※ネタバレをしないように書いています。
※これまでのネタバレを含みます。
結末を見届けよう
情報
作者:夏海公司
イラスト:遠坂あさぎ
ざっくりあらすじ
ザイを滅ぼすことができる方法を見つけた慧一行。しかし、ザイを消し去ればアニマも消えると、ファントムは慧に告げる。
感想などなど
ザイが中国に現れ、慧の母を殺して、長い時間が経過しました。数多くのアニマと共に、ザイとの戦いを繰り広げてきました。笑いあり、涙あり、苦悩あり、の戦いの日々は……全てザイを倒すためだけに積み重ねてきたものです。
ようやく見つけた唯一の “ザイを消し去る方法” は、同時に ”アニマを消し去る” ことを意味する――そんな残酷な現実が突きつけられた第十巻。ずっと十一巻を待っていました。
慧の複雑な思いが伝わってきます。グリペンとずっと一緒にいよう、と誓い合ったことが思い出されました。数多くのものを犠牲にして手に入れたものは、「グリペンとの永遠の別れなのか?」と、「救いはないのか?」と、問いただしたいことを脳裏に浮かべながら十一巻を読み進めていきました。
一つの物語が終わる瞬間を皆さんで見届けましょう。
ここでざっくりと現状を確かめておきましょう。
まずザイの正体は『未来人が作り上げた浄化装置』であり、『増えすぎた人類を削り地球を守る』という目的で動いているシステムです。そんなシステムの時間移動機能を逆手に取り、グリペンを〈球核〉に取り込ませ、永遠にループを繰り返させるプログラムを組み込むことで地球を守っていました。
そんなザイに対して、人類がやろうとしていることを簡単に説明すると『〈球核〉の機能改変によるコアの停止』であり、ファントムが何千回ものシミュレーションにより確立させた作戦です。
これによりザイは消滅します……ここで思い出したいのは『アニマは何で作られているか』です。……何十人もの隊員を犠牲にして落としたザイの核を用いてアニマは作られました。……ザイが消えればアニマも消えるというのは、考えてみれば至極当たり前のような気がしてきませんでしょうか?
さらにもう少し踏み込んで考えてみます。あらすじにも示しましたが、この情報を慧に教えたのはファントムです。言わずもがな、作戦が実行されれば世界から消えてしまうアニマの一人です。
つまりアニマは、この残酷な事実を知っています。その上で作戦の進行していたのです。もっと言うなれば、「自身が消滅するという事実」をシミュレーションした上で知っていながら、八代通遙には隠し、他国のアニマに根回しをして話が広がらないようにと徹底している始末。
果たして、アニマ達は何を考えているのでしょうか。
これまでの死闘の全てに意味があった。
と、読者である自分は胸をはって言うことができます。是非とも一切のネタバレを見ずに本作の結末を見届けて欲しいと思います。
。戦いは終わりましたが、もっと彼・彼女らの日常に浸っていたいと思えるようなシリーズでした。