、クイーンが霧雨零に惚れてしまったという点だろう。この樹雨零と九内伯斗が同一人物であるということは、視聴者と九内伯斗しか知らない。なにせ九内伯斗が恥ずかしがって、必死に隠そうとするからである。それが変な状況を引き起こすとは知らずに。
ちなみに、この世界には「魔王降臨せし時――古き光もまた、降臨する」という伝承が存在するらしい。「だからなんやねん」と言われたら何も言い返せないが。
ミカンとユキカゼ登場
次話のための布石だろう。ここで二人は指名手配される魔王の存在を知る。原作三巻の表紙と漫画の二人は凄く可愛いので、是非とも手に取って欲しい。
その間に、神都へと向かう九内とアクとルナ。女の子同士仲良くやっている。眼福である。
最後に
ギャグ全振りで進むということを理解してから、かなり楽しめるようになった。設定に関しては、本記事を参照して理解を深めていただければブログ主冥利に尽きるというものだ。
さて、アニメを見ながら気長に最新刊の発売を待つことにしようではないか。
アニメを見るなら
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