工大生のメモ帳

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ガーリー・エアフォースⅣ 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

悲しき命運を背負い者達

情報

作者:夏海公司

イラスト:遠坂あさぎ

ざっくりあらすじ

ロシアから飛んできたアニマ・ベルクト。

彼女は自らの記憶を失い、何故亡命して日本に飛んできたのか分かっておらず、ロシアに彼女のことを訊ねて見るも、その存在を一切認めなかった。

果たして彼女とは一体・・・・・・

感想などなど

今回も新たなアニマが登場。ロシアのSu-47という機体だそうですが、その手のマニアにとってはたまらない機体なのでしょうか。残念ながら自分にはその知識がないもので・・・・・・。戦闘機の知識があればもっと楽しめるだろうに、少しもったいないような気がします。

さて今回の物語の中心人物は、言わずもがな新しく登場したアニマ・ベルクトです。

冒頭で突如、北からの敵襲として登場した彼女。日本の北と言えばロシア。ザイで手一杯な現状に戦争か? と思いますが、どうやら逃げ出した(?)ベルクトをロシアが追いかけていたようであって、事情が分からない主人公一行は当然ロシアに訊ねます。

しかしロシアからは「そんなアニマなんて持っていない」という返答。

いやいやいや、ロシアの方角から来たんですし、ロシア機が実際追いかけてたではないですか。と、どんなに追求したところで彼らは知らないの一点張り。

そして気になるのは、ロシア機からの気になる通信。

「後悔するぞ」

さらに彼女は記憶を失っているという始末。怪しい、怪しすぎる。

 

さてアニマ・ベルクトはロシアに存在を認められていないので、「野良アニマ」ということになってしまいました。そんな野生のアニマを引き取ったのが日本であり、主人公達の基地で過ごすことになります。

その際の案内役として任命されたのが、主人公である鳴谷慧。ロシアの美少女とデートがてら、基地や街の案内を務めます。

ここで彼女の可愛さを書き連ねても悪くはないと思うのだが、ストーリーの展開として大切なことを書いておきたいと思う。

彼女はあまりに良い娘すぎる。

基地での仕事には率先して取り組み、戦闘経験がなく上手く飛べないなりに貢献しようと必死になってくれる。グリペンや慧にもすぐ馴染み、基地の職員達とも友好的な関係を築いた。

しかし基地の外、軍の上層部はそんなこと知ったことではない。「ロシアが何故彼女の存在を隠すのか」「いなかったものとして扱うのか」「何故彼女は逃げ出したのか」

それらの疑問の答えを導き出す。

ここでちょっと思い出していただきたい。鳴谷慧とアニマ達は普通に接しているが、彼女たちはザイを部品として作られた兵器であり、彼女たちにはそれぞれ目的がプログラミングされている。たとえ人間に見えても、人間に作られたアニマであるという事実は揺るがないのだ。

アニマであるベクトルも誰かに作られた兵器であり、何か目的を持って生み出された存在なのだ。

今回の全ての鍵はその役割だ。その役割がある限り、彼女は自らの悲しすぎる運命からは逃れられない。

 

今回の話はかなり大切な伏線が張り巡らされていたかのように思う。例えば、度々夢の中で登場した、口調のおかしいグリペンのいる霧の世界。その世界の正体が断言はされていなくとも、軽く示唆されている。

そして慧とグリペンの関係性も少し進歩したり、しなかったり。

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