※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
アニマと人との違いとは・・・・・・
情報
作者:夏海公司
イラスト:遠坂あさぎ
ざっくりあらすじ
突然通信が断絶された空母。そこにはフランスのドーター・ラファールが乗せられており、日本へ運ぶ途中だったと言う。
慧達一行はそのドーターの回収任務を言い渡される。
感想などなど
前巻はアニマと人の報われない恋物語でした。
今回はドーターとザイの熱い空戦と言うよりは、哲学チックな語りの多い回となっています。ザイとは何か? 何を目的に人類に侵攻しているのか? かなり多くの情報が提示されていました。まぁ、まだよく分かりませんけど。
今回の戦場はフランスの空母シャルル・ド・ゴールが消失した南シナ海上。
目的は積み荷であるドーター・ラファールを回収すること。
実に簡潔で分かりやすい目的ですが、ここで大きな問題が二つ。
一つは「どのようにして空母は消失してしまったのか?」という点。
消失と書いてしまいましたが、実際は通信が一切行えなくなってしまい、空母で何が起こっているのか、分からなくなってしまったために、消えたようになってしまったのです。
冒頭で描かれていますが、ザイに直接爆撃などを仕掛けられたわけではなく、突如として霧に覆われ、通信機器が使えなくなり、次々と乗組員が消えていくという理屈では理解できない不可解な状況。
ザイの新兵器か何かなのでしょうか? グリペン達は闘うことができるのでしょうか?
二つ目は「ドーターだけしか運搬していないためにアニマがいない」という点。
ドーターとアニマは一心同体。グリペンがファントムの機体に乗り込んで運転などは基本的に行えません。
フランスのドーター・ラファールを空母から日本まで運ぶためには、勿論誰かが乗り込んで運転する必要があります。しかしフランス曰く、「ラファールに適合するアニマは存在しない」らしい。
ここでグリペンの出番。グリペンの波長とラファールの波長がかなり似ているらしい(技術的な説明はざっくりと)ということで、
「グリペンなら運転できるんじゃね?」
・・・・・・つまりラファールにグリペンと慧が乗って帰るという作戦。
かなり無茶です。運転できない車に乗って帰って来いと言って送り出しているようなものですから。
まぁ、日本にとっては失敗しても損失がないんですよね。失敗した場合には「空母を沈めて欲しい」というフランスからのお達しもありますし。
しかしラファールを奪還できれば、今後大きな戦力になることは間違いありません。無茶な作戦であれ、グリペン達は東シナ海へと向かいます。
これから東シナ海での戦いを書き進める前に、重要な新キャラをご紹介しましょう。
フランス軍情報機関、対外治安総局のブーランジュ中尉。
今まで新キャラと言えば中高生くらいのアニマでしたが、今回は大人の女性です。女性で軍の中尉って・・・・・・軍のことはよく分かりませんが、相当すごいんじゃないですかね。フランスだと割と一般的だったりするのでしょうか。
そんな彼女はフランスの代表として日本に来て、作戦の会議にも参加するわけですが、どうにもおかしい。
「こんな人形のために人間が命を懸けるのは明らかに間違っていると思うんです」
彼女はラファールを沈めても構わないというように発言します。彼女の発言は正論であり、理詰めで冷静に判断しているかのように思われました。
しかし彼女がアニマに対して向けている感情は、道具に対するものではなく、もっと別の憎悪に似た感情であって・・・・・・。過去に何かあったのは、間違いありません。
そんな彼女が物語に密接に関わってくるのは言わずもがな。そこにはアニマと人が辿る悲しい物語がありました。
さて東シナ海へと向かい、空母へと乗り込んで行きます。
中には奇妙な世界が広がっていました。度々登場していました霧の世界を覚えていますでしょうか。
おそらくザイの存在に関して大きな秘密を握っていそうな空間が、何故だか空母の中に形成さえていました。時間も座標もめちゃくちゃ。
手乗りファントムまで登場。可愛い。
ちなみに表紙の女の子は、いないはずのラファールのアニマで、空母の奥にいました。
もう訳が分かりません。しかしラファールを奪還するためには、この空間のどこかにあるはずのラファールを見つけ出し、グリペンが運転しなければいけません。
この奇妙な世界を、グリペン達は無事に脱出できるのでしょうか。